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鬼殺しの結界への対応策である青い火を修得してからは戦闘要員となり得る者が使える様に改良する日々に追われていた。
修得して判明したのは青い火の正体は浄化を司る炎であったこと。
一歩間違えれば水月の魂を天国に誘いかねない諸刃の剣であったが、何とかなったのでこの際いいとしよう。
鬼殺しの結界を溶かした事から件の結界の性質は邪悪なもの、恐らく結界の形をした呪いか何かだと推測出来たのはこちらにとってありがたかった。
しかし一つ問題が起きた。
浄化の炎に選ばれし者しか扱う事が出来なかったのだ。
選ばれし者と言うと小説やゲームに出てくる勇者や英雄を想像するが、今回の場合はそういった大それたものではなく、単純に相性の問題だった。
「祐介は扱えるのにうちが扱えんとか有り得へんやろ」
「祐君、何かズルしてない?」
「私は問題なく扱えるけど師匠達は駄目なのね」
七神家の人間、特に鈴花と飛鳥には相性が悪過ぎたのだ。
皐月は何ら問題なく扱い、お得意のアレンジまで加えていたのでおそらくの原因ははっきりしている。
選ばれなかった二人に共通するのはその身に『鬼』を宿していること。
基本的に邪悪なものとされる『鬼』と浄化の炎は正反対の性質だと言ってもいいだろう。
それが扱うにあたって邪魔をしていた。
では何故自分は扱う事が出来たか。
それに関しては自分に宿る『鬼』の性質と浄化の炎の性質が合っていたとしか言い様がないのだが、詳しい事はまたの機会にするとしよう。
そんなこんなでいつまで経っても鈴花と飛鳥の二人には扱う事が出来なかったので違うアプローチをする事にした。
本人達が扱えないなら他で何とかすればいいじゃないかと思い至り、訪れたのは魔術具を作る工房主の店。
「源次郎のおっちゃんはいます?」
「あら、随分大きくなって良い男になったじゃない。何か御用かしら?」
店に入り出迎えてくれたのは店主の妻である人物。
東雲工房の主の妻である由希さんだった。
「お久しぶりです。源次郎のおっちゃんが喜びそうな仕事を持ってきました」
「ちょっと待ってね。あなたー!祐介君が来たわよー!」
店の奥にいるであろう源次郎に声をかけるが反応がない。
「寝てるのかしら?入っちゃっていいから様子を見てきてくれる?」
「それじゃ失礼して」
奥にある源次郎の工房へと足を踏み入れる。
様々な魔術具が所狭しと壁に飾られており、そのどれもが源次郎の手掛けた作品だ。
七神家も大変お世話になっており、小さい頃から何度も遊びに来ているので勝手知ったる場所の一つである。
「……ぐう」
「やっぱり寝てたか。おっちゃん、仕事持ってきたぞ」
工房に置かれたソファーの上でヘッドフォンとアイマスクをしてだらしなく寝ている源次郎の体を揺らして起こそうとするが全く起きる気配がない。
「起きないのが悪いからな」
ヘッドフォンのコードを辿り、音楽プレイヤーの本体を操作して音量を最大まで上げる。
「うるっっっせえええええ!!!!!」
「おはよう、仕事を頼みに来た」
「……祐坊、仕事を持ってきたにしてはあんまりじゃねえか?」
「起きないおっちゃんが悪い」
齢七十に差し掛かる金髪モヒカンなパンク老人、源次郎を起こすことに成功した。
忙しいので更新が遅くなりますm(_ _)m
二日に一話は更新出来るように頑張りますがあまり期待はしないでください……orz




