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容赦のない光弾の弾幕が四方八方から襲来する。
前後左右に避け反撃に転じようとするがそれすらさせまいと攻撃が続く。
これじゃ一方的な消耗戦だ。
敵の姿が確認できないのは正直言って辛い。
見つけさえすればすぐ終わるというのに。
「ああもう鬱陶しい!消す!」
痺れを切らした皐月さんが物騒なことを言い始めた。
ヤバい。これはヤバい。
「回路全開、循環開始。 一番、七番、八番に魔力集中! 範囲指定クリア、属性は火! 祐君、補助お願い!」
「仕方ないけど了解です」
頭の中でイメージする。
この人に負けない強度を誇る物を。
使い捨てでもいい。
とにかく硬く、硬く、硬く。
『創る』のに時間はかからない。
「皐月さん!」
既にこちらに走り出している皐月さんとタイミングを合わせる。
微かな光の中から出現させた大盾を構え、打ち上げる用意をする。
魔力を全身に循環し身体能力を向上させ、盾を足場に踏み込んでくる皐月さんを跳ね上げる。
ピシリと嫌な音を立て、結晶を砕いたかのように粒子となり消える大盾。
即席の跳躍台に成功したが問題はこれからだ。
手持ちにはこれから来るであろう災害級の攻撃に耐えられるほどの物がない。
連続で創造すればいいのだが、多分数秒かからず壊れるだろう。
反則技ではあるが背に腹は代えられない。
死ぬよりかは幾分マシだ。
「『無限武装』展開」
短く詠唱し、耐え切る武器を用意する。
一気に魔力を持っていかれ軽い脱力感に苛まれるがそこは慣れたもの。
「『フレアロンド』」
皐月さんの声が上空から聞こえたと思うと、幾千幾万を遙かに超える紅い光弾が降り注いでくる。
敵味方無関係の無差別な攻撃。
飛んでくる光弾に対し、背後に展開した直剣や短剣、槍などを射出し対抗するしかし皐月さんの圧倒的な物量と威力の前には粉砕され、手持ちは瞬く間に消失していった。
数分の出来事ではあったが、何とか耐え切り疲労困憊になった。
民家は跡形もなく消え、辺りには瓦礫と立ち込める塵しか残っていなかった。
破壊の限りを尽くした皐月さんを目を凝らして探し、落下ポイントに回り込んでおく。
真上に飛ばしたので落ちてくる場所そう対して変わらないだろうし、実際変わらなかった。
飛び上がり、皐月さんをお姫様抱っこでキャッチする。
「おかえりなさい」
「ただいま。なかなか気持ちいいフライトだったわ」
「フライトじゃないですから」
「細かいこと気にしてたらすぐに禿げるわよ。どこぞの王子みたいにはっきりくっきりMに」
「禿げる禿げないのやり取りで出される王子ってどうなんだ」
「いいじゃない、わかりやすい例えがいるって」
「いくらなんでも可哀想過ぎます!国民的漫画をそんな風に使わないでください!」
「そんなことよりさっさと追い詰めるわよ」
「そんなことで済まされた!?」
何とも哀れな王子だった。
そんなやりとりを終え、抱えたまま着地する。
更地になったため、かなり見渡しが良くなったので『敵』はすぐに見つかった。
避けられないと思い、まともに防御してしまったのだろう。
肘から先は焼け落ち無くなっている。
どちらにせよそんなことは『アレ』からすればどうでもいいことだろう。
何せ回復力が桁外れだ。
無くなった腕を生やすくらい簡単にやってしまう。
現にたった1秒足らずで生やしてしまったわけで。
「やっぱり『吸血種』かあ。確かに祐君の言う通り上物ね。ま、こいつらは死ぬまで何度も楽しめるからいいか。 そんじゃ行きますかっ!」
次で戦闘回は終わりです




