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状態が安定した水月が目を覚ましたのはそれから五分後のことだった。
夏樹は危うく命を奪ってしまうところだった事に鈴花に正座させられて説教を受けている。
流石にいつものつっけんどんな態度を取ることなく、膝の上に置かれた拳が強く握りしめられているのを見るに己の過ちをしっかりと反省しているようだ。
「助かったからええけどな、何をするかは前もって言っといてもらわんと」
「その通りです……すみませんでした……」
「こいつを責めるのはその辺にしてやってくれ。善意で引き受けてくれたんだからさ。一応解決は出来たんだから水月の状態を確認しないか?水月、身体の調子はどうだ?」
「今のところは特に問題は無いようですがどうにも力がない感じがしますね」
「緊急だったから『鬼』の力は一旦抑えてある。今のお前は一般人同然だから無茶はするな。家に戻ったら場を整えて調節するから安心してくれていい」
「嗚呼……これで助かったのですね……桜様の仰る通りでした……祐介様には何とお礼を言ったらいいのか……」
自らの命が助かった事に咽び泣く水月。
だが助かるに至ったのは自分の功績ではない。
「勘違いしているようだから言っとくが、礼ならそこで反省している巫女に言ってやってくれ。最後にフォローこそしたけど提案と実行はそいつだ」
「……夏樹様、この度は私めの命を救って下さりありがとうございます。貴女の閃きが無ければあとどれだけ生きていられたことか……本当に感謝致します」
「……止めてよ、何だかみっともないじゃない。七神家の人間がこの場にいなきゃ貴方死んでたのよ?知らなかったとはいえとんでもない事をしでかすところだっだんだから」
「全く、そこは素直に受け取っておけよ。まあこっちとしても収穫はあったからいいんだけど」
「収穫?何言って」
「ほれ」
手をかざして先程の青い火を出現させる。
それを見て夏樹は信じられない物を見るかのような目でこちらを凝視する。
「はあ!?何であんたがそれを出せるのよ!?私が修得するのにどれだけかかったか……」
「視てたからな。性質が分かれば造作もないんだよ」
『遠慈』の眼は特別性だ。
発動に至るプロセスと性質が分かってしまえば自分の物に出来てしまうある種のチートなのである。
桜の体質を解決した『刻呪』も音羽の隠形を視て修得した事でようやく改良に至れた。
しかし水月にかけられていた結界は発動の瞬間を視ていないので性質しか分からなかった。
そのため自分の物に出来ていなかったので解決法が見つからなかった。
「有難く使わせてもらうな」
「〜〜〜っ」
悔しがる夏樹には申し訳ないがこれで対策は出来た。
後は七神の関係者が使える様にしていこうか。
七神の一員としてやられっぱなしは性に合わないからな。




