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退魔の魔術師  作者: 霜野睦月
第2章 邂逅
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「水月について分かったことを共有しとこか。本人にも喋ってもらうこともあるさかい」


「実験の成功例、中級の『鬼』、それ以外にまだ何かあるか?」


「水月の依り代になった人間についてはまだやろ?」


「ああ、確かに。俺達みたいに特殊な術を受けている身体ではないってことは元々は一般人だった?」


「ええ。私の依り代になった人間は浮浪者、今の言葉に直すならホームレスでした。鈴花様の協力あって記憶を掘り起こす事ができ、ようやく思い出せたのです」


「実験に使われたのはそういう人達だったと?」


「その通りです。居なくなっても困る事がない人間を元の主であった神無月燈眞かんなづきとうまは集めていました。誰一人として疑問に思うことなく、抗うことも無く従っていたのは何かしらの魔術で操られていたのだと思われます。集められた人間が一人、また一人と姿を見せなくなっていくのは思い返せば恐怖でしかないですね」


実験の失敗、即ち『鬼』を宿せなければ死に繋がる。

その事実が真実だった事と多くの犠牲があった事に気が滅入る。


「一体、何の目的でそんな事を……」


「残念ながら神無月がそれを話す事はありませんでした。私以外にも成功例がいたのは覚えているのですが、それでも実験を止める事はありませんでした。何かに取り憑かれる様に続ける姿は幽鬼そのものだったと言えます」


「……気が狂ってるな」


「正気じゃないのは分かっとったことや。七神の秘術を悪用しよったって事実は消えん。これはもう七神家が総力を上げて解決せなアカン案件になってしもた……やから全力で消しに行くで」


さっきの駄々をこねていた姿とは打って変わって真剣な眼差しで鈴花はこちらを見た。

やると言ったらやるのが七神家のルールだ。


「あ、水月も手伝ってもらうから覚悟しときや?」


「え、私もですか……?」


「『鬼』の頑丈さは活かしてもらわんとな」


「……肉壁要員」


黙って聞いていた飛鳥のポロっと零した発言に水月は静かに涙した。


……そうならないように頑張るから泣くな。

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