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幸福の国の獣たち  作者: 空烏 有架(カラクロ/アリカ)
幸福の国 アンハナケウ
215/217

『幸福の国の獣たち』 反省会

***

 定例のあとがき&解説風だべりコーナーです。

 本編を読んでいただいた前提になっているのでご注意ください。


 ↓




*ごあいさつ


 改めましてこんにちは。作者の(さね)アラズです。

 いい加減最初だけ鬼更新してあとからグダるのやめようって毎回思ってるのにまたしてもやらかした私です。


 よろしくお願いします。




 - - - - - - - - - -




*コンセプトはずばり「どうぶつ」


 とにかくどうぶつをいっぱい出したいという願望をそのまま形にしました。


 まず仲間に召喚獣的なポジションのどうぶつを用意して、最初はそれで満足してたんですが、神サイドのことを考え始めてから「せっかくだし神もぜんぶどうぶつモチーフにするか?」となり、それぞれの性格や担当地域の雰囲気に合ったどうぶつの姿を当てはめていきました。


 オオカミと羊とか、キツネとタヌキみたいな狙い済ましたような組み合わせになったのは実は偶然です。

 と言ってもまったく説得力ないなって自分でも思う。





*恋愛的なところについて



・異類婚姻譚

 おそらくなろうに連載された同タグつき小説群の中でもっとも相手の異類が頼りにならなかった作品ではないかと思います。


 設定上は高ステータスだけど作中ほどんと身動きとれない可哀想なシッカ。

 動けるようになってからは批判の嵐でもっと可哀想なシッカ。あんまり恰好良く書けなくてごめんね。


 だってシッカが動けるとララキに仕事が残らなくて話にならないんだもの。

 あと私が書きたいのはイケメンに守られる女じゃなくてイケメンのために泥にまみれて戦う女なんで。



・身分差恋愛

 男女ダブル主人公って聞いたら「女が恋愛担当で男がバトル担当かな」って思うじゃないですか。

 あと身分違いの恋って言われたらイケメンセレブと平民女子を想像しがちじゃないですか。

 逆です。


 狙ったというよりは自分の好みに正直に書いたらこうなりました。


 スニエリタがミルンに惹かれていく過程を書くのは楽しかったです。

 ミルンが下心ムーブしたり照れてどぎまぎしている姿を書くのはもっと楽しかったですが。笑




*プロット時点と実作で変化したこととか


・ミルンの扱い

 いちばん大きいのはミルンをもっとバカな感じにするはずだった点ですかね。

 実際書いてみるとララキが充分アホなのでスニエリタ加入までの間だけでもストッパーが必要になり、加入後に急に性格変わるのもおかしいのでそのまま兄貴分的な感じになりました。

 ついでに第二主人公に格上げ。


・その他のキャラクター

 本来ロディルは存在しない子でしたが、ヴァルハーレの強さに三人束になっても対抗できないので代わりに戦ってくれる人を募集した結果生まれました。嫁とかは戦う理由付けを作る過程で誕生。


 コワチ家もそっから派生したのでペネトカなんて登場直前まで無に近しい存在でした。

 それが何を思ったのか身内のアレな人をモデルにしたら端役のくせにやたら強烈な女になってしまい書いてるほうが頭を抱える自体に陥ったという……本編では割愛しましたが、ミルンとスニエリタが結婚するまでの間にたぶんひと悶着ふた悶着やらかしたと思います。

 具体的には水ハーシの里で事情を知らない町民たちに私が彼の嫁よ!と勝手に言いふらすとかそういう方向。


 それからロンショットさんが登場時点では名ありモブ程度だったけど動かしてるうちに勝手にキャラづけされていって最終的にめっちゃくちゃスニエリタにとって都合のいい男になった。

 作者にとっても都合よすぎるくらいだった。正直ありがとう。


 そしてカーシャ・カーイ。

 アフラムシカがほとんど動けないので神界であれこれ考えたりルーディーンに絡んだりさせてたら当初の予定の10倍くらい活躍した。大出世おめでとう。



・展開

 スニエリタの正体発覚をアンハナケウ到達時からガエムトと出遭ったときに前倒ししました。

 というか、もともとアンハナケウ到達前を第一部、到達後を第二部としてどちらも同じくらいの長さでやる予定だったのですが、「到達後は余裕がなさすぎるしちんたらしてたらアルヴェムハルトが死ぬし、何よりミルンとスニエリタの関係を描写する時間が足りない」と思って変更しました。してよかった。





*今さらながら用語解説

 できるだけ作中で説明はしたけど長々語るの気が引けたのでわかりにくかったかもしれない運転


・アンハナケウ

 「幸福の国」、要するに神さまたちの集会所。地上には存在しないどこか。

 西の果てにある説が有力だったのは、大陸西部が荒地すぎて、大多数の大陸人にとって「クシエリスルの内なのによくわからない未開の地」みたいな感じだったので、ざっくりこの世の果て的なニュアンスです。

 (呪われた民の国も未開の地だけどそちらはクシエリスル教の圏外なので)


・クシエリスル

 簡単に言うと神さまたちが組んだ同盟。宗教版国連みたいなもん。

 みんな平等とかいいつつ結局上下関係は残っている。でもって全員のパワーを一度ある程度回収してから再分配するという共産主義っぽいシステムが備わっている。

 が、完全に全員の全力を集めて均等に分けてたわけではなかった。ので上下関係が残るのも当然。

 どうしてそんな中途半端にしたのかっていうと、いきなり完全に平等にしようとしたらヴィーラとかのプライド高くて力のある神が反発して仲間になってくれないから。つまり忖度した。


・神格

 神である証みたいなもの。決まった形とかはないけど存在感的なものはある。

 生まれついての神はこれ自体が存在のベースで、精霊上がりの神は精霊としての自分にこれがプラスされた形になっている。

 本来の用法とは違うのに一切説明してなくて最高に不親切だった単語ナンバーワン。

 いうてこの世界の神は創造主とかよりワンランク下の存在だったりする。※


・紋章

 みんな(人も獣も神も精霊も無機物も)が心に持っている模様。精神の指紋的なもの。みんな違ってみんないい。

 神とかになるとこれが見えるので個体識別にも使える。人には視認できないので手探りで見つけることになった。それが学問の体をなしたものが紋唱学。

 生物は基本的に肉体+魂+紋章で構成されている。無機物の場合は物質+紋章。


・紋唱

 「紋章」を描いて「詩」を唱えることで発動できる魔法みたいなもの。MP消費的な概念はないので連発可能だが肉体的には相応に疲れる。

 獣の場合は自分の紋章を使って特定の属性魔法を扱える感じで、人間は自分の紋章プラス別のものの紋章を借りて組み合わせしないと発動不可。

 得意な属性があるのはその個人の持ってる紋章にその属性があるのかもしれない。ないかもしれない。

 神においては配下にある眷属すべてを扱える感じで、例えばオーファトは金属全般が眷属になるので武器以外にも金属製品ならなんでも生み出せます。


・招言詩

 本作最大の中二病要素。詠唱的なやつ。設定的には紋章に対応している、人間の術師にとっては発動させるのに必要な、いわばIDに対するパスワード的なもの。

 神が詩っぽいのを詠うのは自分の眷属でないものに協力を要請するときとか。

 長ったらしくて考えるのが面倒になったためすぐに省略されることになった。作者は打つのがめんどくさくて設定表からコピペしていた。


・紋唱術師の認定証

 要するに学校の卒業証書であり資格証。持ってないやつはモグリ。学歴社会なのでどこの卒業生かも見られる。公的な職業だと一定以上の学歴以外は就けないことも。

 ちなみにミルンは帝国軍に入るために帝国学院の特別短期コースを履修しました。


・幻獣と傀儡

 神が生み出すことのできる魂のない生物。眷属の一種。

 基本的にはこれに適当なもので肉付けして肉体を持たせ、仮初の魂を入れることで操り人形として使う。

 幻獣に自律思考機能を持たせたものが傀儡だと思っていただければ。


・どうぶつ

 この世界の動物はデフォルトでみんな単属性の紋唱術が使える。しかも人間と契約することにより人語を操れるようになるうえ知性も高い。

 どう考えてもめっちゃつよい。

 なぜこの環境で人間が文明社会を築けたのか不思議になるが、たぶん人間も相応に頑丈なんだと思われる。とくに古代人の身体能力は、ララキがそれを受け継いでいると考えるとしっくりくる、かもしれない。

 むしろ太古の時代は人間も単属性紋唱術を詠唱だけで発動できたかもしれない。



※前作(土の冥海/水の楽園)にてちょろっと紹介した「世界を創造している者」が真の神なる存在であり、この作品内における「神」たちは彼(彼女)の代わりに実際に創られた世界を管理する役目を担っている「格が高い上位精霊」といった感じ。

創造者は初めに創るだけでその後は滅亡まで直接介入しないスタンス。


ちなみにこの世界の創造者は前作ラストの彼ではありません。でもってノーコメントだそうです。





*おわりに


 本編はどことなく余白を残した終わりかたをしていますが、今のところ続編とかは考えていません。

 これで完結のつもりです。


 チロタの復興を見届けてないので消化不良な感じが否めないなと自分でも思うんですが、それにはほんとうに途方もない時間がかかってしまうので、それこそ地図上から国が消えたり増えたりしてもおかしくないほど遠い未来のお話なんですね。

 もしそのころになってまた誰かが旅に出ようとしていたら、新しい物語としてお目見えするかもしれません。

 しかしそれも神のみぞ知ることであって作者風情にはわからないのです。


 そういうわけで、ララキとミルンの旅に最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。


 またいつかどこかでお会いできますように、心よりお祈り申し上げます。



  実アラズ 拝



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