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源次郎の魔術具が完成したと連絡を貰った日、関係者総出で工房を訪れる事になった。
魔術具に関しては信用しているので問題ないとは思うが万が一という事もある。
使えないという事がないのを確かめる意味でも地獄の様な鬼ごっこに終了を告げて集まってもらった。
「いい身分じゃのう祐坊や。男子、三日会わざれば刮目して見よとは言うがここまでとは思っておらんかったわい」
「ニヤニヤしてないで注文の品を見せてくれ……」
そう、集まってしまったのだ。
両サイドには飛鳥と音羽ががっちりと腕をホールド、背中に全体重をかけて皐月がもたれかかっている。
もう逃がさんという意思がありありと伝わってくる。
一緒に来ている桜は苦笑いだ。
そんな状況なので女性特有の柔らかいものが押し寄せている訳だが、理性を働かせて堪えている状態だ。
誰か褒めて欲しい。
見る者は誰しも両手に花と言う状況だが、その花は毒花になり得るので見た目には騙されてはいけない。
目の前の源次郎はまんまと騙されているが。
「そう怖い顔をするでない。ほれ、これが注文の品じゃ。頼まれていたのは鈴花の嬢ちゃんと飛鳥の嬢ちゃんの分だけじゃが……増やした方が良かったかの?」
「頼んでいた通り二人分でいいよ。ここで試してもいいかな?」
「発動するかどうかだけなら大丈夫じゃ」
木の箱を受け取り中身を確認する。
中には複雑な紋様が刻まれた銀色の指輪が二つ並んでいた。
戦闘の邪魔にならない様にとこの形で依頼したが申し分なさそうだった。
手に取り魔力を込めると揺らめきながら青く輝く浄化の炎が発現した。
魔力量を増やせばそれに応じて大きくも小さくもなってくれる。
魔力操作で放つことも出来そうだ。
「うん、大丈夫そうかな。それじゃ母さんと姉さんも試してみてくれ」
指輪を渡して発現出来るか確認してもらうが二人とも問題なく出来ている。
しかし鈴花の様子が何処か変だ。
「おおきにな源次郎さん。これで……」
「あまり背負いすぎるでないぞ?そんな顔をしては勝臣が悲しみよる」
「……分かっとるんやけどな」
二人にしか分からない何かがあるのだろう。
突っ込むのは野暮なので静かに見守っておこうと思っていたところでしんみりとした空気をぶち壊す者がいた。
「ふふ……ふふふ……指輪……祐君からの結婚指輪……これで正妻の座は私のモノ!勝った!」
「……飛鳥姉様ずるいです」
「いやそれただの魔術具だから。勘違いしているシスコンとストーカーは一緒に向こうに行きましょうか。ちょっとお姉さんとお話しましょう?」
「あ、ちょ、首!服が首に食い込んで……」
「……あーれー」
即落ち乙。
皐月さん、後は任せましたよ。




