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最近の日課は朝ココをキメることな作者です
皐月に連れられて行った二人を後目にヒソヒソと源次郎が声を掛けてきた。
「祐坊や、もう一つの魔術具はどうするんじゃ?一応完成はさせたが儂では扱いきれん代物に仕上がっておる……それでも良いか?」
「それは楽しみだ。店の奥で見せてもらえるかな?」
「……鈴花の嬢ちゃんには見せん方が良い物じゃしそうするかの」
「聞こえとるで。一体何を作ってもろたんや?」
母の地獄耳恐るべし。
かと言ってはいそうですかと見せる訳にはいかないので適当に誤魔化しておこう。
「……『無限武装』のアップデートパッチみたいなものだから秘密ってことで。ほら、魔術師としての切り札って大事だし」
「……ホンマかいな?」
「そうだよな、おっちゃん」
「う、うむ。嬢ちゃんはここで待っておいてくれ。ほれ、さっさと受け渡してしまうぞ」
ジト目で疑いの目を向けられているが、依頼したもう一つの魔術具の詳細については一応嘘をついていない。
あまり大手を振って話せるものでは無いのは事実だが。
「さて、しっかり発動してくれればいいんだが」
工房の奥で源次郎から受け取った魔術具を眺める。
一見細かい装飾が施された唯の鉄板だが、そこから漂う雰囲気は何ともおどろおどろしいものがある。
しかしそれがこちらの期待感を煽ってくれる。
「『無限武装』展開。スタンバイ状態を維持……融合開始」
合図と共に魔術具が身体に取り込まれていく。
それと同時に頭の中に魔術具に刻まれた魔術式が流れ込んできた。
「……ふむふむ。ここを……こうして……あ、やべ、魔力足りないかも……まあ『遠慈』から借りたらいけるか……よしっOK!おっちゃん、外見張っといて。早速発動するから」
「はぁ……相変わらず祐坊はとんでもないのう」
「褒めても料金上乗せはしないよ?」
「ちっ」
「冗談だって。まあ発動してからその辺は相談ってことで。それじゃ『遠慈』もフォローよろしく。おっちゃん、久々の再開に喜んでくれよ……開け、『冥府の門』」
『無限武装』で創り出した銀色の鍵を空中で捻る。
ガチャリという音と共に工房が暗闇に覆われ、目の前に現れたのは漆黒の門。
重低音を響かせながらその門が開き、中から出てきたのは初老の男性。
源次郎は目を見開いて凝視している。
どうやら成功したようだ。
「全く、一度死んだ人間を呼び出すのはどうかと思うんだが……一体何用かな?事と次第によっては……は?源次郎?え、は、どういう事だ?お前にはそんな魔術は使えない筈だろう?」
「はははっ!本当に成し遂げよったわい!久しぶりじゃな勝臣よ!元気にしとったか?」
「元気も何も死んでるんだが……」
「かっかっか!それもそうじゃな!」
「はいはい、感動の再会のところ悪いんだけど色々聞きたいことがあるんだ」
「……源次郎、そこの青年は誰だ?」
「なんじゃ勝臣、気付かんのか」
「やっほーじいちゃん」
「……じいちゃん……だと?」
元凶が捕まらないなら別の人に聞いてみれば早い。
死人に口なし、そんなものこの際無視だ。
という事で七神家前当主、七神勝臣を呼び出した。




