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頼る奴はいなくなり事務所の中にはアイアンクローをする女性、その被害を一身に受け若干宙に浮いている母、呆然と見守る自分の3人が残った。
気まずい。非常に気まずい。
「あー……御影さん?とりあえず落ち着きましょう?」
笑顔を心がけ諭そうとしてみるが絶対顔がひきつってる。
……ダメだ、心が折れそう。
「………………ょ」
目の前の女性が非常に小さい声で何か言っているのが微かに聞こえた。
はい?と疑問を投げかけもう一度言ってもらおうと促してみるが、これがいけなかった。
「どうせまな板ですよ洗濯板ですよバスト75ですよ実際そんなのペタンコですよええもう何でも調理してやりますよ洗ってやりますよほら持ってきなさいよ鯉でも服でもやってやろうじゃないのあははははははははははははははははははははははは」
どうやらバカ母は見事に地雷を踏んでしまったようだ。
十中八九 コンプレックスなのだろう、ここまで自分で墓穴を掘って壊れたラジオのように喋り続けるとは思っていなかったので次会うときは胸についての話は避けようと心に誓う。
余談だがその後30分間、自虐ネタは終わることなく、またその間も母はアイアンクローをされ続けた。 母曰わく、「万力やと思た……でもあれなら世界を取れるはずや!」 と訳の分からないことを言っていた。
一応ヒロイン予定の登場