仮面イクメン
月曜日
シーツと枕カバーを持って下の子を保育園に送り届ける。
作り笑いを浮かべて保育士に挨拶する。
美人で愛想がよく、二十代なかごろだろうか。妻より十は若い。
妻がいなければ誘っていただろう。
火曜日
一分一秒を惜しんで仕事を切り上げて、保育園に走る。
園長先生に詫びを入れながら、帰り支度をする。
そして、テレビをつけっぱなしにして、夕飯を用意する。
九時までに風呂入れまで終えれば目標達成だ。
水曜日
いつものように早起きをして、朝食を用意する。
夏休み中は、さらに上の子の弁当作りが加わる。
前日から食材を解凍し、冷凍食品も利用する。
そして、五色の彩を考えながら重複を避ける。
木曜日
同僚に詫びを入れながら、お迎えに行く振りをする。
もちろん、朝の当番は抜かりがない。
木曜日の晩は仮面イクメンの休日。
指輪をはずして、約束の酒場へ向かう。
金曜日
出張のある日は、さらに早起きをする。
前日の晩に洗濯物を干していれば万全だ。
妻の頬に口づけて、そっと尻を撫でて詫びる。
今日は泊りなのだと嘘をつく。
土曜日
朝の光の中で白く弾力のある肌を楽しむ。
入念にシャワーを浴びて、たばこの煙をワイシャツに吹きつける。
振り返らずに駅で別れるのが決まりだ。
キャリーバッグと無精ひげのまま上の子の習い事に付き合う。
日曜日
要領の悪い妻をからかいながら、洗濯、掃除、買い物、料理。
得意の理科と算数で上の子と笑いあい、
体力づくりを兼ねて下の子をだっこする。
日曜日はイクメン演技に磨きをかける日。
そしてまた仮面イクメンの一週間が始まる。




