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プロローグ
いらっしゃいませ。
お探しの花はございますか。
どの子もキレイですよ。
鼻をくすぐる甘い香りに細い腰つき、目にも鮮やかな色彩。
瑞々しい表皮は滴る水滴を、一筋の線を引くように床に落としている。
花屋の店先に並んだ色んな花を見ていた。
それぞれの違いはあるが、どれも皆キレイだ。
それなのにどうして人間は……・。
どうしてこうも、比べることに意味はあるのかと、違うからキレイなのに。
それなのにどうしてみんな、一人ひとり違うのに比べ違うのだろう。
私は店員に写真のついた紫陽花を包んでもらった。
支払いはいつものクレジットカード。
ここには様々な花が集う。
花屋の話。