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翌日の朝、マンションを訪れたのは皐月と飛鳥、それに影を薄くして存在感を消しているが音羽も一緒だった。
昨日の一件に進展があったのだろう。
「休日くらいゆっくりさせてくれないですかね」
「毎日が休日のフリーターが何を言ってるの。もう少し実家の手伝いを増やすよう師匠に言いつけてもいいのだけど?まあそれはとりあえず置いておいて、昨日の事で祐君に報告がありまして」
「改まってなんです?」
「この度蒼崎皐月は飛鳥ちゃんに祐君の妻として相応しいと認められましたーわーぱちぱちー」
「……今日はエイプリルプールでしたっけ?」
おかしいな、まだ外は寒いのだが。
「悔しいけど私の完敗。皐月さんなら任せられる。でも諦めてないから」
飛鳥が口を挟むが同意はしているようだ。
昨日の今日で物事が進みすぎてる感は否めないが一体何があったというのだ。
そんな疑問をいつの間にか自分の背後にいた音羽が補足してくれた。何故か抱き着いて。
「……壮絶な戦いだった……ひとじ……こほん……立会人としてその場にいたのを後悔するくらい……でも皐月姉様は素敵な提案をしてくれた……ふふふ……私も祐介のお嫁さんだよ」
「お前は何を言っているんだ。寝言は寝て言うもんだぞ。それにこの国は一夫多妻制は認めていない筈だが」
補足が補足になっていない件について。
「……正妻は勿論皐月姉様……書類上はそうなる……そして私達は内縁の妻……納得していれば何の問題もない……争いは無意味……なら祐介を皆のものにしてしまえばいいんだよ」
何て提案をしてくれてるんだ。
自分の意思は一体何処に行ったと言うのだ。
「皐月さん、どういう事なんです?」
「音羽ちゃんが言った通りよ。祐君を私一人のものにしても良かったんだけど、後々面倒になるのが目に見えてたからいっそ巻き込んじゃえと思っちゃった。ほら、皆可愛い子ばっかりだし祐君も私も良い事尽くめじゃないの」
「せめて当人がいる所で決めてもらえませんかね」
「言ったところで反対するでしょ?」
「そりゃもう」
一般常識があれば反対して当然だ。
というか反対以外に何があるのか問いたい。
まあ問うたところで無意味だろうが。
この人は決めた事は突き通す人だ。
今更どうこう言ったところで決定が覆ることは無い。
可能性があるとすれば蒼崎皐月に勝ち、勝者としての権利を得るしかない。
「ということで今からやらない?私との勝負」
だが勝ってしまえば皐月は自分の妻になってもいいという約束を果たしてくれるだろうが、オマケ付きになる事は間違いない。
「……皐月さんが勝ったらどうなるんです?」
「私が勝ったら言うことを聞いてもらおうかしら。そうね、私もいい歳だし結婚しましょう。一生尻に敷いてあげるわ」
「自分が勝ったら?」
「祐君の妻になってあげる」
……おかしいな、選択肢なくね?




