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「ましろちゃんを呼んで下さい」
誘鬼灯への対策を無事終え、夜の心配が無くなり数日経ったある日の午後、近年稀にみる綺麗な土下座で頼み込んでくる御影さんが部屋の前で鎮座していた。
ましろを見てからというもの、ことある毎にこの調子である。一応年上な筈なのだが、年下の自分への自尊心は何処へ行ったのか。なりふり構わない必死さがなんとも物悲しく思える。
「呼びませんよ」
「そこを何とか。見てるだけでいいので何卒」
「諦めて下さい」
害意は一切ないがましろは怪異だ。そう何度も呼ぶものではない。何よりあいつにも意思はあるので、この間はたまたま来てくれただけ。猫の気まぐれというものである。機嫌を損ねたらしばらく触らせてくれないのでそちらの方が自分的には重大な問題だ。
「何でもしますから」
「なら何もしないで下さい」
冷たく突き放すが易々と引き下がる御影さんな訳がなく、堂々巡りが続く。いい加減このやり取りにも飽きてきたので別の策を講ずることにしよう。
「御影さん、ちょっと出かけましょうか」
「ましろちゃんの元へ!?」
ガバッと顔を上げ期待に満ちた顔で見てくるがそんなことは決してない。特に用もないのに実家に行く意味が分からない。
「違います。とりあえず身だしなみ整えてきて下さい」
ガックリと首を落として自分の部屋へ戻っていったのを見送り、こちらも準備をする。
マンションから二駅ほど離れたところにある繁華街に向かい、目的地へと歩くこと数分。
外出先に選んだのは猫カフェ。
とりあえず猫成分を補充させておけば発作的なこの症状を抑えることは出来るだろうという安直な考えだ。
店に入ってからは御影さんは満更でもない表情で自由気ままに闊歩する猫を眺めているので問題はなかったようだ。
ただ御影さんに近づく猫は一匹もおらず、触れることが出来ぬまま退店時間になってしまったは哀れだった。
自分はどうだったか?
めちゃくちゃ来てくれましたけど。猫まみれでしたが何か。
ちょっとこっち睨まないで下さいよ。
――――――
男は遠くから七神祐介を観察していた。
七神家の次世代が如何なる方法で誘鬼灯の娘を救うのかを。そしてどれ程の才能があるのかを。
「隠形を組み込んだのは見事。だが荒削りなのは否めないのう……まだまだ儂の目は欺けんぞ……しかし何故猫にまみれておるのだ……?」
男には目的がある。
それを達成するまでは止まれない。止まる事を知らない。
破滅の足音は着実に近づいている。
シリアスはなかった、いいね?
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