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世界は再び魔王によって滅ぼされる  作者: 桐生 深夜
一章 滅びゆく世界
5/9

4話 飯を食ってからだ

優は目を覚ました。知らない天井。だが、ユズが作ったあの真っ白い空間ではない。つまり戻ったのだ。


横で心拍数を測る機械の音が聞こえる。それに優は酸素マスクをつけている。


「病院か?」


部屋の灯りはなく、カーテンも閉まっている。カーテンの隙間から月が見えた。


「夜か…昼間なら泣いて俺が目を覚ましたことを喜んでくれるのにな〜。医者は奇跡だとか言うのかな。ああ、なんてタイミングが悪いんだろう」


優はそう言ってため息をついた。それより気になったのは体が完全に治っているのかだ。

体を起き上がらせてみる。痛くない。手を動かす。痛くない。

ユズの言った通りだ。傷がない。


ふと横に座っている母が目に入った。ぐっすりと眠っている。とても不安そうな顔をして…


「俺は行かないと…」


優は酸素マスクを外した。そして立ち上がろうとした。しかし、バランスを崩した。目の前が一瞬真っ白になる。立ち眩みだ。


「チッ…」


優は舌打ちをし、大人しくベットに横になった。さすがに体がダル過ぎるからだ。


「よし。明日にしよう。今日は体力を戻すことを優先にするか…」


優は1人でブツブツといいながら、酸素マスクを自分でつけた。酸素マスクをつけてないと母も医者たちも驚くと思ったからだ。

そして優は再び眠りについた。



※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※



そして次の日の昼。


「ふぁ〜…よく寝た」


大きな欠伸をしながら体を起こした。そして自分で酸素マスクを外した。


「腹減った…飯ないかな」


優は辺りを見回した。食べ物らしきものは一つもない。それが分かると優は舌打ちをした。


「うっざい点滴だな」


優は点滴をとろうとしたがさすがにそれはやめた。


その時だった。病室のドアがガラガラと開いた。


「優…!?」


目を覚ました優に母は驚いている。


「おはよう。お母さん。それより腹減ったんだけど…」


すると優は頭を母に叩かれた。


「痛っ!?なぜ叩かれた!?」


「優がお母さんを心配かけさせたから」


それを聞いて優は微笑んだ。


「ごめん。お母さん」


優は素直に謝った。いつもなら「うるせー」とか言って反抗する優がだ。


「ねえ、腹減ったんだけど…」


「本当にどんだけ心配したと思ったの!?」


「あの、すいません。とりあえず、その感動的な話は飯を食べてからでいい?」


「よかった。生きててよかった」


「とりあえず、俺は飯を食べたい」


全く話が噛み合わない2人だが、いつもこんな感じだ。


「あっ、そうだ。先生たちに教えなきゃ」


そう言って母は走って病室を出た。それを見ながら優はさっきから舌打ちばかりしてるなと、思いながらまた舌打ちをした。


「ああ…腹減った…餓死しそう…」


そうつぶやきながら、考え事をしていた。この世界の状況はどうなったか。魔王はどうしているか。病院を抜け出し、どうやって東京スカイツリーに行くか。


「まあ、いいや。考え事も飯を食ってからだ」

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