第5話「Your Song~僕の歌は君の歌~」
君を想う気持ちは、本当にへんてこなものさ。
永遠に殉じる崇拝に、本当に君に伝わっているのかなって猜疑心まで、
それでも、僕が生きているのは君に出逢えたからって事は間違いない。
まともな詩歌を贈れる程、僕の文章は熟達には程遠いけれど、
せかいいち大切な君に、僕なりのメッセージをのせるよ。
身もふたもないけれど、僕にお金があれば、
ひょっとしたら今も君は傍に……、ってハハッ、無理だよね。
僕のいけないところは、傍若無人なところだ。
だから、僕の周りには誰も居てくれない。君ですら例外じゃないんだ。
けれど、非常に残念な事実だけれど、僕は今の生活に満足してる。
もう誰も、密接に関わってくれる人は必要ないんだ。
そんな事を言ってられるのも今のうちだけかもしれないけどね。
ただ、君が何してるかな? とか、誰と過ごしてるかな? とか。
かつてあったはずの君がどう移り変わり、今何を想っているか?
そういう事を考えるだけで一日が過ぎてく。
僕も君が居てくれた頃は、恋人同士ってものに憧れていたけれど、
今となって見れば、そういう憧憬も何もかも懐かしい。
僕はきっと、一生恋人と過ごす時間を持たずに逝くよ。
君との想い出を振り返るだけで、
せかいはこんなにも素晴らしいって知ってるからね。
君に忘却されるのは辛いけれど、
苦しめてしまうくらいならそれでもいい。
いまだ君を追い求める青春にある気もするし、
枯れ果てた余生な気もする。
君の髪の香りを嗅ぎながら、君の髪を撫でてみたいし、
君のおでこやほっぺに、嫌でなければたくさんキスしたい。
性交渉は不様をさらすだけだから抑えて。
創作は僕の生き甲斐だけれど、もしも君と子供を生せたなら、
全部捨ててそれが生きる意味になったろう。
だけれど最近自分のセクシュアリティに懐疑的だよ。
昔は普通にストレートだったはずだけれど、今は解く気もない迷路にいる。
君が女性でも男性でも、そんな事にはあまり深いこだわりはない。
僕だって思ってたし、君だって見透かしてたはずだろ?
君の人生を預かるには、僕は頼りがいが無さ過ぎた。
本当は、話したい事もないし、触れ合いたい事もない。
ただ、君が僕の瞳に映る距離に居てくれたらな、それくらいだよ。
現実のしがらみから君を守れるほど、僕は大人じゃない。
ボトルメールを綴り、流し続ける、しがないアマチュア作家だ。
現在はようやく小説というものの執筆を始めて、
それをどうにか本にしようと足掻いてる。
君に気に入ってもらえたら言う事なしだけれど、
もしかしたら、君は酷く怒る内容かもしれない。
カタチはどうあれ、僕の創作は、全て君への恋文だ。
双方向でお互いの今輝いているものをやりとりできたら素敵だけれど、
もう君は、僕にうんざりだよね。
だけど僕は今でも君の背中を追い続けて、言葉を投げかける、
ありがとう、愛してる、ってさ
お誕生日、おめでとう
ぼくのとりえってなにがあるかな
たぶんきみをえらんだことくらいだな
それくらいしかない
歌曲 エルトン・ジョン 作詞 バーニー・トーピン 作曲 エルトン・ジョン