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世界は再び魔王によって滅ぼされる  作者: 桐生 深夜
一章 滅びゆく世界
3/9

2話 魔王降臨

優は神殿に引き寄せられるように歩いて行く。


ーー魔王…


ドクン。と頭が波を打った。


ーー痛っ…くねぇ?


『魔王様!奴がそこまで迫って来ています!』


『問題ない。俺、自ら相手をしてやる』


優は頭を押さえた。


ーー記憶?誰のだ…


『お言葉ですが、魔王様の力はすでに弱まっています!』


『確かにな…今の俺じゃあ勝てない。だが、お前らが戦っても同じ。だから俺は、お前らを守るために戦わなきゃならない!』


『魔王様!行ってはなりません!我々のことなど構わず、お逃げください!』


『おい。お前、俺を誰だと思ってる?俺は…』


「魔王だぞ!」


優は叫んだ。完全に無意識だ。それに、呼吸が乱れてしまっている。


ーー 一体…今のはなんだ…


その時だった。神殿から黒色の蒸気のようなものが出てきた。それに続き地響きが起きた。


そして…神殿が爆発した。


優は爆風で吹き飛ばされた。


「やっと、出られた」


低い声だ。その声は神殿のような残骸の方から聞こえた。

優はすぐに立ち上がり、神殿のような残骸の方を見た。神殿のような残骸があった場所に大男が立っている。


ーーまさか…


「日の光が当たって、封印が弱くなったおかげだがな」


ーーウソ…だろ…


「世界よ。『魔王』が目覚めたぞ。さあ、絶望の時間だ」


魔王は首を回した。


ーーあれはマジで神殿だったのかよ…


優は絶句した。


「さて、手始めにそこの人間でも殺そうかな?」


魔王はニヤリと笑い、優を見た。優は危機を感じ、神殿から離れるため走った。


ーーここにいたらマズい!


ケガの痛みなど元々なかったかのように全力で走った。


「おいおい。いきなり逃げるのはダサいぞ」


魔王は手のひらを優に向けた。


「漆黒の槍よ。肉を引き裂け。デス・スピア!」


魔王は手のひらから黒色の槍が出て、優をめがけ発射された。


優はそれを回避しようとした。しかし、槍のスピードが早すぎて回避できない。


「ぐわっ!」


優は腹を貫かれた。血を吐き、腹には風穴が開いた。


「死…ぬ…」


力が抜けるのが分かる。気が遠くなるのが分かる。感覚が消えていくのが分かる。


「人間は魔法の使い方すら忘れたのか?どんだけ平和ボケしてるんだよ。防御魔法の一つも覚えていないとはな」


魔王はそう言って、優を見て鼻で笑った。


「雷鳴よ。我を運べ。ライトニング・ドライブ!」


すると黒色の雷が魔王めがけ落ちた。それと同時に魔王は姿を消した。


優は、もう意識はなかった。

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