捜索
「ねぇ...」
俺が廊下を歩いていると…後ろを歩いていた雫が声をかけてきた
「どうした?」
俺が振り向きながらきくと…
「さっきのやつはなんだったの?」
と。返してきた。
さっきのやつ…?ああ。さっき雫に送ったやつのことか
「あー。あれのこと?」
俺は呑気に...
「あれは単純だよ。そのまんま」
『この中に裏切り者がいる』
と。呑気に…軽く…とても重大なことを言った
「え…裏切り者...?」
雫は案の定というべきか...ポカンと口を大きく開けて呆けていた。
「そそ。でもあの場で言うと戦闘力的に勝てないんだよな。だからあの時言わないでって言ったんだよ」
「あ…なるほど...だからね…」
雫は納得したように頷いた
「んま。そういうことだ」
「あ…そういえば」
雫は何かに気づいたように言葉を零した
「ん?どうしたの?」
俺は小首を傾げながらきいた
「いやさ。なんで君は私にしたのかなって」
「あーそういうことか。それは...なんだろな」
俺は苦笑して
「なんか。お前なら信用できる気がした」
と、言った。
これ言っててなんか恥ずかしいな
「えぇ、なんでぇ?」
雫は首を傾げる。
「わからないよ。でもなんか信用できる」
「えぇ...」
まあ、なんだろうな。本当になんかわからんけど信用できるんだよな...
雫が美月に似てるってのもあるかな…
って。美月って誰だ…?
なぜか知らない人の名前が頭の中にでてきた。
「どうしたの?」
おっと。どうやら表情に出てたようだ。
「いんや。なんでもない」
俺は苦笑しながら答えた
それから俺たちはとある教室の中に入ってみた
「えっと…なにこれ?」
俺は机の上にあった変なお札を拾った…
「お札...だよね?」
雫が横からひょこっと顔を出しながら言った
「うん…多分。でもこれ何に使うの…?」
俺は観察を続けた…
「あ」
雫が言葉を零した
「どした?」
俺は雫のほうへ顔を向ける
「いやさ。そこに罠って書いてあるじゃん?」
と。雫は札の中央へ指差す
「そうだな。多分罠なんだろうけど…」
俺は札を見る
「うん。多分罠だと思う…それでなんだけど。これもしかしたら鬼を足止めするアイテムじゃないかな?」
なるほど。鬼を…ね。さすがになんもなしでやらせるほど鬼畜ではなかったか
「そんじゃ。これは持っておいたほうがいいな」
と言い…その札を端末の上に乗っける。すると札は消え、代わりに端末に『ストレージに格納されました』と表示された
「よしっと。あ、あそこにもなんかあんじゃん」
と。言いながら教卓の上に置いてあったアイテムをとった
「これはナイフだな。しかもちゃんと刃がついてる」
ナイフはギラリと鈍く光った
「危ないね…」
雫は渋い顔になる
「んまぁ。とりあえずお前が持っとけよ」
と言い。雫にナイフを渡す
「えぇ?いいよ。君が持ってたほうがいいって」
雫は返そうとしてくるが…それを拒否して
「いんや。これは護身用にもっとけ。何があるかわからんから」
と。笑いながら言った
「...わかったよ」
雫も納得してくれたようだ
「ところで。それを持ち歩くのは危ないよな…」
俺は苦笑する
「そうだね。でもストレージに入れちゃうといざというときにだせないからね...」
そうなのだ。ストレージにしまったアイテムを出すのは時間がかかるのだ
うーん。どうするか。
俺は考えていた…その時。突如として俺の端末から光が溢れ出た
「えぇ!!??」
その光は形をかえくの字になり半透明の青色のくの字の何かが端末の俺側の斜め上に出来上がった
「なんだこれ…」
俺は混乱しつつもそれを観察すると・・・
その半透明のなにかの中に長方形の枠ができていた
「んー?なんだこれ」
俺が小首を傾げると…
「どうしたの?」
雫が心配そうにこっち見つめていた
「え…これが見えてないの?」
俺はくの字の何かを指差す
「え?見えてないのって…スマホのことだよね?」
雫はわけがわからないという顔になっていた
「え…これって自分にしか見えないのか…?」
俺はとりあえず何か操作しようと端末の電源を入れようとすると…
シュンッ!!という音とともにその何かが消えた
「消えたし…これは電源ボタンで操作するのか」
俺はスマホの電源を長押ししてみた
普通に押すだけだろ電源が入るだけなので長押しをしてみた
すると案の定。先ほどのあれがでてきた
「なるほどな」
俺が納得をしていると...
「ねぇ何が?」
雫がきいてきた
「ああ。わりぃ」
俺は謝りながら先ほどあったことを話す
「なるほどね」
「そういうことだ。それでこれは予想なんだが。あれは設定したアイテムを即座に呼び出すことのできる機能じゃないか?」
この予想をたてた理由なんだが…先ほどのあれには長方形の枠があり…それはストレージのアイテムの枠と同じだったのだ。そこから俺はこうじゃないかと予想した。
「なるほど。じゃあ早速やってみよっか」
雫はそう言いながら端末の電源ボタンを長押しする
「わっ!ほんとだ!」
雫は驚いた様子で端末を眺めていた
なるほど。ほんとに見えないんだな
「よし。でたな。それじゃそのナイフをそれの上に置いてみてくれ
「わかった」
雫は頷き。ナイフを空中に置く。するとナイフが消えた
「あ。これの枠にナイフが表示された。てことは?」
その言葉に頷き…
「ああ。成功だ」
と。俺は微笑を浮かべ言った・・・