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憧憬

少年の頃、未来は夢に満ちていた

車は空を飛び

温かなロボットが子守をし

弾丸列車が海の下を疾走する。

僕はそんな地球を見下ろしていた。


少女の頃、未来は夢に満ちていた。

姫衣装があふれ

美男美女が銀座を闊歩し

メロンが朝食に添えられる。

私はそんな日常のヒロインだった。


青年の頃、未来は不安に満ちていた。

車は黒煙を吐き

NC旋盤が精密加工を見せつけ

テロがあちこちに出没する。

僕は一人ネットに毒を吐いていた。


乙女の頃、未来は不安に満ちていた。

体重は上がり続け

高価なハイヒールは痛く

派遣には嫌な仕事が押し付けられた。

私には年下アイドルが癒しだった。


中年の頃、未来には無関心だった。

婚活はとうに諦め

部下と上司の両方から責められ

貯金だけが頼りだった。

僕は一人ぼおっと煙を吐いていた。


熟女の頃、未来には無関心だった。

英才教育はとうに諦め

家事をせぬ夫との会話も減り

黙々と弁当を作り続けた。

私は肌の手入れだけが趣味だった。


未来の崩れていく音が聞こえる。

過去という財産を握りしめ、おのれの未来から目を背ける。

巣立った部下の活躍を素直に喜べず、孫にはわずかに距離を置く。

それでも砂は刻々と落ちていく。

必死にバランスを取りつつ、届かぬ未来にチラリと目をやる。

せめて、誰かのために、祈ろう、幸多き未来を。

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