1話
「んで、最近ダーリンは?」
「いねぇよ。じゃねーよ、話。仕事の話」
むつは、ぼすっとソファーにもたれると紅茶を飲んだ。素っ気ない言い方をしてるが、久し振りに会う幼馴染みとの悪ふざけをするのも楽しんでいるようだった。
「あ、そうね。その話はあとで、ゆっくり聞こうかな?で…どこまで話したっけ?」
「何にも聞いてねーよ。警察が役立たずって話と、パパさんからの依頼ってだけ」
こほんっと菜々は、咳払いをした。
「そう…えーっとじゃあ、笑わないでよ?まぁ、むつがこーゆー仕事してる時点で笑うとは思えないけどさ」
ようやく本題に入ってきたと思い、むつは上体を起こしてカップをテーブルに置いた。
「うちってキリスト教の学校なのね、教会も敷地内にあるしミサもあるし」
昔、1度だけ連れられて見学に行った学園の事をむつは思い出して頷いた。学校とは思えないほど巨大で、自転車移動とかがあったな、とどうでも良い事まで思い出していた。
「で、シスターが死んだのってね…人の手じゃないと思うのよ。あたしは、ね」
むつは、ふんと頷くと続きを促すように菜々の方を見た。菜々は、少し悩むように視線をさ迷わせた。
「むつは神を信じる?」




