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おまけのもう一話投稿
猫談義を繰り広げていたらあっという間に夜の帳が降りていた。時間が経つのは早いものである。朝に食事を作ってもらったので夕食は自分が作ることにし、冷蔵庫の中身を確認する。凝ったものは無理だががそれなりのものは出来るだろう。豚肉とキャベツがあったので生姜焼きと添え物を用意し、味噌汁を作っておけば夕食の形にはなる。
甘辛いタレの焼ける匂いに釣られたのかくぅとリビングからお腹の鳴る音が聞こえてくる。視線を逸らしてみれば苦笑いを浮かべて恥ずかしそうにたははと頭をかく御影さんが待ち遠しそうにしていた。
出来上がった料理を配膳し向かい合って椅子に座る。調理器具を洗ってしまいたかったが冷めてしまっては勿体ないし、待っている人もいるのだ、後でも問題はない。
「いただきます」
「簡単なものですがどうぞ召し上がれ」
お互い手を合わせてから食事を始める。特に会話もなく黙々と料理が減っていく。ふと御影さんに目を向けると泣きそうな、しかしどこか嬉しそうな顔をしながら箸を進めている。
「何かありました?」
「ううん、人が作ってくれた晩御飯を一緒に食べるのって美味しいなって思っただけ。友達はいるけど夜になるとほら、何か起きちゃったら困らせちゃうから帰ることにしていたし。こんな当たり前のようなことが久しぶり過ぎてつい感動しちゃった」
ぽつぽつと身の上話を始めた御影さん。自身の体質で苦労してきたのが伺えた。
誰かと過ごす夜というのは昼間にはないどこか特別感がある。下らない話や恋路に関する話で盛り上がり、仲を深めるのに必要なイベントの一つと言えなくもない。
家族から気味悪がられ半ば放り出される形で一人で暮らし、門限がある訳でもないのに夜になるとそそくさと帰る。要らぬ誤解を招き、何か悪い事に巻き込まれているのではと心配する者もいたそうだが、押しかけていざ夜を共にしてみれば怪奇現象のオンパレード。すぐに噂となり遠くから陰口を言われたこともあったと苦笑いしながら話してくれた。前向きな性格で乗り切ってきたのだろうが、堪えるものもあったことだろう。
「でもこれからは大丈夫なんだよね?」
「少なくともここにいる間は怪奇現象は起きないので安心して下さい。年下に守られるのは不安かもしれないですが善処しますので」
「期待してるね」
目尻に嬉し涙を浮かべながら御影さんは笑いかけてくれるのであった。




