光
私はうっすら目を開けた。
なんか屋敷が騒がしい。
私はベットからむくりと起き上がり侍女を呼んだ。
「ねぇ。マイ。何かあったの?」
「あぁ。お嬢様。なんか公爵一家がいらっしゃったそうなんですよ。
噂ではカレンお嬢様を迎えに来たとか...」
聞かなければよかった...
涙があふれて来た。
「結局いつも、誰もがカレンを選ぶのよ...。
私はカレンの次...」
思ったところで何も変わらないのに。
「お嬢様!大丈夫ですか?ってあっつ!」
マイは私のおでこに手を当てながら叫んだ。
「なんで言わないんですか!ベッドに横になってください!」
私は半ば強引にベッドに押し戻されてしまった。
暫くしても私の熱は下がる様子を見せない。
「はぁはぁ...」
体中が暑くて昨日のはこの前兆だったのか。と思う。
なぜ侍女たちに相談しなかったのだろう。
「お嬢様!奥様と旦那様を呼んでまいりますね!」
パタパタとマイは部屋を後にしてしまった。
「一人にしないで...」
私の口から出たのは素直な気持ちだった。
不安。
「お嬢様!奥様連れてまいりました!」
扉からひょこっと顔をのぞかせたのはマイとお母様だった。
「あらぁ!どうしたのぉ?お熱なのねぇ!たしかあんたの母親、前妻も熱で亡くなったらしいわねぇ!
あんたも死ぬのぉ!?あぁ。嬉しい!」
そして口を開いたお母様の口から出たのは衝撃的な言葉だった。
やっぱり私のこと邪魔だったんだ...
「ふふ。この侯爵家にあなたは邪魔だったのよ。私が欲しいのはかっこいい旦那様と可愛いかわいいカレンだけ。
旦那様が愛した、前妻の娘なんて必要なかったのよ。」
「えっ...」
マイも絶句してる...。
「今ね、公爵家の皆様が来ているのぉ!カレンを見初めてくださったんだわぁ!
だからあなたは引っ込んでいなさい!さぁ。いくわよ、マイ?」
え。私の唯一の侍女さえも奪っていくのね...
「えっ。でも...」
「いかないで。マイ!」
私はマイに向かって手を伸ばしたがお母様がマイを連れて行ってしまった。
「マイ...」
私の瞳から涙が流れた。
sideカイン
「お待たせいたしましたぁ!どうぞぉ!」
侯爵夫人は俺たちの訪問にウキウキ気分らしい。
その様子を見て妹はウエッと顔をしかめている。
「こいつキモイ...」
はっきり言ったぞわが妹。
「まぁ!聞き間違いですわ!」
母上の必死のごまかし。さすがごまかしのプロ...
「カレンももうすぐきますわぁ!」
来られても困るのになぁ。
「お母様ぁ!」
そうそうこの甲高い声。
「カレン!」
蜂蜜色の髪の毛を振り乱していてとても侯爵家の令嬢とは言えない。
「カイン様ぁ!わたしを迎えに来てくれたんでしょ!」
なんというお花畑頭...
「お姉ちゃんも喜んでくれるはずです!
応援してくれてましたもん!」
お姉ちゃん。
彼女のことか。
「お姉さんのことを教えてくれないか?」
俺が発した言葉に明らかに夫人が不機嫌になった。
「あらぁ。あの子のお話はこの場にそぐいませんわぁ!ね、カレンの昔話をしましょう!」
夫人の言葉とは反対にカレンは快く了承してくれた。
「いいよ!私の部屋来て!」
俺の手をつかみ自分の部屋に引きずり込んでいく。
「カレン!やめなさい!」
必死で止めようとする夫人を父上と母上が止めてくれている。
「ここ!カレンの部屋!座って!」
俺はピンクが基調となっている部屋のソファに座った。
「お姉ちゃんはね!美人で可愛くて頭もいいの!性格もよくていつもかばってくれるの!
お姉ちゃんとは半分しか血がつながっていないんだけどね」
俺は身を乗り出した。
「ちょっと待って!半分しかつながってないってどーゆーこと!」
「あぁぁ。お母様が言ってたんだけどね。
お姉ちゃんはぜんさい?の子供らしいの。それでねそのぜんさいにお姉ちゃんが似てるからお母様、お姉ちゃんこと嫌いなんだって」
なるほど。
この家には何かあると思っていたが...
ならなら早く彼女を_フィオナ_助けなくては。
俺はまたそう強く思った。
そんな時、一人のメイドが慌てて扉を開けた。
「おねがいします!カイン様!お嬢様を助けてください!」
「っ_!」
彼女の名前はマイ。
今彼女は高熱にうなされているらしい。
夫人などは何をしているのか聞いてみたところフィオナは死んでもいいと言っていたらしい。
俺とカレンは彼女の部屋へ急いだ。
慌てて入った部屋は青色を基調をした綺麗な部屋だった。
その隅にあるベッドには荒く息を吐きうなされる彼女、フィオナがいた。
カレンは彼女のベットにかけだした。
「お姉ちゃん!どうしたの!」
すると彼女は薄く目を開いた。
「カレン?カイン様はいらっしゃったの?楽しみにしていたでしょう?」
絞り出すようなきれいなか細い声。
俺もベッドにいる彼女をのもとに駆け寄った。
「その顔は。カイン様ですか?カレンを幸せにしてあげてくださいね?」
こんな時ですら彼女は妹を心配するのか。
おれはあわてて母上たちを呼びに行った。