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薄くて小さな青  作者: 恋刀 皆
7/9

第7話「青い花」

 まずはじめに、お義姉さん、姪のおふたり、

お誕生日、おめでとうございます!


 いつも、皆さんの存在に、本当に、助けられています。

お義姉さんにはともかく、人生の先輩として、

後輩に救われている現状は、正直情けないです。


 ですが、僕の兄がくれる情報から、姪お二人も、

すでに僕より大人に育っていらっしゃるのだなと覚えています。


 僕が心の病をわずらってから今年で丁度20年が経ちます。

そう考えると、姪お二人が生まれてきてくれてから、

ろくな愛情を注げてこなかった自分に失望もします。


 甥お二人にも姪お二人にも、できるだけ負担を掛けずに、

人生を生きていく事が僕の今後の大きな課題であります。


 僕はどちらにも全くお世話をさせてもらった事がないので、

僕の事はごくたまに、

心の片隅にでも置いておいてもらえるだけで満足です。


 姪お二人はどちらもとても美人に育っていらっしゃるから、

良い人と結ばれて、苦楽を共にし、

最期まで倖せでいてほしいと思っています。


 とはいえ少子化の現状を思うと、

お二人も結婚を現実的に考えて、

もしかしたら独り身を選択するかもしれませんね。


 お二人の父親、僕の兄がどういう父親なのか、

僕には知るすべがありません。

今更のこのこ顔を出せる面目も、僕にはありませんし、

僕は僕を閉じたまま、終わる事を望んでいます。

自分でも最低最悪の選択ですが、皆さんの晴れ舞台へも、

出席させていただく事はないでしょう。

それくらい僕はどうしようもない人間です。

皆さんのお陰でなんとか社会性をつなぎとめていられるのです。


 ですから、姪お二人も、僕の事は極力気にしないでください。

僕に関わっても良い事はありません。

僕の事で呵責を感じてしまわれる事が、お互いにとって最も不幸です。

ですから、僕を受け入れようとはしなくて大丈夫ですよ。


 お義姉さんも、僕に情けを掛けていただき、感謝しかありません。

お義姉さんのご両親へも、申し訳御座居ませんが、

結婚式でお会いさせていただいたのが、最初で最後になりそうです。


 僕みたいな不出来なおとうとにも叱責するでもなく、

お見守りいただいている現在、ご胸中は複雑でしょうが、

僕の兄と一緒になって下さり、幸甚の至りです。

僕の幼い頃から背中を追い続ける、僕には自慢の兄ですが、

これまでにお義姉さんへ様々な想いを抱かせてきた事は、

間違いないでしょう。


 兄はさすがに女性をみる眼も確かなようで、とても安心しています。

これまで僕が、お義姉さんご家族にお掛けしてきたご迷惑は、

計り知れない僕では御座居ますが、様々なお方様の力を借りて、

被害を最小限に抑える努力だけはしています。

謝罪などもはや無意味かつ空虚ですから、言葉もありません。


 存在とはごくありふれた奇跡では御座居ますが、

まさに「有難い」という言葉の重みを感じざるを得ません。


 僕は青い人間ですし、未熟です。

いくら歳を重ねようと、僕は僕を大人だと一生思えず終わるでしょう。

ですが、だからこそ青臭さが身近にあり、

そういったものたちに心を揺さぶられる毎日を送っています。


 僕の人生で咲いた青い花は、勿忘草です。

毎日欠かさず兄さんご家族を想い続ける事は困難ですが、

忘れたくはありません。


 いつも ありがとう ございます 愛しています


 ですから、どうか、



 あおいはなばなのために

ぼくをおぼえてくださっていたらうれしいです

さいだいげんのかんしゃを!

歌 空気公団 作詞・作曲 山崎ゆかり

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