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ベルフが冒険者として好き勝手にやらかしていくお話  作者: 色々大佐
第二章 主人公、別の町に到着する

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第四十六話 森の奥

「よし、行くか」

『行きますか』


 翌日、一晩ぐっすりと寝たベルフは体力も回復したとあって、エデンの中へと突撃しようとしていた。サプライズも、ベルフの付けているリストバンドから絶好調という感じで機械音声を発している。


『ではベルフ様、探索するルートですが、南側は前日まで探索していた場所ですので、ある程度の地形がわかります。逆に北側はまだ未踏ですので、行くとしたら何があるのかも分からず、その分、危険も大きいでしょう。どちらに行きますか?』

「北」

『了解しました』


 と言うわけで今後の方針も決まり、早速階段を降り始めるベルフ。しかし、そのベルフの行く手を遮るようにレギオン達が、まだ階段でたむろしていた。

『こいつらもしつこいですね。どうします?』

「こうする」

 そう言うと、ベルフはレギオン達の目の前に立って剣を抜き放つ。しかし、それでもレギオン達は逃げ出さなかった。それどころか、見えない壁に阻まれているにもかかわらず、尚もベルフに襲いかかろうとしている。そしてベルフは、その見えない壁越しに剣をそのまま突き出した。


「GAAAAAAAAAAA」


 剣を突き刺されたレギオンが悲鳴を上げて消えていく。ベルフの持っている剣は対アンデッドの能力が高く、レギオン達にとっては天敵とも言える武器だからだ。

 ベルフは、そうして次々にレギオン達を剣で突き刺していく。レギオン達に知能がないのか、それとも別の理由があるのかは知らないが、レギオン達は全滅するまで一体もそこから逃げ出す事はなかった。


「これで階段の掃除は完了したな」

『所詮は死霊というところですか。知能もクソもありませんでしたね』


 松明を片手に階段下のエデン入り口まで降りていくベルフ。先程退治したレギオン達で打ち止めだったのか、階段下には死霊達がいない。その代わりに自然豊かな、のどかな風景が広がっていた。


『ここも死霊や悪霊たちがいなければ、こんな景色になるんですか』

「まるで面白みのないクソ田舎みたいな場所だな」

『ですね~、やはりここには死霊達は必須です。料理における調味料の役割と同じですね。素材の味を引き立てるためにはスパイスが必要ですから』


 散々好き勝手に言い出しているベルフとサプライズ。とりあえず事前に決めたように、北側目指してベルフは歩き始めた。


 基本的に壁沿いに沿って歩き続けているベルフだが、やはりと言うか死霊やアンデッド達があふれるばかりに出てくる。

 最初はそこそこ呑気に歩いていたベルフだが、今は剣を片手に周りを用心しながら歩いていた。先程からスケルトンやレギオン達と断続的に戦闘を行い続けているからだ。そうして、警戒しながら歩みを続けると砂漠のような砂ばかりのエリアにベルフは入り込む。


 エデンには風が吹かないので砂塵などは吹き荒れていないが、ここは足場も悪い上に戦闘などが起きると砂塵が視界を奪うので、非常に戦いにくい場所に見えた。ベルフにとっては、あまり長居したくないのが本音だ。そして、その砂漠では宙に人魂のようなものが浮いていた。

 

 ふよふよと浮いている、その人魂は、オレンジ色をしていた。一つ一つがサッカーボールほどの大きさのそれは、無数に砂漠の上に陣取っている。とてもではないが人魂を避けて通るのは不可能に見えた。


『あれはウィスプですね。ベルフ様、注意してください、あれは火の魔法を使います』


 ベルフはわかったとばかりに頷くと、じりじりとウィスプに近づいていく。足場が砂とあって一足飛びに斬り捨てるのは不可能と判断したからだ。

 ウィスプはまだベルフに気づいてないのか、ベルフの目線程度の高さでふよふよと宙に浮いたままである。


「それで聞きたいんだが、あいつの魔法はどの程度の強さだ?」

『そこまで強くはありません。だいたい、ウィスプの体積と同じ大きさ程度の火の玉を放ってくるだけです』

 と、そこでウィスプが自身に近づいてきているベルフに気がついた。

 ウィスプの身体が一際輝くと魔法を撃つ準備に入る。しかし、ベルフもそれは読んでいたのか身体を低くして潜り込むように駆け足で切り込む。ベルフの踏み込みで砂塵が舞うと、そのまま縦にウィスプを切り裂いた。オレンジ色の光輝く球体が、真っ二つになって消えていく。


 討伐完了とベルフが体勢を戻すと、急に周りからボッボッと音がしてくる。音に釣られてベルフが周りを見ると――

「わお」

『わお』

 ウィスプ達が魔法の発動準備を終えた音だった。どうやら先程の一体だけではなく、この一帯にいる全てのウィスプがベルフを敵だと認めたらしい。問題は、それだけの数のウィスプが魔法を撃とうとしているわけで、当然膨大な数の火球が生み出されていた。

 

 無数の炎の弾が一面に浮いていた。まだ放たれてもいないのに、ベルフの肌をジリジリと焼け付ける。一番近い炎の弾とベルフの距離は最低でも十メートル、それにもかかわらず押し寄せてくる熱波はそれだけでベルフを後ずさりさせた。


『ベルフ様、ここから退避することをおすすめします。具体的に言うと、あっちにある森の方へと大至急逃げましょう』

「あれを食らったら流石に骨まで残らないか」

『まあ、骨くらいは残ると思いますが、肉体を構成するその他全ては炭になりますね』


 そんな無駄話をしている内に、ウィスプの放った火球の群れがベルフ目掛けて飛んできた。ドドドドと着弾地点の砂を巻き上げながらベルフの周囲に着弾していく。

 自身に襲いかかる分だけの火球だけは剣で振り払いながら、ベルフは砂漠地帯から脱出を試みる。後ろを向いて逃げ出す隙もないため、そのままウィスプ達と相対する格好でベルフは距離を開けていく。


 時に避け、時に襲い掛かってくる火球を切り払うことに専念して、何とかベルフは砂漠から抜け出す事に成功する。ウィスプの放つ魔法は確かに数は膨大だったが命中率という点ではかなり難があったのが幸いした。


 森の入口付近まで後退すると、ふう、と一息落ち着くベルフ。流石にここまでくればウィスプ達も追ってこないだろうと思っていた矢先、先ほどと同じように、またウィスプの放った火球がベルフ目掛けて何発も飛んできた。ちょっと掠ったのか、ベルフの履いている靴が少しだけ焦げる。


 ドカンドカンと火球が着弾した爆発音のする中で、ベルフが周囲の木々の中に慌てて身を隠す。見れば、火球のせいで周囲の木々が燃え始めていた。それだけではない、その木々の中に潜んでいたレギオン達も、その火にあぶり出される様に這い出てきている。

  

「おいあいつらしつこいぞ、どこまで追ってくるんだ」

『とりあえず、この森の奥へと行きましょう。ウィスプもレギオンも視界にさえ入らなければこちらを狙ってこないはずです』

「森の奥で良いのか?」

『はい、森の奥です。本来なら森林火災が発生している場所に留まるのは火葬場まっしぐらの案件ですが、残念ながらこの状況ですと、森から出て姿を見せるほうが遥かに危険です。一旦森の奥へと逃げて、そこから抜け出しましょう』


 と、そうしている内に火の手が更に強くなってきた。煙と炎、そして悪霊どもが蠢く中で、ベルフもこの場から離れることを決意する。

「サプライズは探知機能を全開にして、この森の中で迷わないように道案内を頼む」

『わかりました』


 そう言うとベルフは身を隠していた木々から飛び出す。それをチャンスとばかりに襲い掛かってくるレギオンやウィスプ達の放ってくる火球を全力で振り切ると、ベルフは森の奥へと走って行った。

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