第一話 予言 ①
かの島には、幾年も昔から言い継がれている予言がある。
雲の綻びに世界の破滅の兆しあり。程なくして名を持たぬ厄災が四方の門を叩く。水は堤を超え、火は土の奥より息を吹き返し、風はその道を忘れ、地は低く唸るであろう。それと共鳴するかの様にして南の島より這い出た者達により、街の灯りは一つまた一つと潰え、人の言葉は途切れ、暦は遂にその役目を終える。これは今より三百年の後、皆既日食の日に訪れるだろう。その日、人の世は静かな終端に吸い込まれる――。
ラムダとオメガ 第一話
ラムダとオメガが住んでいるのは、アスフォーダルと言う名の島である。総住民617人。総面積7.9平方キロメートル。その島の中心には住民全員が集まり日々を暮らしている集落が。その集落の外には海辺まで広がる森林が。ついこの間秋が最高潮に達した為、アスフォーダルには橙と黄の紅葉が訪れている。鮮やかな森林を抜けて砂浜に出ると、そこに広がっているのは硝子の様に澄んだ海。水平線の向こうまで続いたその海は、アスフォーダルの孤独さを際立たせている。波は一定のリズムで薄く笑い、白い砂をそっと撫でて消えていく。水底まで明るく照らす太陽の光に、紙片の様に行き交う魚の群れ。ここにいると、自然と胸が洗われる様な気がしてくる。
そんな特徴を持つアスフォーダル。その森の中には魔獣が蠢いている。彼らは様々な形を成し、それぞれが独特な特徴を持ち合わせている。とある魔獣は馬に似た肉体に巨大な一角の角を頭に侍らせており、また別の魔獣は大きな目玉を口から覗かせる空飛ぶドクロ。お伽噺の様に幻想的な者から逃走本能を掻き立てる者まで、ギリギリ目に見える程に小さな者から十メートルを優に越す程に巨大な者まで、魔獣は多種多様な種類を持つ。
現在ラムダとオメガを取り囲んでいるのは、猿に似た魔獣。しかしその額には三つ目の瞳が存在しており、その尻尾の先端には命を刈り取る鋭い刃が。集落東側の森の中、十三匹の魔獣が二人と交戦しているのだ。木の上に登り、口の両端を引き上げて笑う魔獣を見て、オメガは面倒臭いと言いたげな溜め息を吐いた。
「……どうやら囲まれたようだな」
「良いよ、私が全部片付けるから」
ラムダが手元に握っているのは一メートル程の杖。木を彫り出して作られたその杖は表皮の深い筋で光を飲み込んでおり、触れてみると手の平がひんやりと冷たい。持ち手は持ちやすいように真っ直ぐだが、先端部分は渦巻く様にゆるく曲がり、一周する直前で断面を見せている。ラムダはその様な杖の先端を猿型の魔獣に向けた。彼女から十メートル程距離を空けた木の上で、魔獣は変わらず笑っている。
「君達、今からでも逃げた方が良いよ」
ラムダがそう言うと、彼女の杖全体が発光を始めた。太陽光を反射する鏡の様なその光は徐々に杖の先端に集まり、それと同時に光の濃度が高まっていく。その光に従う様にして森の木々は呼吸を速くしていき、壊れたフルートの様な甲高い音が森中に鳴り響く。
亀の様にゆっくりと、しかし確実に強まりつつあるその光は、魔獣達の本能を刺激するのに充分すぎた。足はすくみ手は震え、体中の汗腺からは汗が滲み出てくる。先程まで上げていた口角がすっかりと下がっている事に気が付いた時には既に、杖の光が一点に濃縮しきっていた。
逃げなければ死ぬ。杖を向けられていた魔獣がそう判断したその瞬間、森全体が稲妻の様な眩い光に包まれた。それが収まると、魔獣の胸元にはポッカリと空いた穴が。鼓膜が自らの心拍を拾ってしまいそうな程の静寂の中で、穿たれた穴の縁だけがじわりと燻り、焦げた毛と湿った血の臭いが遅れて鼻腔へとへばり付く。その穴が自らの絶命を意味していると理解すると同時に視界全体が不意に曖昧になり、天地の感覚がどこかに行ってしまった。全身の力がふっと抜けて頭から地面に衝突すると、他の魔獣の間に緊張が走った。
地形的に上にいたはずの自分達が、気付いたらまるで逃げられない穴の底にいる様な感覚。その穴の縁からこちらを見下してくるラムダ――共通の認識が全員に渡った瞬間、残りの魔獣達は蜘蛛の子を散らす様にして四方八方に逃げ始めた。木々の枝と枝を次々と渡り、その穴の底から逃げ出そうと。しかしそんな彼らの胸元には一つ、また一つと不可視の魔法が。
力なく絶命し地面に落ちていく仲間達を見ていた魔獣の一匹は、自然とその手の平に汗を握り始めた。体全体の震えは止まる事を知らず、呼吸困難になり胸の奥からは吐き気が。またもう一匹、目の前で仲間が射抜かれると、思わずその魔獣は枝を掴み損ねた。空気抵抗が全身を包み込み、なす術無く地面に――その瞬間、彼の僅か頭一つ上をラムダの魔法が通り抜けた。
「あ、一匹逃しちゃった」
その魔獣は手元が狂った事により、ラムダの狙撃を運良く回避したのだ。これはチャンスに違いない。そう考えた魔獣は地面に落ちた衝撃などすぐに忘れ、両手両足で地面を走る。もう他の仲間は皆殺されており、残されたのは彼のみなのだ。
ここから逃げきったら寝込みを襲い二人の喉を掻っ切ろう。そしたら死んだ仲間達と共に、あいつらの頭蓋骨で血の盃でも交わそうじゃないか――そう考えていた魔獣の真正面、そこで彼を待っていたのは黒髪の男だった。
服の上からでも分かる鍛え抜かれた肉体。服の生地は肩と胸の山に沿って僅かに張っており、両腕と両脚は木の幹の様に太い。前腕には縄の様な筋が浮いており、脛には山の様な膨らみが。彼の丸められた拳には赤く輝く指輪が嵌められている。顔は精悍で、釣り上がった目付きは一瞬たりとも狙った獲物を見逃さない。眉は薄く短く刈られており、目尻には薄い傷跡が一本。鼻梁は真っ直ぐ伸び、顎は削った様に強い。彼の体は全体的に必要な部分のみが厚く膨らみ、それ以外は必要最低限。彼の武術の極みを体現した様な佇まいは、動き出すその一瞬以外全身が静寂に包まれている。
「よう、随分と遅かったな」
オメガだ。奴が何故ここにいる?先程までラムダの隣にいたではないか。
魔獣はそう考え再び心の中に恐怖の感情が芽生えたが、すぐに首を振って考えを改めた。そしてその顔に再び笑みを浮かべると、彼に向かって飛び掛かる。尻尾の刃をオメガに向け、大きく見開かれた魔獣の三つ目。
こいつを殺す事で仲間達の敵を討ち、その後にあの女を殺せば良いだろう。大丈夫、こいつは女の横でただ茫然と事の成り行きを見ていただけなのだから――。
しかし魔獣の刃がオメガの喉に達するその直前、魔獣の視界から彼の姿が消えてしまった。尻尾の刃物は虚しくも宙を振り、未だに状況を呑み込めていない魔獣。その瞬間、彼の右頬に強い衝撃が加わった。頭蓋骨からは到底想像もつかない程に大きな音が鳴り、脳が痛みを認識するよりも前に、視界がゆっくりと百八十度回転した。そしてたった今全身を打ち付けたのが雲か地面かも分からないまま、魔獣は徐々に体の自由と意識を失っていった――。
絶命した魔獣を見つめるオメガ。死体は鼻、口、耳から黒にくすんだ血を流し続けており、その顔は恐怖の表情が漏れ出ている。魔獣の右頬はオメガが殴った為大きく膨れ上がっているが、恐らく魔獣は何が起こったのか理解する前に息絶えたのだろう。
そんな魔獣の死体を眺めているオメガの元に、足音が一つ近づいて来た。
「オメガ、ありがとね」
ラムダだ。腰まで落とされたツインテールの白髪。翡翠色をした穏やかな瞳。彼女の身長は手に持っている杖と殆ど大差なく、こうしてオメガと並ぶと彼の胸元辺りまでしかないその小ささがより強調される。オメガは彼女から目を逸らすと呆れた口調で、
「構わん、どうせ何匹か逃すと思っていたからな」
彼の言葉にラムダは僅かに顔をしかめ、
「……長老に魔獣の討伐報告しようか」
魔獣の掃討を確認し、帰路に立つ二人。
紅葉したアスフォーダルの森はまるで炎の様に鮮やかで、上空から地面まで彼らの視界を彩ってくれている。猿型の魔獣の捜索に時間がかかってしまった為、枝葉の隙間から漏れてくる木漏れ日は、今が黄昏の時間帯だと教えてくれている。
人肌にも似た生暖かな風にラムダが眠気を感じていると、ふと視界全体が縦に揺れ始めた。最初は足の裏で砂粒が跳ねる程度の小さな――それはすぐに列になって押し寄せ、巨大な獣のいびきの様な地鳴りが周辺に鳴り響く。足元の揺れは波の様に増幅し、木々が同じ方向へ一斉にうねった。すぐ近くで一斉に鳥が飛び立ち、枝の間を割く羽音が空気を切り裂いている。揺れは更に力を強くなっていき、縦に突き上げる振動は徐々に横へと解けていく。枝葉は吹き飛ばされないように幹にしがみ付き、葉擦れは紙を割く様な音へと。地面の小石がその場で踊り始め、鳴り響く音は大太鼓の様な低い音へと沈んでいく。
「地震だ」
ラムダがそう呟くと、少し前を歩いていたオメガは右腕を彼女の前に持ってきた。
「かなり強いな。ラムダ、俺に掴まっておくか?」
「要らない」
ラムダは彼の腕をぺしっと叩くと、二人はまた集落に向かって歩き始めた。
そのまま歩みを続けると、二人が辿り着いたのは太陽を白く反射する砂浜。粉砂糖の様に軽い砂は指と指の間を音もなく零れ、少し先では波と共に溶け合っている。波は呼吸の様に一定のリズムで砂浜に押し寄せ、すぐに糸の様な細い線を残して引いていく。普段の海は空にも負けない程に青々しいが、今日は何だかエメラルドの様な緑を含んでいる気がする。二人はそんな景色を見ながら少し困惑した顔付きを見せた。
「あれ?集落に戻りたいのに……間違えて南に行ってたのかな」とラムダ。
「お前に道案内を任せたのが間違いだったな」
「私はオメガについて行ってたんだよ」
オメガは軽く溜め息を付くと、海の向こう側に視線を投げた。
アスフォーダルの周囲には他の島はない。その為この島は四方八方全てが、水平線の向こうまで水の平野が広がっている。しかし太陽が必ずしも東から昇ってこない様に、何事にも例外は存在する。それは今回も同じで、アスフォーダルからも確認可能な別の島が一つ、辛うじて存在する。
アスフォーダルの遥か南、その水平線上に存在しているのはリフォストと言う島。その島は一面を木々に覆われていると言われており、そこにはアスフォーダルとは比にならない程の魔獣が住み着いている。そしてリフォストの大きさ、気候、地質、歴史――それら全て、何もかもが不明である。
人の言葉が意味を成さない獣の島。空白の地図その物。海の上に浮かぶその島をしばらくの間眺めると、二人は来た道を引き返した。
南の浜から北に歩いて四十五分。そこに広がる彼らの集落。南側から集落に入ると、まず左右にずらりと出迎えるのが二種類の建物。一つ目は人一人分沈んだ地面にそっと草の甲羅を乗っけ、正面に低い戸口を設けた建物。中に入る小さな火が円形の空間の真ん中を乗っ取っており、彼らが普段命の営みを行っている場所だ。もう一つは人一人分高い場所に建てられた建物。四隅の太い柱で支えられ梯子を使って出入りするその建物は、天井以外の五面を木の格子で粗く編まれており、屋根は麦色の茅葺きになっている。主に食べ物と貴重品の保管に使われており、湿り気と獣の牙を遠ざける為に少し高く造られているのだ。
それら二種類の建物が左右に陣取り、そしてその最奥にあるのが彼らの長老が住まう建物。太い柱が等間隔に並び、その土台の上に立つのは二段重なった茅葺きの天井。壁と床は白木を基に作られており、その壁の外には回り縁を挟んで手すりがぐるりと。その建物の正面には階段が待ち構えており、比較的高い戸口がその先に。その入口を潜ると、自然光を通さない内部は意外と薄暗い。壁には火の付いた蝋燭が一定の間隔で備えられており、床には畳がギュウギュウに詰められている。少し行った先でその床は畳一枚分盛り上がっており、天井からは仕切りが垂れている。そしてその奥に控えているのがアスフォーダルの長老・ヴァニタス。彼は長老と言う名のイメージ通り、頭部は禿げ上がっており顎からは長い白髭が。彼の頬は加齢のせいで垂れ下がっており、上は黒、下は白黒の縞模様の袴をその身に纏っている。すっかりと落ちてしまった長老の瞼は、彼が寝ているのか起きているのかすら読み取る事が出来ない。
長老から見て一段低い所まで来ると、ラムダとオメガは深く息をついてスッと膝を折った。左膝を地面につけ、右膝は立てたままの状態。そのまま左手を地面につけると、自然とそこに彼の体重が押しかかる。肩を下げ首を深く折ったまま彫刻の様に静止したその姿は、お手本の様な敬礼の姿勢だ。長老はそんな様子の二人を見ると満足気に頷いた。
「ラムダ、オメガ、頼んでいた魔獣を討伐してくれたようだな、ありがとう」ヴァニタスは首を上に折り、「彼らの討伐は元々他の者達に任せていたのだが……返り討ちに合ってしまってな。それを軽々と倒してくれるとは、やはりお主らは強いな」
「滅相もございません」とオメガ。
「それでだな、もう一つ依頼をしても良いだろうか?いや、これは単なるお願いに過ぎないから、もし嫌ならば断ってくれても構わないが……」
口の中でそう反復しているヴァニタスに痺れを切らしたのはラムダだった。彼女はいつもの様な物静かな口調で、
「なんだか今回はやけに慎重ですね。いつも通りならこっちが嫌がってても無理矢理やらせていましたけど」
オメガはラムダに目を移し、
「お前なあ、もう少し長老に敬意を――」
「良い。何故なら今回のは今までに無い程に深刻だからな」
長老がそう制止するとオメガは再び姿勢を正した。ラムダは急かす様な口調で、
「それで、依頼は?」
彼女の言葉の後の長老の様子は不審と言わざるを得なかった。彼の言おうとした言葉は喉の奥に閊えてしまい、彼の唇はブルブルと震えている。それと共鳴するかの様に彼の両手も振動しており、一度彼は何かを言おうとしたが、すぐに途切れてしまった。
一旦落ち着こう。そう考えた長老は一度大きく息を吐くと両手の震えを止め、今度はゆっくりとした口調で言葉を発した。
「……二人でリフォスト島に赴き、この世界を救ってくれ」
ヴァニタスがそう言うと、ラムダとオメガの目が大きく開かれた。
「お主らも知っての通り、災害の日が近づいておる。皆既日食が訪れる日にありとあらゆる自然災害がこの地に降り注ぎ、『何者か』がこの地に訪れ、そして人類は一人残らず死に絶えると言う予言……数年前までならばただの笑い事だったかもしれん。だがしかし最近の災害の頻度は、その予言が真実であると告げているかの様であろう?その予言にある『南の島より這い出た者達』が、我々が住む島・アスフォーダルの南にあるリフォスト島から来るであろう事は想像に易い」座ったまま頭を垂れ、「どうかあの島に住む魔獣を一掃して、来たるべき災害を食い止めてくれ」
ヴァニタスがそう言い切ると、その場には不意の静寂が訪れた。三人共黙ってしまい、外からは自然の声音が漏れ出てくる。鳥のさえずり、木々のさざ波、獣の唸り。予想より遥かに大きなその提案に、ラムダもオメガも即答をする事は出来なかった。
しばらくしてラムダが隣を見てみると、オメガの両腕が細かく震えている事に気が付いた。彼女はどうしてなのかと言いた気な口調で、
「オメガ、手が震えてるよ。怖いの?」
「違えよ。余りにも嬉しすぎてな……これは武者震いって奴だ」
オメガがそう言うと彼の中で何らかの決意が固まったのだろう。そのままヴァニタスの方に顔を向けると、
「長老、必ずや俺達が魔獣達を蹴散らしてこの街を、この世を救って見せます」
長老は満足そうに笑いながら頷き、
「そうか、ありがとう。ラムダも彼と共に南の島に渡ってくれるか?」
「私は災害とかには興味無いけど……良いですよ。オメガが行くなら私も行く。でも幾つか質問しても良いですか?」長老が再び頷いたのを認め、「何でリフォストに行くのが私とオメガだけなんですか?確かに一番強いのは私とオメガって言うのは否定しませんけど、誰かを同行させても良いんじゃないかなと」
「もっともな質問だな。勿論誰かを同行させても良いが……勧めはせん。数ヶ月前、来たるべき災害を止める為に百を超える戦士をリフォストに送り込んだ事があっただろう?華やかな送別の宴を行ったからお主らも覚えているはずだ」
ラムダの脳裏に浮かんだのは五ヶ月前の宴。あの時は珍しく動物の肉も出されていたのでよく覚えている。特段何のための祭りかは知らなかったが、戦士を送り込む為に行ったのか。そう言えば最後の肉を取り合ってオメガとケンカをしたな、とラムダが思っていると、長老は話を続けた。
「だがその結果は悲惨な物であった。リフォストに旅立った百名の内、生きて帰ってきたのはたったの三人だった。その内の全員が何かに酷く怯えており、とても会話を出来る状態にはなかったのだ。そして彼らの精神が回復するのを待っていたが……全員、すぐに死におった。察するに南の島で魔獣の攻撃を受け、その三人以外が殺されたのだろう」
ヴァニタスのそんな話を聞いていると、オメガの顔はすっかり強張っていた。
「あの島に我々人間が長時間滞在するのは不可能だ。つまり重要なのは数ではない。人数を減らし、魔獣との遭遇確率を減らし、災いの根源のみを止める。これがあの時学んだ事であった」
「……だからこの島で最も腕の立つ私とオメガだけで行く、と言う事ですか」ラムダは顎に手を持ってくると、「具体的には何をすれば良いんですか?魔獣と交戦してその数を減らすだけなら、人数を極端に絞った意味が無いと思いますが。そもそも本当に『南の島より這い出た者達』が魔獣かすら分からないのに」
「そう、我々は何も分からないのだ。この災害の予見すら昔から伝わる予言が由来に過ぎないからな。だからお主らには来たる災いの正体を突き止めて欲しい。そしてやはりその正体が魔獣の大氾濫であるならばその巣を掃討し、もし違うならば臨機応変に対応をするのだ」二人を牽制する様な口調で、「曖昧な事は分かっておる。だがどうか、この世の命運はお主ら二人に掛かっている事は理解してくれ」
「それで、次に皆既日食が訪れる日は?」
「一月後だ。それまでに災いの正体を突き止め、世界を救うのだ」
長老からの話を聞き終わった二人は、最後に礼の言葉を述べて建物を後にした。




