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ベルフが冒険者として好き勝手にやらかしていくお話  作者: 色々大佐
第二章 主人公、別の町に到着する

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第五十話 後半戦プロローグ

 現在、ベルフはエデンの生活を満喫している。

 水や食料については近くに水源となる泉も見つけたし、死霊に侵されていない動植物は食料として非常に優秀だった。

 住む場所についても、ログハウスのような木で作られた建物をサプライズの建築魔法で作り上げたことで解決している。更には、エデンの中にいる死霊共との戦いは最適な娯楽であり、今日も日々エデンの中にいる死霊達と死闘を繰り広げていた。ベルフは、自身が冒険者になってからこっち、初めて充実したと言える日々を送っていた。


 しかし、どんな生活でもそれが長く続けば飽きが来るものだ。現にベルフも満たされた幸せな日々を送っていたが、少し物足りなさも感じているのも事実だった。

 そして、ついにベルフはヤツに手を出すことを決める。



 ベルフは現在、森の奥に存在する例の骸骨の近くにいた。これから、あの骸骨野郎を叩きのめす為にだ。

『ベルフ様、マジでやっちゃうんですか?』

「うむ」

 サプライズがベルフに最終確認をしていた。自身の主がこれから成そうとする暴挙が信じられなかったからだ。


「あれからレベルも八から九に上がった。だからもしかしたら行けるんじゃないかなと俺は思っている」

『レベルが上ったこと自体はめでたいことですけど、流石に相手が悪すぎるというか何というか』


 エデンに篭もること二週間ばかり。ついにベルフは自身のレベルを上げる事に成功した。こんな短期間でレベルが上がるなんて天才だとか、さすがベルフ様だとかサプライズが褒めていたのはつい先日。そこから速攻でベルフが無茶を始めるとはサプライズにとっても流石に予想外だった。


『できればもう少しレベル上げに勤しんでも良いのではと私は思います。ほら、経験値になりそうな死霊共も沢山いますし』

「やだ、いま行きたい」


 こらあかん。ベルフの思考パターンからすると止めるのはまず無理だとサプライズは悟る。ベルフの身に付けているリストバンドから機械音声でため息を一つ付くと、彼女も覚悟を決めた。


『そこまで言うならわかりました。では、敵の基本情報をおさらいします、良いですね』

「良いぞ、あの骸骨についてわかっている事を述べてくれ。情報は重要だからな」


 コホン、と一声出すとサプライズが説明を始める。

『えー、まずですが、あの骸骨がベルフ様の快適なエデン生活の中心的役割を担っているのはご承知ですね』

「ああ、あれのおかげで、この周囲には死霊が出現しないのは知っている。ベルフ帝国を作り上げた暁には、この偉業について教科書に載せても良いと思っているくらいだ」

『それはよろしい事だと思います。さて、話を戻しますが、死霊が出現しない理由なのですが、どうにも、あの骸骨が周囲の死霊を吸収して己の魔力にしているからみたいなのです』

「ほー」

 ベルフが骸骨の方を見る。森の中にぽっかりと開いた、この広場で件の骸骨は静かに座っていた。


『ちなみに、昔のエデンが草木も動植物もない場所だったという話を手下三号達としていましたよね?』

「そういや、カイやレイラとそんな話をしていた気がするな。で、それがどうした?」


『恐らくですが、エデンに動植物が増えた理由はあの骸骨ですね。生物に取り憑いていた死霊達を吸いまくって、生物を増やす下地を作ったんだと思います、つまり今の快適ライフが過ごせるのはあいつのおかげです。他にも、あいつの馬鹿げた魔力のせいでエデンのシステムに不調をきたして悪霊の類がエデンから抜け出したりしているとかもありますが、それはまあ些細なことでしょう』


 サプライズの説明にベルフは一度考え込む。

「なるほど、あの骸骨の功績がまた一つ増えたな。こうなると討伐するのもちょっとだけ惜しくなってくる」

『でも退治するんでしょう?』

「うむ」


 それはそれ、これはこれ。面白そうな敵には手を出すという基本理念をベルフは持っている。

『では、私はベルフ様の身体能力強化に全力を注ぎます。あれには恐らく通常の魔法は通じないでしょうからね。有効な攻撃はその剣で切りつけることだけだと思いますから』


 サプライズとの会話を終えると、ベルフが件の骸骨に近づこうとする。広場には相も変わらず、骸骨から放たれている魔力が渦巻いており、それらは実際に手で振れることが出来る程に濃密であった。


 身体に纏わり付くそれらの魔力を強引に振り切りながらベルフは広場を進む。近づけば近づくほど、骸骨の放つ魔力の強大さをベルフは肌で感じている。どれだけの死霊達をその身に宿して自身の魔力に変えたのだろうか。恐らく、千や万ではすまないはずだ。

 まるで、水の中を泳いでいる様な動きづらさを感じながらも何とかして、ベルフは骸骨の前までたどり着いた。


「そういえばサプライズ、まだ聞いていないことがあった。この骸骨の正体は何なんだ?」

『正体ですか? 元の人間が誰かと言う事ですか? それともアンデッドとしての正体ですか?』

「どちらも知りたいが、いま聞いているのはアンデッドとしての方だな」

『アンデッドとしてですか、それなら目星は付いてます。恐らく――』

 サプライズは少し言葉を溜めてから普段と同じように平素な声で語った。

『恐らく、死霊達の王リッチです』

難産だった

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