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便宜上鬼殺しの結界と名付けたこれを解決するにはと頭を悩ませること一週間。
実家に通い、結界をかけられた水月の状態を確認しながら試行錯誤しているが一向に目処が立たない日々が続いた。
魂に作用する結界など聞いたことも無いので手探りもいいところである。
「全く分からん、お手上げだ。死ぬかもしれないがいっそ結界を壊して楽になってもらうか」
「それもやむ無しなら甘んじて受け入れましょう」
「冗談だ。何を本気にしているんだか。足掻けるところまで足掻くさ。あー何処かにヒントでも転がってないものか……」
思わず愚痴が溢れるがそんな事を言ったところで何も名案は浮かばない。
とりあえず鬼殺しの結界についてこの一週間で分かった事を整理してみよう。
まず第一に魂を覆う形で結界が張られている。
第二に『鬼』の力、もとい命を削りながら成立している。
第三に結界の破壊は可能だが囚われた魂がどうなるか分からない。
第四に視えていた鎖が徐々に魂を締め付ける様に縮小している。恐らくタイムリミットが設定されているのだろう。
今までの出来事と合わせ導き出されるのは『鬼』を人の身体に封印してこちらへの戦力を作りつつ、用が済めば後処理は時間経過で行われるという事。
詰まるところ使い捨ての戦闘要員の量産。
その点から神無月燈眞という人物がなかなかに好戦的だという事が見えてくる。
七神家に保護されている桜を狙うためによくここまでするものだ。
こちらの怒りを買ってもお構いなしなところに苛立ちを覚える。
「はあ……すまんが今日も収穫なしだ」
「左様でございますか……」
肩を落とす水月には申し訳ないが手詰まりである。
結界の性質が分かっても対処法が分からないのではどうしようも無い。
何も出来ない悔しさを残しながら鈴花に帰る旨を伝えて実家を後にする。
神様にでも祈ってみようかと思い、その日は帰りに八雲神社に寄ってみる事にした。
『鬼』とは縁のない、むしろ忌避される場所ではあるがここまで来たらもう神頼みだ。
「何かアイディアを下さい」
「アイディアって何のよ」
神社の本殿で手を合わせていると掃除の途中だったであろうロリっ娘こと八雲夏樹が箒を持って近付いてきた。
「お前に言っても分からんだろうから気にするな」
「あんたがここで神頼みしてる時点で色々ヤバいんでしょ?大抵の事は自分で解決するものね」
「まあそうなんだが……」
「何に困ってるか聞かせなさいよ」
「知り合い達によるプライベートガン無視の住居不法侵入」
「絶対違うと言えないところが可哀想ね……」
「分かってくれるか」
「……いやそんな理由で来るわけないでしょ、もう手遅れなんだから。こっちは暇じゃないんだからさっさと正直に話しなさいよ。でないと蹴るわよ」
「暇じゃないんじゃないのか」
「うっさい」
これ以上からかっては手を出されそうなので七神家で起こっている事を話すことにした。
そして夏樹の返答は思いもよらないものだった。
「一度その『鬼』を連れて来なさい。何とか出来るかも」
マジっすか。




