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エウロパの巫女
誰かが私の意識をゆっくりゆっくりと沈めた
やがて、意識が拡散し、氷を溶かした
私は極寒のエウロパで祈る
いつか誰かが私の声を聞くだろうか
私が人を忘れる前に
誰かが私の心を厚い氷の下に閉じ込めた
やがて、心が拡散し、瞳に光が宿った
私は白銀のエウロパで祈る
いつか誰かが私の光を見るだろうか
私が人を忘れる前に
誰かが私の思い出を奪い去った
やがて、ありもしない思い出が生まれ、力を得た
私は無人のエウロパで祈る
いつか誰かが私の力を頼るだろうか
私が人を忘れる前に
ヘーゼルの瞳が私に昔を語りかけてきた
人を忘れた私に、恋を教え、命を諭そうとした
私は荒んだエウロパで祈る
いつか私が彼を理解するだろうか
彼が私を忘れる前に
私は極寒のエウロパで祈る
イオの情熱に嫉妬しながら
私は白銀のエウロパで祈る
ジュピターの渦に畏怖しながら
私は無人のエウロパで祈る
待ち人が現れるのを待ちながら
私は荒んだエウロパで祈る
オアシスを想像しながら
私は辺境のエウロパで祈る
人に戻るのを夢見ながら




