表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/35

グレイフェンリルの飼い方5 飼い主がいないあいだの犬の行動を見てみましょう

 食事が終了した。

 火には井戸水をかけて消してある。

 串などの道具の洗浄は残っているが……それより先にやりたいこともあるので、後回しでいいだろう。

 俺にとって美味い飯ではなかったけれど、みんなだいたい満足してくれたらしい。

 シロもツンもロッチもネムも、それからもう1人も草原に寝転がってごろごろしている。


 そういえば――

 全員の名前が決まった。


 最後の1人にも、きちんと名前をつけた。

 せっかくだし、1人1人呼んでみよう。

 俺は咳払いをした。

 犬の親子が一斉にこちらを見る。

「あー、これから、君らの名前を呼びますので、自分が呼ばれたらきちんと返事すること」

 ツンが首をかしげた。

「……どういう意味のあることなのです?」

「意味か……」

 特にない。

 決めたから呼んでみたくなっただけだ。

 しかし、こう、子犬どもに期待する眼差しを向けられると、無理矢理にでも意味をでっちあげたくなってくるな……


 俺は神妙な顔で言った。

「たとえば咄嗟の時に名前を呼ばれて、反応できないと困るだろ? そういうことがないように、普段から名前になれてもらおうと思ってな」

「つまり、調教なのです?」

 子犬どもが純真な目でこちらを見ている。


 調教かあ……

 たしかにそう言えなくもないんだが、人型の子犬に〝お前らを調教するから〟っていうのは人としてどうなんだろうな……

 ううん……いや、しかし、そう、彼女たちはあくまで犬なのだ。

 人間だと思えば問題のあることも、犬だと思えば問題なく思える。

 今後は彼女たちをなるべく犬のように扱っていく努力をしなければ、とついさっきも思ったような気がするし……

 そうだな。


「ああ、調教だ。これから本格的に始める前に、軽く肩慣らしって感じ……かな?」

 語尾に自信がなくなっていた。

 ツンが真剣な顔でうなずく。

「わかったのです」

 騙してるみたいでやや心苦しいのだが、とりあえず名前を呼ぶことにしよう。

 俺はもう一度咳払いした。

「では、最初、シロ!」

「はい! あなたのシロです!」

 元気よく手をあげる。

 子犬どもが感心したようにシロを見ていた。

 ツンがたずねてくる。

「ああいう感じで返事をするのです?」

 俺は苦笑する。

「まあ、無理のない範囲で、ハッキリと返事をしてくれれば」

「わかったのです」

「では次、ツン!」

「はいです」

 シロに比べればやや元気がない感じだが……

 ツンはもともと物静かなタイプだし、こんな感じが彼女らしいだろう。

 満足しつつ、次の子へ視線を向ける。

「ロッチ」

「はぁい」

「ネム」

「……ねむぅ? ……ねむぅ。なのー」

 それ返事なのかな……

 ちょっと微妙なラインだ。

 でもまあいいか。

 次いこう、次。

 俺はつい先ほど名前を決めた子に声をかけた。

「最後、クウ」

「ぼく?」

「そうそう。さっき決めたろ? お前はこれから〝クウ〟だ」

 よく食べる印象だったから。

 食事に興味津々という感じだったから。

 特徴をあらわしたいいネーミングだと思う。

 自画自賛。

 クウが真剣な顔でうなずく。

「わかった。ぼく、クウ。おとーさん、クウです」

「はいはい。よくできました……ってなわけで、これからよろしくな、みんな」

 口々に「はーい」という返事が聞こえた。

 名前を呼んだだけなのにすごい達成感だった。


 さて。

 そろそろ目的を果たすか……

 なにがしたいかと言うと、すげえ着替えたい。

 スウェットがヤバイ。

 汗とか血とか砂とか毛(子犬のもの)でやばい。

「というわけで、俺はちょっと部屋で着替えてくる」


 ゲームの〝モンスターテイマー〟において、データの閲覧などをする場所があった。

 調教師室という場所で、たしかプレイヤーはそこで寝泊まりしている設定だったはずだ。

 本当に服が置いてあるかは、ぶっちゃけ微妙だった。

 たしかにアイテムに〝調教師の服〟というものは存在しないのだが、それぐらいあってくれてもいいだろう。

 また、調教師室ではチュートリアルを受けることができる。

 操作方法や育成のコツなどが記され書物が置いてあるという設定だ。

 この世界で、育成に必要なことはだいたい〝体が覚えている〟様子だが……

 知識面でも吸収しておきたい。

 というわけで、次なる目的地は〝調教師室〟だ。


 なのだが……

 シロがあからさまにおどおどとし出す。

 尻尾が垂れて耳がピクピク動き、視線は定まらず冷や汗を垂らし始めている。


 俺は彼女に問いかけた。

「……シロ、どうした?」

「えっ!? いえ! いえいえいえいえいえ! そんなまさか! シロはなにもしていませんよ!」


 ああ、なんかしたんだ……

 グレイフェンリルたちは本当に隠し事が下手だな……

 まあいい。

 ちょうど、シロと2人きりで話したいこともあった。

 今まで避けていた話題――つまり、子犬どものことだ。

 問いたいのはただ一点。


〝本当に俺とシロの子供なの?〟


 俺の知る〝モンスターテイマー〟には、出産のシステムがない。

 というか育てたモンスターが子供を産むというシーンもないし、子供を産める様子もないし、そもそも調教師とのあいだに子供を作れるなんて聞いてない。

 胃の痛くなるような話をされそうなので避けたかったのだけれど、疑問のまま放置するにはあまりにも問題として大きいような気がしてきていた。

 かといって子犬どもの前でそれを聞くのはさすがにはばかられる。

 なので、2人きりになりたかった。


 俺はシロへと告げる。

「ちょっと部屋まで一緒に来てくれないか?」

「えっ!? あ、あの……シロはご主人様のご命令には逆らいませんよ? 逆らいませんけれど、できれば他の部屋がいいなあ、なんて……」

「なにしたんだ……」

「なななななにもしてないですがががが!?」

「だったらいいだろ」

「………………………………わかりました」

 シロがうなだれる。

 なぜだかこっちが悪いことをしている気分だった。


 調教師室はたしか、調理場から出て左斜め前に見える木造の建物だったはずだ。

 見た目はあまり他の建物と変わらない。

 木造の四角い小屋で、屋根には藁のようなものが使われている。

 風通しがよさそうな建物だ。

 他と比べるとややこじんまりしているだろうか?


 俺はシロを引き連れて歩き出す。

 と、ぞろぞろと子犬どもがついてきた。

 振り返って告げる。

「……悪いけど、シロと2人で話したいことがあるんだ」

 子犬どもが顔を見合わせる。

 代表するように、ツンが言った。

「調教なのです?」

 汚れのない瞳で見られてしまった。


 子供に〝ちょっとお母さんを調教するから2人きりにしてくれ〟とか、すげえ言いにくい……!

 しかし彼女たちはモンスターなのだ。

 むしろ〝調教する〟と言っておいたほうが納得するだろう。


 俺は――人として大事なものが壊れていくような感覚を覚えながら――うなずいた。

「ああ。そういうわけだから、ちょっと遊んでてくれ。くれぐれも敷地から出ないようにな」

「わかったのです。ママ、がんばるのです」

 グッと拳を握りしめる。

 シロが力なく笑う。

「はぁい……ママ、がんばりますよ……」

 なぜかすべてをあきらめたような笑顔だった。


 俺はシロだけを引き連れて調教師室の中へ入った。

 内部はゲームで見たままだ。

 簡素な木のベッド――

 大きめの文机――

 クローゼットに見える木の棚――

 それに、壁に合わせるように設置された本棚ぐらいしかない。

 本棚の中にはぎっしりと書物がおさまっていた。

 ハードカバーの本だ。

 ……そういやゲームしている時は気にもしなかったが、このあたりの文明レベルでハードカバーとか製造可能なのだろうか。

 書物ってめっちゃ貴重品なんじゃねーの?

 まあ、プレイヤーはこれだけの設備を用意しなきゃならん調教師だ。

 たぶん金持ちなんだろ。

 気にしないことにして俺は文机へと向かう。


 入口からは見えなかったが、そこには俺が普段使っているであろう椅子が……

 椅子が……

 ええとぉ……

 たぶんこの椅子は木製で、尻を支えるクッション部分は籐のような素材で編まれていたのだろう。

 そういう面影は想像できるのだが、椅子の現物はひどいありさまだった。

 クッション部は銀色の毛が大量についており、しかも破れていた。

 椅子の脚などにはかじられたのであろう跡が無数についており、座ったらボキリといきそうなぐらい痛みきっていた。


 俺はシロを見る。

 シロがサッと顔をそむけた。


 ……ベッドを確認する。

 実はさっきから妙にふくらんでいるなと思って気になっていたのだが……

 シーツをめくった。

 もともと、このベッドは木製の台に布を一枚敷いただけの簡素な作りのようだった。

 めくったシーツの下には、破壊の痕跡があった。

 まず、シーツの下にさらに何枚かのシーツがあって、これらはグチャグチャに丸められ、ところどころが破けている。

 そして銀色の毛がついていた。


 俺はシロを見る。

 シロがサッと顔を背けた。


 ……クローゼットらしき棚を開ける。

「うわあ……」

 中には、ゲームで他の調教師が来ていたような衣類がかかっていた。

 白いシャツに革のツナギというようなもので、丈夫で動きやすく、締め付けも少なそうなデザインだ。

 ボロッボロだった。

 どうにか無事なものはないかと探す。

 ……助かった。ギリギリ、三着分ほどはまだ着られる状態っぽい。


 俺はシロを見る。

 シロがサッと顔を背けた。


 俺はシロに近づいて、彼女の顔を両腕ではさみこみ、無理矢理こちらに向けさせた。

 ほっぺたを左右から圧迫されて変な顔になりながら、シロが視線を泳がせる。


 俺は問いかけた。

「なにをした?」

「……お、おこらないですか……?」

「話を聞いてからじゃないと判断できないな」

 シロが言葉に詰まる。

 それから、真面目な顔で言った。

「シロはこの部屋で暴れました!」

「よく白状した……っていうか、なんでまた」

 グレイフェンリルは誠実で賢く、忠実だ。

 主人のいないあいだに主人の部屋で暴れるというのは、どうにも考えにくい……

 あ。

「まさか、シロ、俺の育成にストレスをためて……!?」

 シロが慌てて俺の手をつかんだ。

「そんなことはないです! シロはご主人様に調教されるの大好きです!」

「お、おう……」

 面と向かって真剣に言われると、なかなか衝撃の大きい言葉だった。

 シロがしゅんとする。

「ただ……寂しかったんです。ご主人様いなくなっちゃうし、人間さんたちとも仲が悪くなっちゃうし……しかも〝調教師狩り〟が始まったていう話まで! シロはご主人様にあいたくって、それで、ご主人様のにおいが濃い場所で手当たり次第……」

「そうか……」

「ちょうどいい機会だったので、ご主人様の持ち物についた他の子のにおいを消しておきたかったですし……」

「そ、そうか……」

 まあ犬だし。

 犬だし……

 シロがさらに続ける。

「もともとですね、シロは他の子がご主人様ににおいをつけるのはいやなんです。どうしてせっかくシロがすりすりしてつけたにおいを上書きしてしまうんですか?」

「いやまあ、なんていうか、その……」


 色んなモンスターを育成するゲームだし、としか言えない。

 育成中に〝におい〟なんていう隠しパラメーターもなかったはずだし……

 しかし、現実で考えれば、犬はにおいに敏感な動物だ。

 他の生物のにおいがついていたら嫌がるのは当然かもしれない。


 俺はシロを慰めるように頭を撫でた。

「……とにかく、悪かったよ」

 シロが俺の手に頭をこすりつけるようにしながら言う。

「いえ、いいんです。ご主人様はシロだけのものじゃない……わかっていますから」

「シロ……」

「こうして2人きりになれただけで、シロは満足です」


 ガチャン。

 なぜかシロの背後の扉から、施錠した音が聞こえた。


「え、シロなんで鍵締めるの?」

「ご主人様……シロはただ、においをつけたいだけなんです」

 にじりよってくる。

 俺はたじろいだ。

「待って、待って。なんか怖い。なんか怖いよシロさん」

「わかっています! シロは今では子持ちです! だからこんなこと思うのおかしいんです! でもでも! たとえ子供でも他の子のにおいがつくのはイヤなんです!」

「ちょっと落ち着け。冷静になれ。俺も冷静になるから」

「だからご主人様、シロの気持ちを受け止めてください!」


 シロが。

 ルパンダイブした。

 俺に。


 突如飛びかかってくる相手を避けるには部屋が狭すぎた。

 そして、受け止めきるには不意打ちすぎた。

 シロを真正面から受け取ったはいいものの、支えきれずに倒れ込んでしまう。

 押し倒されるかたちだ。


 シロは俺に馬乗りになると、目を輝かせた。

「子供の前なので淑女な振る舞いをしていましたが、もう限界です! シロは……シロは獣になります!」

「出会い頭に全裸で抱きついてくるのを淑女というなら、この世界には淑女以外いねーよ!」


 というかこんな子だったのか!

 ゲームをしてるだけでは見えてこないもの多すぎィ!

 シロの顔が俺にちかづいてくる。

 なんだろう……

 まったく想像もしていなかった押しの強さに、どんびきって感じだったのだが……

 こんだけかわいいと、〝まあいっか〟って気持ちになるよな。

 俺は目を閉じる。

 シロの体温が顔の近くまで来て――

 それから、俺の胸のほうへ移動した。

 ……目を開ける。

 飛び込んできた光景に、しばし言葉を失った。


 シロが。

 すごい勢いで俺の胸に顔をこすりつけていた。


 しばし沈黙して様子を見守ったあと、たずねる。

「……えっと、なにしてんの?」

「においをつけています!」

 答えたあと、においつけ作業に戻った。


 ……

 ………………

 ……犬か!

 いや、犬なのか!

 そうだった……忘れるところだった……こいつは犬、犬なのだ。

 ちゃんと犬と見て接しようと心に決めたはずなのについつい見た目に騙される。

 安心した。

 ちょっと残念でもあるが……

 あと、確信した。

 こいつとのあいだに子供なんてできるはずがない。


 俺は聞きたかったことをたずねる。

「……なあ、ツンたちのことだけどさ、本当に俺とお前の子供なのか?」

 シロがピタリと動きを止める。

 そして、ゆっくり顔をあげた。

「実は……あの子たちは拾ったのです。人間さんとの争いが始まってすぐ、あの子たちの調教師は……どう言ったらいいか……残念なことになっていたので」

 あっさりとした白状だった。

 ツンたちが世話になるはずだった調教師たちに対しては、どう言っていいかわからないが……

 ひとまず俺は胸をなでおろす。

「だよな。モンスターと調教師のあいだに子供はできないもんな。それに、俺はシロになんにもしてないもんな」

 そのへんは記憶にないので、ちょっとあやしいところでもあるのだが……

 なさそうでよかった。

 シロが神妙な顔で告げる。

「いえ、いずれご主人様の子供は産みますが……」

「聞こえない聞こえない。なんにも聞こえない」

「いえ! いずれ! ご主人様の! 子供は産みますが!」

「大声で繰り返せって意味じゃねーよ! 表現に遠慮とか羞恥とかがなさすぎだろ! 本能むきだしか!」


 なんか……

 こいつとの付き合い方がわかってきた気がする。

 子供の前だとちゃんとして見える(現在との比較)のだが、基本的にはダメなわんこだ。

 子犬ども4人と比べても、ぶっちぎりで甘えん坊なのはシロかもしれない。

 ……ま、それがわかってくると、よく俺がいない期間を乗り切ったな、と改めて感心する。

 寂しかっただろうに。

 それでも、子供を助けて、育てていたのだ。


 改めて、俺は愛情をこめてシロの頭をなでた。

「意外な一面を見せられてしまって戸惑ったが……よくがんばったな。俺がいないあいだにお前がしてきたことだけは、ちゃんと褒めてやりたい」

「はい。シロはがんばりましたよ。ご主人様にあいたくって、褒めてほしくて、がんばりました」

「偉かったぞ」

「はい……ありがとうございます」

 シロが俺の胸に耳をつけて目を閉じる。


 ……黙っていると、本当にかわいい。

 行動にちょっと突飛なところはあるけれど、大型犬だと思って接すれば、なるほど、これもかわいいじゃないか。


 シロが静かにささやく。

「……もしよかったら、ほしいものがあるんです」

「なんだ? 俺にやれるもんなら、やるぞ」

「子供とか……」

「わかった。俺とお前で戦争だ。俺は負けない」

「なんでですか!?」


 モンスターに手を出す調教師とか色々最低だからだよ。

 っていうか、よく考えたら、俺、シロのこと子犬のころから育ててるんだよな……

 光源氏計画みたいになってるぞ。

 これでシロに手を出したらいよいよもって俺の負けだ。

 敗北すると人としての良識とか矜持とか様々なものを失う。

 この戦い、絶対に負けられない。

 俺はお前の超ストレートな誘惑に、決してやられたりはしないからな!

 即墜ちの前フリじゃないぞ!

 次の瞬間〝やっぱりかわいい女の子には勝てなかったよ〟とかはならないからな。

 同様に、ロッチはじめシロ以外の子犬どもや、他のモンスターに同じように迫られても決して負けたりしない決意もする。

 俺のつらく長い戦いは始まったばかりだ……

 シロを押しながら起き上がる。

 抵抗はなかった。

 俺に逆らわない気持ちに揺らぎはないらしい。

 たまに甘えさせるのも……まあ、なんだ。家具とか服とか破かれても困るし、ガス抜きは必要だろう。


 上体を起こした段階でため息をつく。

「とにかく、聞きたいこと聞けてよかったよ。実は地味に気になってたんだ。ツンたちの出自」

 ゲームと同じで、やはりモンスターに〝親子〟という関係はなさそうだ。

 シロの宣言がやや気になるところではあるが……

 実際にたしかめることはないだろう。

 清いままでいてください。

 シロが真剣な顔をする。

「あの……あの子たちには、しばらく黙っていてください。本当の親子じゃないってこと」

「……そうだな。それがいいだろう」

 いらない波紋を広げることもない。

 シロが微笑む。

「ありがとうございます。真実はあの子たちが大人になったら伝えようと思います」

「うん」

「ちゃんと、ご主人様はご主人様であってパパじゃないよって教えて……その時改めて、ご主人様の子供を産みたいかどうか聞いてみますね」

「うん、それは聞かなくていいからな」

「あ、もちろん、ご主人様が意思の確認なしがお好きなのでしたら、聞きませんよ!」


 そういうことではない。

 シロの中の俺はどんな鬼畜になっているんだ。

 だが、ここで簡単に説明しても意味がない予感がした。

 これは調教が必要そうだ……


 ともあれ、色々と発見があったのはよかった。

 服はある。

 本はあとで中身を確認しよう。

 あと――

 次にシロと二人きりになる時は、充分に精神力と体力を回復してからにしよう。

 なんていうか……

 大型犬にじゃれつかれるのは、かなり体力がいるのだとわかったので。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ