薄れゆく意識の中で…
「………ゴホッ」
口から血を吐き、朦朧とする意識の中で目の前を見る
目の前には…黒い鎧を纏った魚型の鬼が俺の腹に深々と槍を突き刺していた…
ああ…もう死ぬのか……はぁぁ〜もうちょい生きたかったなぁ
俺は、消えゆく意識の中。そんなことを思った。
鬼は槍を俺の腹から抜いた。その瞬間、支えを無くした俺の体は重力に従って床に叩きつけられ、それと同時に血が溢れ出した。
そうか…槍が血を止めてくれていたのか…
止めるものが無くなった血は、勢いよく俺の周りの床を血色に染め上げていく…
とてつもなく寒い…腹はもう痛みすら感じない…
ていうか感覚が無くなってきた気がする…それに視界が黒に染め上げられていく……
それらは、確実に俺の死を意味していた。
「あはは…終わったなぁ」
たった1つ。最後に小さく呟き…俺の意識は完全に消えた…
…………はずだった。
雫が水面に落ちた音と共に俺の意識は少し覚醒した。
そしてその瞬間。一つの声がした。
『お前はまだ行きたいか?』
その単刀直入に問いていた声は、聴いたことがなく、しかし何故か懐かしい声だった。
そしてその質問に俺は…
(そんなの…当たり前だろ……)
と返した。声は出ず、相手に伝わるわけがないのだが…
『あっはっは!そうかそうか…この状況でまだお前は生を選ぼうとするか…ッ!』
なぜか声は俺の意思を汲み取り、笑いだした
(何がおかしい……?)
俺は怪訝に思い、つい聞いてしまった。
『いやいや……ただお前らしいなと思ってな』
俺らしい…?会ったことも無いはずなのになぜ俺のことがわかる?
俺は、すぐにでもぷつりと切れてしまいそうな意識の中。思考を巡らせた。
すると…声は俺に提案を提示してきた
『そうだ。俺にはお前を復活させる力がある。しかし、それなりの代償があるが、お前はどうする?』
俺は、その提案にとりあえず…
(その代償ってのはなんだ?)
と聞いた。
声は少し考えるような声を出し、
『俺にもよくわからない』
と返答した。
『俺にもその代償ってのはわからない…もしかしたらとても危険なことになるかもしれないが、お前次第だ。どうする?』
声は続けて、再び聞いてきた。
もしまだ生きれるなら生きたい…でも、それには代償がつく…しかもその代償はまだ何かわからない…
どうする…どうする……?
俺は、長考し、結論を出した後…
なんとか笑顔を作り、声に言った。
(お前に任せた…)
声は少し素っ頓狂な声を発した後。大きく笑った
『そうか!!危険を伴う賭けでも生を選ぶか!!実にお前らしい!!』
とても嬉しそうな声を発し、更に言葉を続けた。
『提案の通り、必ずお前を復活させてやる!!だからそれまで、少し寝ているがいい』
その言葉の直後、とてつもない眠気が俺を襲った。
意識が切れる前。最後に、声に向かって言った
(…頼んだ)
……完全に意識が消えた後。俺は小さく呟いた。
『ああ。任せろ、カムイ』
そして俺は、力を発動した…
銃を受け取り、廊下に出た瞬間。端末から機械音がなった。
「おっちょぉ?なんだなんだ?」
俺達は各々自分達に配布された端末を見て、驚愕する。
その内容は…
『鳩鏡異彩さんが鬼に捕まりました。残り生存者8名』




