実験
「ああ。成功だ」
俺は笑いながら言った
「これでだいぶやりやすくなったね!」
雫も嬉しそうにしている。
まあ確かにこれで安全が保証されるしいざという時にもすぐ取り出せるため戦いやすくなった
「てか。説明に書いてなかったけど…もしかしたらこんな感じで隠されてる機能がまだあるのか?」
俺はふと疑問に思った
「あ〜確かにありそうだね」
でも今回はたまたまあれが出てくれたし次はそうはいかないよなぁ…どうするか。見つけれたら便利なんだろうけど
などと思考を巡らせていると…
突如。アナウンスが流れた
「えぇ!?急に何!?」
俺たちは驚き、その音が発せられている天井のスピーカーに視線を送る
てかマジびっくりしたんだけど心臓飛び出るかと思ったわ校長絶対に許さない。
俺は校長に恨みを抱きながらも思考を巡らせる
『準備時間が終了致しました。只今より、鬼を放出いたします』
俺はハッとし、端末を見る
するとそこには赤く「0:00」と書かれていた
「そうか…もうこんな時間だったか」
俺は繰り返されるアナウンスをききながら顎に手を当てこれからの事を考える。
…鬼の位置を知れないのはきついな…どう行動するか…
と。考えたところで、再びハッとする。
そうだ!たしか……
俺はすぐさま端末の電源を入れ、スキルのアプリを開く。
「やっぱりあった…」
俺はニヤッと笑った
「異彩さん…?」
やっと混乱から戻ってきた雫が困惑する
「ふぅ。ちゃんと機能してくれよ…?」
俺は息を吸い…叫ぶ
『コマンドコール!サーチ!!』
その瞬間。俺の視界から壁などが透け…学校全体が見えるようになった。そして、学校内に9つの青い点と1つの赤い点が見えた。
「なるほど。こんな感じで見えるのか」
俺は顎に手を当てながら考える。
多分…青い点の方は俺たち参加者だろうな…
それじゃあ…赤い点は、鬼で間違いないだろう。
見たところ鬼のスタート地点は体育館だ。とするとここならまだ問題はないだろう
そこまで考えたところで。俺の視界は通常に戻る
外から入ってきた太陽の光により一瞬目を瞑ったが…すぐに慣れ、辺りの光景が視界に映る。
「これがデメリットかなぁ…」
これは鬼の前だと不利になるな…まあこのスキルは鬼の前で使う必要はなさそうだけども。
「ねぇねぇ…さっき何したの?」
後ろから雫につつかれる。
「あ〜。ちょっと俺のスキルを試してみたんだ」
そして先程起きたことを掻い摘んで説明する
「なるほど…それじゃあもう少し安心できるってことだね?」
「まあ。鬼の移動速度にもよるが、大体そう思ってもらって構わない」
俺の言葉をきいた雫は安堵の息を漏らす
「あ。でもさ…」
雫はなにか思いついたような仕草をする
「ん?どした?」
俺は小首を傾げる
「いや。さっきみたいに叫んでスキル発動するってなんか不便じゃない?」
…たしかに。あれは不便だな。いちいち叫んでたりすると相手にバレるし何よりコンマ数秒発動が遅れる。
これが今みたいに余裕がある場合は問題ないが…ギリギリの場合だと危険だ。
「そうだな。なんかないかな……」
と。考えたところで、俺はとあることを思いついた
「そうだ!」
「ええなに!?」
雫は驚く…まあ当たり前か。
俺は思いついたことを雫に説明する
「なるほど…でもそれ君がやれば良くない?」
まあ。当たり前の疑問ですよね。
「いやそれがさ…出来ないんですよね。スキル見てみたけどクールタイムあるんだってさ」
そう。スキルにはそれぞれクールタイムが設定されてるらしい
「なるほどね。そんじゃあやってみる?」
「おう。頼んだ」
雫は目を瞑り、集中をする
そして次の瞬間。体が軽くなった気がした
試しに少し教室内を走ってみると…
一瞬にして反対側の壁に到達した…
「はっや!」
雫は何度目かの驚いた表情になる
いやまあ俺も驚いているんですけどね
「これも成功だな」
俺が思いつき。雫に試したもらったことは2つ。
まず1つはコマンドコールを言わずにスキル名だけで発動できるか。これができるとコマンドコールを言う時間を省け…時短ができる
そしてもう1つは。まずそもそもとして叫ばずに発動できるか。これでできたら叫ぶ必要がなくなり。楽になる
この2つが両方できた場合。とてもやりやすくなる。
そして…成功した為。スキルが圧倒的に使いやすくなった
「よし。そんじゃ、実験も無事成功だし…捜索を続けるか」
俺は少し走り…雫の前に戻る。すると体が少し重くなり、スキルの効果が切れたことを伝えてきた…