3話
「ごめん…まだ酒が残ってんかもな」
「そんなんで仕事とか、やる気あんの?」
「ある…なぁ、こっち向いてくれないか?」
「いーや。意味分かんない事を言う人は嫌。そりゃ仕事とかならさ、代役とかあるけど…誰かの代わりとか居ないよ。先輩は先輩だもん」
むつは文句を言いながら、ぶちぶちと芝生を抜いては、ぱらぱらと落としていた。
「ごめんって、変な事言って」
西原はむつの顔の前に手をつくと、肩を掴んで自分の方を向くように転がそうとしたが、むつは仰向けになっただけだった。
「昨日から変…気まずく思わないなら、また会おうって言ってくれたくせに、連絡くれないし。急に電話してきたと思ったら、菜々の事も悪く言うし…どうしたの?やっぱり先輩の方が気まずく思ってる?」
「いや、あーそうかもな。ま、気まずくても会いたいんだけどさ…何て連絡したら良いか悩んだのもあるな。お前、結構、俺の事で悩んでくれてるんだ?嬉しいな」
「ばか、今はそんな悩みを抱えてる場合じゃないんだけど?仕事に集中しないといけないの‼つーか、先輩がちゃっちゃと犯人でも見付けたら、あたしはここに居なくても良くなるわけ。人の手によるものって分かれば皆、安心なわけ。お分かり?」




