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暗闇に包まれた工房に皆が到着したのは連絡がついてすぐだった。
「えらい膨大な魔力が使われとるけど一体何をしとんねはあああああ!?父さん!?何でここにおるん!?」
「後で話すから今は祐介に魔力を貸してやれ」
「皐月さんと姉さんも一応頼む」
「何やら一大事みたいね」
「嘘……お爺様……?」
それぞれが様々な反応を見せるが鬼気迫る勝臣の様子を見て、言われるがまま魔力をこちらに与えてくれる。
十分な魔力量だ、これならいける。
「呼び出しは指定できるな?必要な条件はなんだ?」
「その人物の情報があれば何とか」
「なら私の記憶から情報を読み取れ。祐介、お前ならそれくらい出来るだろう?どうせ源次郎から私の記憶を読み取っていた事だと思うからな」
「流石じいちゃん、そこまでお見通しか。それじゃ失礼して。……え、マジ?この人って……ええい、出てこなくても文句はなしだからな!……再び開け、『冥府の門』」
そして門から出てきたのは体格の良い初老の男性。
全ての元凶、いや、元凶と間違われていた人物。
「とんだ同窓会になってしもうたのう……」
「すまん勝臣。約束を守れなかった」
「やっぱり死んでいたか……だがいいんだ燈眞。孫のお陰でこうして再び会うことが出来た」
神無月燈眞その人である。
「嘘やろ……何であんたが……」
膝から崩れ落ちる鈴花。
信じられないもの見る目で呆然としている。
呼び出しておいて何だが自分でも信じられないでいる。
「久しぶりだな鈴花。元気にしていたか?お前の旦那とは仲良くやってるか?それと……源次郎はまだ生きてるのか。いい加減こっちに来てもいい頃だろう?」
「お前さんも勝臣と一緒で失礼な奴じゃな。儂はまだまだ生きるんじゃよ。お前さんらみたいに早死はしとうないわい」
「そりゃ違いない」
これまでの全てが崩れ去った瞬間だった。
それから勝臣の最後に何があったのかを当事者二人から聞かされ、お通夜ムードになってしまった。
鈴花に至っては未だに立ち上がれないでいる。
「勝臣の孫は逸材だな。羨ましい限りだ」
「よせやい、褒めても何も出てこないぞ。今は化けて出てきているようなものだがな。ははは!」
「勝臣、その親父ギャグは笑えないぞ……」
「あのー……歓談中のところ悪いんだけどそろそろ本題に入ってもいいかな?二人分の魔力となると結構しんどいし」
「そうだったな。それで燈眞は誰に殺された?」
「正体不明としか言えん。勝臣を殺した後、弔おうとしていた所を後ろからバッサリだ。余程俺が邪魔だったみたいだな」
「燈眞の結界は見事なまでに心臓だけを狙ってくれていた。私の遺体がバラバラになる筈は無いだろうし、お前がそんな事をするとは思えない。となると恨みを持った誰かな訳だが……正直多すぎて分からんな」
「だな」
「えぇー……折角呼び出したのに収穫無しか……」
「まあそう言うな勝臣の孫。俺がこの騒動の犯人じゃないってだけでも十分だろ。俺の肉体を操ってどうこうしている奴だ、死霊術か何かの素質を持っているって推測出来るのは大きなアドバンテージじゃないか?まさか死者を呼び出したなんて思ってもいないだろうし」
「対策は練りやすいけどさ」
「対策も何も遺体を木っ端微塵にしてしまえばいい。俺が許す。何なら骨の一つも残さなくていい」
「……もしかしてじいちゃんの遺体がバラバラだったのってじいちゃんの『鬼』の最後の抵抗だったとか?操られないようにする為に」
「あいつならやりかねんな」
「あぁ、絶対やるな」
「やっちゃう系の『鬼』だったのか」
なかなか思い切りの良い鬼だった様だ。
「魔術師の遺体はその家の秘密だらけだ。七神家を守る為にしてくれたのなら感謝しないといけないな」
「勝臣の肉体がもし使われているなら被害はもっと甚大だったかもしれない。そうだよな鈴花?」
「……せやな」
「おいおい、どうしたどうした。変な物でも食べたか?もっと突っかかって来てもいいんだぞ?」
「……色々聞かされてそんな元気ないっちゅうの」
「ったく……勝臣、なんか言ってやれよ」
「あー……鈴花、当主として大変だろうが家族を頼んだ。亮君と仲良く過ごすんだぞ」
「……そんなん言われんでも分かっとる」
「分かってくれてるならそれでいい」
「勝臣の孫のお陰で今生の別れがそうでもなくなったしな。次は源次郎の葬式の時にでも呼んでくれ」
「不吉な事を言うでないわ!」
「じゃ、帰るか」
「あぁ、そうだな」
軽口を叩きながら二人は仲の良さを見せつけるように肩を組み、笑いながら門の中へ消えていった。




