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6話『輪廻転生』

「……ありがとな、ツクヨミ。」


両親と別れた小春は、再び真っ白な世界でツクヨミと向かい合っていた。


「ああ、気にするな。………にしても驚いたよ、突然『俺の転生する権利を売っても良いから親にお別れをさせてくれ』なんて言い出すのだから。」


そう言い、ツクヨミは呆れたような手振りをする。


「しょうがないだろ、突然死んだんだから………」


俺は苦笑いして頭を掻く。


そこで、ふと思いだした小春はツクヨミへ聞く。


「なぁ、ツクヨミ。転生する権限を放棄した俺はどうなるんだ?」


彼女は氷のような冷たい表情で、ゆっくりと口を開く-----------




「……別に、どうにもならん。」


「…………は?」


俺は呆気に取られる。


「だから、どうにもしないぞ?」


そう言い、彼女は不思議そうに首を傾げる。


「え?いやだって普通に考えてさ、俺は放棄したんだから……」


「放棄なんてさせる訳ないだろ、アレはお前が勝手に言った事だ。私は認めていない。」


彼女は当然のように言い放った。


(ま、まぁ実際そうなんだが…………)



「じゃあ対価は要らないってことか?」


「ああ、そうだ。」


「……なんだ、ヒビって損した。」


拍子抜けした小春は引き攣った笑みを浮かべる。


「言っておくが、今回は特別だぞ?お前だったから無償で願いを叶えてやったのだから。」


「…じゃあ、俺じゃなかったら?」


俺は好奇心に任せ、恐る恐ると問う。




「………そうだな、嫌がらせ程度に5年程は赤鬼の管理する地獄に落としていたかもな。」



「…なんで俺に良くしてくれたんだ?」


俺はあの赤鬼を思い出し少し背筋を凍らせながらもツクヨミへ聞いてみる。


「それは お前の記憶を見た時にお前と気が合うと思ったからだ。」


そう言い笑う彼女の笑みは、何故か見るだけで先程の言葉に嘘偽りがない事が分かる。



「……それだけなのか?」


「ああ、そうだ。」


「……そ、うか。」



(……まさか、好意的に思ってくれているのか?)


絶世の美女に気が合う、と言われたので小春は少なからず期待してしまう。





「……ちなみに、恋愛的な気持ちは持ち合わせていない。」


……という、小春の心中を察したかのようにツクヨミは小春の期待を裏切る。



「………そ、そうか。友人的な……意味な。」


残念な事に先程の言葉も嘘偽りが無い事が分かってしまった。


「まぁそういう事だ。そろそろ、転生させるぞ。」


そう言い、彼女が指を振ると小春の立っている地面に『転生』という文字が現れ、光り出す。




「……ツクヨミ、色々とありがとうな。」


俺は彼女の方を見て礼を言う。

彼女はフッと笑うと、口を開く。


「ああ、短い間だったが、まぁ悪くない時間だったよ。転生した後の人生、後悔しないように生きろよ?」


「ああ---頑張る。」


そう言い残し、小春は文字の光に包まれ姿を消した。







一人残されたツクヨミは、少しの間何もしないでいると。


「また、会えるといいな。宮野小春。」


そう呟き、彼女も姿を消した。

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