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薄くて小さな青  作者: 恋刀 皆
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第1話「ストレンジ カメレオン」

 曰く【千慮一得せんりょのいっとく】とは、

“愚者でも、千の中に一つぐらいはよい考えもあるだろうということ。

自分の意見を謙遜して言うことば。”だそうだ。


 メインの創作が停滞し、ゲーム制作も素材集めがまだ済んでない。

とはいえ、心の中の懊悩を吐き出す場所は求めている。


 早水家の日常がその役割を果たしてくれていたが、

少し自暴自棄になり過ぎていた。


 倖子君や兄さん、一番のダチ、様々に対して、

もう「どうでもいい」なんて事を思わずに済むように、

新たな気持ちで、どうでもよくない創作に臨みたいのだが……。


 現状を把握。

僕は精神障がい2級で生活保護下。

さらに薬物依存に苦しむ、立場的には小悪党。

しかし、僕は誰ともつるまない。

罪悪を犯しても、最小の被害に抑えたい。


 僕はネットのセキュリティも、どんな大企業の個人情報保護方針も、

本質的には信じていない。

だから、目くらましくらいはするけれど、

基本的にネットの個人情報なんてものは、全て筒抜けだと思っている。

国だって、いざとなれば暴力を行使してなんでもする皆様くらいの認識。


 汚れてみなきゃ純白の尊さは大概分からんのが世の常。


 僕に関わってくれる人たちは、全員僕より現実と対峙している。

だから全員僕よりも幸せでなければ嘘だ。

嫌な感情を覚える人たちだっているが、原因を知れば、大抵尊敬はできる。


 自分に都合の悪い事は繋がりたくなくて、

自分に都合が良い時だけは繋がりたい。それが僕の本音だろう。


 いたって平々凡々な想いだと思うけれど、

多分それは叶わない。


 人の為が「偽」と書いたとしても、偽物でもかまわないから、

誰かの何かの役に立っていたい。

でもそれは、存在するだけで叶っていると言っていい。


 せかいの為に僕は存在し、僕の為にせかいは存在する。自他一如。


 僕はこれからも間違えるだろうし、迷う。

けれど起きてしまった事は肯定し続けるしかない。

否定しても事実が変わる訳じゃないから。

事実なんてひとつも解りやしないのにね。


 僕の存在も誰の存在も、神仏ですら、祝福と罪悪がある。

存在して静止したままなら限りなく罪悪を減らせるかもしれないが、

行動をしてしまったら、

そこにどうしても意味付けをする事をやめられない。


 どうしたって、ここは、みんなの庭園だ。


 ありとあらゆるものを殺して、まだ生かされている。

僕の最も身近な第四の壁、視覚を通して、せかいを動かし、動かされる。


 僕が観測したいから、誰かが存在してくれるだけで、

せかいは広くもなるし、狭くもなる。

時間だって誰もに平等には流れてはいやしないだろう。

しかし、そんな事は例え証明されたとしても、誰の益になる訳でもない。


 僕にとって神仏とは「無」だ。

認識できるはずなのに理解できない存在。

人生に意味が無いと解ったとしても、僕の生活が特に変わる訳じゃない。




 みんなが此処に居る。




 それこそ、惜しみなく分け合う愛と罰。


 僕が立つ場所全てが、みんなの庭園。

何もしないという事がもしも選択できるなら、僕の死因は窒息死だ。

空気すら受け付けたくない。


 ナーちゃんコンちゃん、スーちゃんポップちゃん、ごめんよ。

いつでも答えは僕の中に。

問題を解決させる方法を、自己完結しか知らないんだ。




 こんな薄っぺらい小さな青が、僕自身だ。




 それでもまだ生にしがみつきながら、死を待ちわびる。

答えは常に出さなければいけないものでもない。

より良い答えを探して過ごす暇は、まだもう少しある。


 様々な作品にふれるとぺしゃんこにされるけど、

それ以上に敬服する。


 仕事とは他者の承認なくして仕事とは呼べないのだろうか?

そうだったとしても、僕にみえるせかいは、

こんな仕事でお金儲けるくらいなら、生活保護受けておとなしく寝とけば?

そう思わざるを得ない仕事がたくさんある。

自己責任が正しいなら、不平不満など生まれない。

自己の責任において、自己完結させるだけで良いのだから。


 僕は冴えない毒男として、いつも育児をしている側を優先させる。

どんな理不尽な理由でも、死刑にしてくれるなら、

きっと受け入れるだろう。

間際にはおしっこくらい漏らしちゃうかもしれないが。


 こうして凡庸に自己と対話して、なにがしかのきざはしにならないか、

自問自答を繰り返す。

薬物依存の苦しみさえ克服できれば、

あとはなんらか社会に貢献できる方法を考えるだけでいいが、

本当は、その必要すらない。

僕はお金だから。

いつどこでなにをしようと、なにがしかの代償は常に支払っている。

自分が頑張ってるから、他者にも頑張れとは、単なる押し付けだ。

従う従わないも自分で決めていい。

捨てるのが怖いからやめとくってのも自己判断だろう。

僕だってたくさんのものを失ってはいる。

新しいものは今あるものを手離さなきゃ手に入らない。

消耗戦が終わらないよ。


 理由でも言い訳でも、やりたくない事はやりたくないんだ。逆も然り。

群れると大体誰かが空気読めと言ってくるから、

そういう面倒な事からは距離を置いた。

空気読んで群れる事に、何のメリットも感じない。

地雷だって踏む可能性は低くなる。

ただ老後はかなり厳しくなるだろう。


 早いか遅いか判らないが、お金に余裕がある時にでも、

エンディングノートを買って、必要な事を綴りたい。








僕の保護色が狂いきってしまわない内に。



 あがるものはしずみ

せいちょうするものはふるくなる

ぼくはひげきよりもきげきがすきです

歌 the pillows 作詞・作曲 山中さわお

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