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今回短めです
姉の職場へアルバイトが始まってからの桜さんは見違えるように生き生きしだした。専業主婦に近い状態から抜け出せたのは気持ち的に楽になったようだ。
持ち前の明るさで従業員との関係も良好だと聞いている。
多少の残業はあるが帰ってくる時間はそこまで遅くならないし、帰る時も姉と一緒なので心配はなかったのだが、桜さんが仕事に慣れてきた頃、帰宅途中に事件は起きた。
「桜さん、お疲れ」
「飛鳥さんもお疲れ様。普段はびっくりするほど猫被ってるのね。未だに慣れないわ」
「デレるのは祐君の前だけ。それ以外はゴミ同然」
「あはは……そこまで言っちゃうか……」
「色目使ってくる患者とか触ってくる患者とか死んでしまえばいいのに」
「医療関係者が言っちゃダメでしょそれ」
愚痴を零しながらも会話に花を咲かせつつ祐介の待つマンションへと足を進める二人。
時刻は十九時、仕事終わりの人間が帰路につく時間であるがこの日は違った。
最初に違和感を感じたのは飛鳥だった。
「(……いつもより人が少ない。違う、私達が帰る方向に進むにつれて人が減っている……?)」
日々の生活には一定のリズムがある。
起床し、食事を摂り、仕事へ向かい、終えれば帰宅する。なんてことの無い事だがそうやって人の流れは生まれていく。その流れは天変地異でも起きない限り途切れることはそう無いのだが、今の状況は明らかに不自然。
つまり何かが起きている。
「……桜さん、祐君に連絡出来る?」
「祐介君に?ちょっと待ってね……あれ?圏外になってる。職場出る前に連絡した時は大丈夫だったのに……ここっていつも圏外じゃないよね?」
辺りを警戒しつつ問いかけるが返答は宜しくないものだった。
肩掛けのカバンから取り出した携帯をこちらに見せてくるが表示されているのは圏外の文字。
既に相手の掌の上であった。
「(やられた……お母さんから結界の技術は高いと聞いていたのに迂闊だった……七神家の関係者なら楔となる所の探索だけじゃなく術者本人も叩かないといけないよね……わざわざ祐君がいない時に仕掛けてきたってことはこっちをか弱い女だと勘違いしてくれているはず……なら寄ってきたところを叩く!)」
自分自身も巻き込まれるとは思いもよらなかった飛鳥だが、御影桜が狙われていることを実感するには十分な出来事であった。
次回は飛鳥の戦闘回になる予定です
……頑張ります_( ´ ω `_)⌒)_




