新米少年と未来
「はぁぁあぁあぁ……い、いっけぇぇーッ!!」
剣を持った少年は、モンスターをなぎ倒す。
彼は、モンスターが動かなくなり、土に還るのを確認すると、笑みを浮かべた。
興奮で乱れた息を整えながら、手の甲で頬の汗をふく、ふりをする。
彼は、森の中にいた。まだ森の入り口付近で、振り返ると遠くには城下町の城壁が見える。
城壁の垂れ幕は普段と違い華やかで、少年は今起きていることがよぎったが、すぐに消す。
その手前では、広大な畑が続き、ちらほらと昼の休憩をしている農民がいる。
彼の近くで静観していた少女は、突然噴き出したかと思うと愉快そうに笑いはじめた。
「はっはははは……! スライム倒すだけで、そんな声あげないでよ。 おっかしー!」
「なっ何事も全力がモットーなんだよッ」
少年は、顔が熱くなるのを感じ、隠しながら慌てて言った。
冒険を始めるものは、国がこの森から始めるようにと決められている。
その取り決めは随分前からある。その理由は定かではないが、入口から深部にかけてモンスターが強くなっていく特殊な森であるから、新米冒険者のための配慮だと考えられている。
そして彼だって知っている。
最初で最弱のモンスターはスライムだということを。
スライムの姿は半透明のジェル状で倒すことに躊躇するようなものではない。
さらに、先制攻撃が必ずできるのである。10代前半の少年でも3回ほど力を込めて叩けば
倒れ、やがて地面に吸収されるほどもろいモンスターだ。
逆に、スライムを倒すことが冒険の始まりという考えになるまでに浸透している。
「ヘタレなんだからぁ。 やっぱり、祭りの日に決行してよかったね。 ははははははッ」
少年も、少女につられて大きな声で笑い出す。
「ははははは! だーれもいないね。 今日はもう少し先まで行こう!」
「いざとなったら、わたしが助けてあげるわよぅー? 先輩なんだから」
「3日前入り始めただけだろ? たいしてかわらないじゃないか」
少年は腹を抱えて笑い出す。
少女も楽しそうに少年を見らがら、微笑む。
二人は、信頼の眼差しで見つめ合い、進んでいった。
その後ろ姿をスライムが見ている。
先ほど少年によって、土へ隠れたスライムから通達があった。
斬撃からオーラを感じとった。彼はこの世界に有益であると。
歩を進める少年を見ていた半透明のスライムは、さらにさらに透明に、さらに軽く堅くなっていく。
そして一瞬のうちに彼へと飛びつき、彼を覆うのであった。
彼は気付かない。他にもスライムに守られている者も、気づいてはいない。
気づいてはいない。
スライムはこの世界を操作する存在であることを。
やがて加護された者は、名声を得る。
けれど、スライムはどのような目的で加護しているかは、人の一生だけではわからない。
おしまい
とうとう投稿してしまいました…!初小説です。感想、アドバイスよければお願いします。