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退魔の魔術師  作者: 霜野睦月
第3章 衝突
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死者蘇生。


魔術師にとってそれは理を超えた、悲願の一つに数えられる禁忌の領域。


魔力を操り様々な現象を引き起こすすべを魔術というならば今回のこれは魔力により捻じ曲げられ作り出された新たな法則。


魔術師はそれを魔法という。


「ごほんっ……それでじいちゃんと呼ぶ君は七神家の人間で間違いないのだな?源次郎がまだ生きているということは私が死んでからそんなに年数が経っていないと思うのだが」


「まだとは失礼じゃな」


「俺は七神鈴花の息子、祐介です。産まれる前にじいちゃんは死んじゃったから写真でしか見たことないけど、二十数年経ってるよ」


「そうか……君が鈴花のお腹の中にいた子か。大きくなったものだ。私の手で可愛がってやれなかったのが悔やまれるが……私の血族は魔法にまで至ったのだな」


「うーん……ちょっと違うかな?多分魔法に近い魔術だと思うよじいちゃん。その肉体は魔力で作り上げてるし、こっちの魔力が尽きれば消える筈だから」


そう、この術はあくまで魔術の域を出ない。

恐山のイタコが死者の魂を呼び寄せるのと同じだ。

違うとすれば自らの身体で代用するのでは無く、仮初の肉体を用意して本人の意思をそのまま呼び出し、会話が出来ること。


「なるほど、この身体の違和感はそれか。しかし魔力が続く限りと言うことは後どれだけ時間が残っているのだ?」


「俺の『鬼』が頑張ってくれてるから結構もつと思う。だから色々聞かせてほしい。きっと長話になるから」


そう言って今起きている事を話した。

静かに話を聞いてくれているが、どんどん顔が険しいものに変わっていった。

その様は怒った母に似ていて親子は似るのだなと思った。


「おかしい。燈眞がそんな事をする筈が無い。第一あいつには私が死んでからの七神家を守るよう頼んだんだ。約束は必ず守る男だ、そうだろう源次郎?」


「七神家を守ることは初耳じゃがそうじゃのう。燈眞は約束は守る、昔からそういう奴じゃ」


勝臣の発言はこれまでの神無月燈眞の行動を否定するものだった。

だが事実は変えられるものでは無い。


「じいちゃんが死んでから頭がおかしくなってうちの秘術を盗んだって母さんが言ってた。殺した筈なのに生きていて今の状況になってる訳だからやっぱりおかしくなったとしか……」


「盗んだだと?それは違うぞ。私があいつに託したんだ。『鬼』の暴走の原因を突き止める為に役立つんじゃないかと言って……おい、源次郎。最後に燈眞にあったのは何時だ?」


「そりゃお前さんの葬式の時じゃが」


「燈眞が鈴花に殺されたのは何時だ?」


「葬式が終わってしばらく経ってからじゃな。あの時の嬢ちゃんは怖かったわい」


「……ちなみに聞くが私の死因は何だった?」


「死人がそんな事を気にするのはおかしい気がするが……全身がバラバラになっておったな。何とか縫合して形を整えて棺桶に詰められておったのう」


「……クソッタレが!!!祐介、まだ魔力は残っているか!?お前のその魔術で死者をもう一人呼んで欲しい!私の推測が正しければ呼べる筈だ!」


「母さんとかを呼んでもいいなら余裕だと思う」


「なら早く呼んでこい!鈴花には後で何とでも言ってやるから!」


「わ、分かった」


急かされ言われるがまま携帯で連絡を取り皆を工房の奥に集合させることになった。

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