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皐月の一言で混沌と化した空間だったがそれもすぐに終息して、本題である水月への『創器』の使用を行う事となる。
先程の事はなかった事にしておこうと思う。
組んずほぐれずな事は期待はしていない。一切していないが、しているといると勘違いされては今後大変な目になりかねない。
さておき、上半身の服を脱がされた状態で布団に寝かされた水月に手を触れ術の準備をする。
「発動したら全身が少し熱くなるがすぐに治まる。それから『鬼』の力が問題なく使えるか確認するからいいと言うまでは何もするな。完了してから『刻呪』を消すからな」
「分かりましたご主人様」
「………………」
思わず無言になってしまう。
どうも水月は混沌からこちら側に戻って来ていないようだ。
よろしい、目を覚まさせてやらないとな。
こちとらからかわれてお終いだったんだよ!
イラッとしたので『創器』の発動に必要以上の魔力を水月の魔力回路に流し込み自分の魔力で上書きする。
それに反応して水月の身体に魔力回路が浮かび上がった。
「っ!?祐介様、ちょっと熱いですまないのですが!?」
「知らん。お前の好きな痛みだ気にするな」
「いやいやいや好むのは美人な方に殴られることであって男に甚振られるのは趣味じゃ、あ、ちょ、駄目ですって!これ絶対駄目なやつですって!」
堅苦しい口調が崩れた水月を無視して術の発動を続ける。
前にも説明したが『創器』は人の身体を『鬼』に耐えれるよう作り替える術だ。
正確には魔力回路を外部からの魔力で強固なものに作り替え、『鬼』の力に負けない様にする強化術。
人が免疫力を高めて風邪やウイルスに抵抗しやすくするのをイメージすると分かりやすいのではないかと思う。
この魔術が使われるようになった遥か昔は受ける側に大変な苦痛を与えるものだったそうだが、改良が進み苦痛はほぼないものになった。
原因は結局のところ術者の過剰な魔力への拒否反応だと判明したので、魔力操作が上手く出来ていれば問題は無い。
なので駄鬼が感じている痛みはこちらの憂さ晴らしでわざとやっている事なので気にしてはならない。
「へえ……これって私なら自前で出来るんじゃない?」
「やっぱりすぐ分かりますか。魔力回路が丈夫で『鬼』に負けないようなら何とでもなると思います。皐月さんの魔力回路なら大丈夫でしょうね。まあ『鬼』と共生する事になるので小さい頃から慣れていた方がいいんですって」
「なるほどね。なら私と会った時にはもう?」
「ちょうど宿した時くらいですね。あの頃はまだ自分の中の『鬼』と馴染めなくて大変でしたよ。おしゃべりな奴が多いと聞いていたのにうんともすんとも言わない無口な奴だったんで、共生どころか違和感しかなかったですし」
『鬼』にも色々あるようなのだ。
今は折り合いがついて何とかなっているので問題ない。
そうこう話しているうちに『創器』が完了した。
「終わったぞ。ついでに『刻呪』も消しといたから1回力を解放してみろ」
「はぁ……はぁ……死ぬかと思いましたよ……」
「死んでないから大丈夫だ。無駄口叩いてないでさっさと試してみろ」
水月は言われるがまま『鬼』の力を解放する。
その瞬間、水月の身体から魔力が迸りを見せた。
「問題なさそうだな」
「皐月様、魔力ありで殴って下さいま「そおいっ!」
水月が言い切る前に魔力を纏った破壊力抜群の皐月の拳が腹部にめり込むが直立不動のままビクともしない。
「いいんじゃない?」
「大丈夫そうですね」
「大丈夫やな」
「他に確認の仕方はないのか!?」
呆れることしか出来なかった。




