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退魔の魔術師  作者: 霜野睦月
第1章 遭遇
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9

一応グロ注意

家を出てすぐに『アレ』がいる場所を探査する。

要した時間は2秒。

居場所が判明したところで密集している民家の屋根やマンションの屋上を足場にし、『目標』に向かって最短ルートで駆ける。

それにしてもタイミングがあまりにも良すぎる。


元々出現しやすい土地ではあるが精々週に1回あるかないか。

しかし今のを合わせて一週間ですでに5回。

雑魚ばかりではあったが、だとしても正直異常だ。

御影さんが来て早々というのも気になる。

あの母のことだ、これから何が起こるのかくらい見当がついているのだろうが……


「まぁなるようになるか……」


ため息混じりにブツブツ呟く。

思考を切り替え、今回使う得物を頭の中でリストアップする。


「おっと、忘れてた忘れてた」


駆けながらズボンのポケットに入っている携帯を取り出し、あの人に連絡を取っておく。

戦力は多いに越したことはない。

過剰戦力な気はするがまあいい。


「あ、今大丈夫ですか? え、女の子侍らすのに忙しい? あなた女でしょうが…… はぁ……そうですけど…… てか急用なんで出てきて下さいって。 今回は上物ですよ。いや、睦月のやつ今いないんですよ。 母からの仕事だそうです。 はい、よろしいお願いします」


電話を切り、標的の元へと向かう。






電話を終えてから5分ほど駆けたところで1人目の犠牲者を発見した。

服装からして女性。 既に息はなかった。


「こりゃまた派手に……」


散らかされていた。

肢体はねじ切られたように散乱し、首はおかしな方向にへし折れてぶらんとしている。

顔は何かおぞましいモノを見てしまったのか恐怖に歪んでいる。

可哀想だがそれだけではない。


胸から下腹部にまで繋がる大きな切り傷があり完全に開いてしまっていた。

中にあるべきものがなくなっていた。


一部ではなく全て。

肺も心臓も胃も膵臓も肝臓も胆のうも腎臓も小腸も大腸も十二指腸も子宮も。

臓器という臓器が跡形もなく消えている。

故に辺り一面は血の海。

よくここまで血が詰まっているものだなと思ってしまう。


空っぽ、がらんどう、人だったはずの人形、骨と皮だけが残ったモノ。

コレを創った『アレ』と戦闘すると思うと誰しも恐怖を覚えるだろう。

しかし恐怖どころか歓喜に満ち、生と死のやり取りの緊張感に快楽すら、今は感じてしまう。

気分がどんどん高揚していくのが自分でもわかる。


「久しぶりのキワモノだな…… しっかり味わってやらないと殺されたこの人に申し訳が立たないな」


獰猛な飢えた肉食獣のごとき雰囲気を纏い、まだ見ぬ『餌』を楽しみにする。


「さて、処理してあげないと」


目を閉じ十秒ほど黙祷。

黙祷を終えると散らばった部品を集め、辛うじて人の形に整える。 見送る時くらいはあるべき姿で送ってあげろと良心が訴えるからだ。

自分で言うのは何だかおかしいが意外といい奴のはず。


「天国に逝けますように」


そう呟いた瞬間、ヒトだったものが燃え上がる。

肉の焦げる臭いが鼻を突くがそんな事は気にしない。

燃えていくのを見守り、無くなっていく様をただ待つばかりだった。

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