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精霊の幸う国の古城管理人【第一部完結済み】  作者: 橘 佐和
 

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aperitif~プロローグ~

 報われずとも報いよ。


 そもそも〝家令スチュワード〟とは、あるじに代わり財政、物資、そして人員のすべてを管理し、城や貴族の邸宅、荘園などの運営を筆頭で担う、家内で最高位の役職である。

 執事や家政婦長以下すべての使用人の上に立ち、こと家政に関しては、あるじに次ぐ権力を有しているといっても過言ではない。

 ゆえにあらゆる業務に精通した知識が必要であり、またあるじに代わり来賓と接するためのマナーや教養、立ち居振る舞いなど、あらゆる面で品位、品格が求められる。


 ――しかし、何より必要なものは、あるじへの忠心と誇りだ。

 それだけの権力を許されているからこそ、あるじへの忠誠を胸に誓い、傲らず、そむかず、日々の生活が万事無事であるように、あるじの財産である人、物、金、土地、そのすべてを保護していかなければならない。

 そして家令の誇りとは、それらすべてを預けられるに足る、あるじからの信頼――そして時には、その信頼に立ち向かうことである。

 あるじに最も近しく、あるじに直接なにごとかを進言できる立場であるからこそ、家令にはまた、もうひとつの役割がある。


 報われずとも、報いよ。それが、我々レコンフォール家が代々受け継いできた、王家へのまことの忠誠である。

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