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再開です!
今や十数年の腐れ縁となった七神勝臣から丑三つ時になろうという時間に呼び出されあいつの家を訪れた。
何でも大切な話があるとかないとか。
詳しい事は会ってから話すと言われ、仕方なしに七神家の門をくぐる。
勝臣の娘や孫にあたる子供は旦那と旅行に出かけているそうで家には本人以外誰もいない。
初老になる男二人で話などそう面白いものでは無いだろうし、こんな時間に呼び出されたので皮肉を込めて手土産に鬼殺しの名のついた日本酒を持参しておいた。
きっと苦笑いで受け取ってくれるだろう。
七神家には鬼が憑いてる。
昔に母を殺された身としては因縁深い存在ではあるが、今やそういうしがらみなど忘れるくらいには長い付き合いとなった。
良い『鬼』もいれば悪い『鬼』もいる。
だから俺はお前みたいに不幸に見舞われた人達を増やさない為に『鬼』を宿しながら戦い続ける。
そう教えられたのはいつの事だったか。
「おーい、来てやったぞー?勝臣何処だー?」
勝手知ったる実家同然の七神家なのでチャイムも鳴らさずに上がり込む。
馬鹿みたいに広い屋敷なので何時もは誰かが出迎えて案内してくれるが今日はそうもいかないので声を上げて呼び掛けたが返事すらない。
「おかしいな……呼び出しておいて迎えひとつないとは……ん?血の匂い……!?」
慌てて匂いの元へと向かう。
そこには血塗れで縁側に横たわる勝臣がいた。
「おい!?どういう事だ!?何があった!?」
「……燈眞か……夜遅くにすまないな……ごほっごほっ……心配してくれるとは優しくなったものしゃないか」
「来ていきなり血塗れのお前を見たら心配もする!……何があったか話せるか?」
「……なに、簡単なことだ……ふう……『鬼』が抑えきれなくなってきているんだ……だからお前を呼んだ」
「なっ!?お前がか!?」
「……この間の戦闘を覚えているか?……依頼自体は何の変哲もないただの『鬼』退治だったがおかしな点があったと話しただろう?……ぐっ……それから抑えがだんだん効かなくなっているんだ……内にいるあいつとも話が出来ない……七神家の伝承でもそんな事はなかったんだが……ぐあっ!」
「……それで呼び出して何をしろと?」
「……ははっ……分かり切ったことを聞くんだな……家族のいない間に殺してくれ……お前の手で」
何を言っているのか分からなくなった。
俺が、勝臣を、殺せと?
「なに馬鹿な事を言っているんだ!?七神の長だろう!?お前なら何とか出来ないのか!?二人目の孫が出来たって喜んでいたじゃないか!?」
「……すまないな……次期当主になる鈴花に親殺しをさせたくないんだ……勝手な事を言っているのは重々承知しているが……こんな事を頼めるのは燈眞、お前だけなんだ!!!」
「……無理だ……そんな……俺の過去を知っていてそれを頼むのか!?」
「……戦友としての最後の頼みだ」
「…………っ」
涙をこらえ、勝臣の心臓に結界を仕掛ける。
頑固なこいつに何を言っても無駄だろう。
ならせめて苦しまない様に一撃で終わらせよう。
「……言いたいことはそれだけか馬鹿野郎」
「……最後に一つ。代わりにこの原因を突き止めてくれ。残された家族の為にも。あと鈴花から恨みを買うと思うが何とか生き延びてくれ。あいつは何かと物騒だからな。それと七神の秘術をいくつか持っていけ。何かの役に立つかもしれん。それと……」
「一つじゃないのかよ」
「……ありがとう、楽しかったぞ親友」
「あぁ……後は任せろ」
結界を収縮させ親友の心臓を潰した。
それは月が綺麗な夜だった。




