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更新が遅くなりました……orz
何とか生きております
神無月の恨みの方向が『鬼』だけに向いていると仮定すればこれまでの行動に一貫性が見えてくる。
桜を狙うのはその体質を利用して『鬼』を呼び寄せるため。
『鬼』の製造は鬼殺しの結界の性能を試すため。
結局の所、全ては『鬼』を殺す為の下準備でしかないのだろうと思える。
非人道的な実験は頂けないがそういう行動原理があるならば納得がいく所がある。
ならば次は何を行うのか。
考えられるのは己の目的を邪魔する七神家の排除だろう。
『鬼』をその身に宿しつつ、障害となり得る自分達を。
「源次郎のおっちゃん、作ってもらいたい物が増えたけど構わない?」
「儂は良いがその分の金は貰うぞ?」
「そこはほら、浄化の炎を扱えるということでオマケを」
「はあ……まあええわい。で、何をどうすれば良い?」
「一つは浄化の炎を簡易に扱えるようにする魔術具。魔力で作動するなら形は何でも。もう一つは…………」
「……祐坊や、ちょっとばかし無茶だと思うが」
「あれ?出来ない?」
「ほざけ、やったるわい。お前さんの『それ』を作ったのは儂じゃぞ?それに比べたら屁も同然よ」
源次郎はこちらの胸元を指差しながら宣言してくれる。
職人って煽ると乗ってくれるから簡単だ。
「……何やら不躾な考えをしとらんか?」
「気のせい気のせい。出来たら母さんか姉さんを連れて来るからよろしく」
後は完成を待つだけだ。
――――――
「さて、仕事にかかるかのう」
祐坊からの仕事の依頼は何年ぶりだろうか。
祐坊が所持する『無限武装』を手がけてからというもの、あれ以上に心躍る仕事に出会う事はなく、愛する妻と生活する為に最低限の魔術具を作ってきた。
生涯において『無限武装』は至高の作品だと自負しているからこそ、どの仕事を持ってこられても味気ない日々を惰性に過ごしていた。
『無限武装』を作った時点で燃え尽きてしまったのだと思っている。
しかし燈眞が関わっている事が分かった今、そうも言っていられなくなった。
燃え尽きた自分の中の何かをかき集め、再び火を灯さなければならない。
この老いぼれにもまだ出来ることはある。
燈眞の幼馴染みとして、勝臣に託された第二の家族と言っても過言ではない七神家の者達を守る為にも、あいつには引導を渡してやらなければ。
決意は出来た。迷いはいらない。
ただ向き合うのだ。
「最高の作品を作ってやるから待っておれよ」
その日から東雲工房には連日連夜明かりが消えることは無かった。




