再訪、そして
ある日の閉店後。
商品の移し替えやら掃除やらをまとめてやっていたら、ドアベルが鳴った。
「いらっしゃいま・・・・・・せ?」
条件反射で言ったものの、途中で入口は閉めたよな?と思い出したので中途半端なものになってしまった。
「よう、また会えたな」
この前の革鎧を着た冒険者風の男だった。
「あッ!待ってましたよ!」
ようやく、来てくれた。
彼の名はスタイン。見た目のまんま冒険者だそうだ。
で、どうやってここを見つけたのか?と聞いたら普段は何もない場所に『扉だけ』出現していたそうだ。
で、興味本位で開けたら・・・という顛末。
するってぇと、何かい。
どっかで聞いた事があるような話だなー。
これっていわゆる『テンプレ』ってやつなんだろうか。
繋がってしまった事に関しては、もう何も言うまい。
どうのこうの言って何かが変わるんなら、幾らでも言ってやるさ。
受け入れる事も必要なんだろうよ。
ただ、願う事はこれ以上酷い方向に話が進まなければいいんだが。
話を戻そう。
この前飲んだ酒がべらぼうに美味かったので、また飲みたくなったからここに来たと。
まぁ酒好きなんだろうから仕方ない話だよなー。
美味くて冷えてて、そりゃたまらんだろうな。俺だってそう思うわ。
でも支払ったカネがあれだけで足りたのか心配だったと。
ついでに『向こう側』の貨幣制度も聞いておいた。
鉄貨・銅貨・銀貨・金貨・白金貨だそうで。
ただ、ほとんど鉄貨と白金貨は使わないみたいだな。
鉄貨で買える程のモノが無いんだと。
白金貨はケタが大きすぎて国同士でのやりとりだとか、そういうレベルで使うって言ってたな。
銅貨10枚で銀貨1枚、銀貨10枚で金貨1枚、金貨は1000枚で白金貨1枚なんだって。
レート的には銅貨100円、銀貨1000円、金貨10000円、白金貨10000000円・・・・・・うーん、流石にアタマ痛くなってくるな・・・。
って事はこの前のは4500円だから読み通りッ!
ってかね、こうもアッサリ理解できてる俺ってなんなのさ?
そりゃーラノベ好きですとも。異世界モノなんぞたまーにニヤニヤしながら読んでるのを自覚して凹んでた事もあったさ。
でもな、予備知識すらゼロよかマシなんじゃないのかな?という思いも出てきてるんだよなー。
『世の中に無駄な知識なぞ無いッ!』ってのが持論というか勝手に思ってるというか・・・座右の銘?にでもしてしまおうというか・・・。
「・・・・・・おーい」
はっ、スタインさんが呆れてる顔してる。
いかんいかん。つい『どうでもいい話』に自分で没頭しすぎたようだ。
「あーすいません・・・」
商売人の性か、こちらに非があるときはつい必要以上にペコペコ謝ってしまう。
「いや、大丈夫。この前は食い物は全然気にしてなかったが何か美味いモノはあるか?」
ふっふっふ。その言葉を待っていたぜ。
テテテテッテテー魚肉ソーセージ(某青猫ロボ口調)。
入ってる袋を破り、赤いビニールに包まれている状態のブツを出す。
「それが何とかソーセージ?」
赤い色で訝しんでる。そんな色のモノ食えないよ、と。
そこで着ている仕事用エプロンからハサミを取り出し、端のクリップの下側を切りビニールを剥がしていく。
少しずつ薄ピンク色の中身が姿を現してきた。
「食べられるのは中身だけですからね。外は包装なので食えませんよ」と言いながら手渡す。
「お、おお・・・・・・・・・・っ!!?」
ビール飲んだ時と同じ顔してる、って事は美味いんだろうな。
「まだ他にも色んなのありますけど・・・」
カゴに数種類の魚肉ソーセージを入れた状態で見せている。
あらびき、ピリ辛、激辛等。あ、なんかスパム食べたくなってきたぞ。
「とりあえず一通りくれ」
もう食いしん坊になってるなぁ。いや、別に見てて面白いからいいけど。
「酒も新しいの仕入れましたよー」
泡盛とウォッカを両手に持ち、煽ってみる。
「それはどういうのだ?」
「両方とも蒸留酒ですね。こっちは泡盛でコメが原料。こっちは麦やイモが原料で酒精がかなりキツいですね。両方とも酒精はキツ目ですがこっちは火が付きます」
「なんと、火が付く程の酒精か!面白い、飲んでみよう」
うわーやっぱりこの人生粋の飲んだくれだわー。
まぁ、後は前回とほぼ変わらずな状態になった。
今後もそうなる可能性があると思うと、ちょっぴりメンドクサイと感じてしまった。
ちゃんと会計をして今回は『お土産』に魚肉ソーセージ数本と泡盛数本お買い上げ頂きました。
スタインさんは結構ベロベロに酔っぱらうけど、まだ意識はちゃんとある状態だな。酔ってるからかなり雑な動きだったけど。
「んじゃ、またなー」と言って帰っていった。
翌日にオヤジさんに連絡したら、当然怒られたのは言うまでもない。
誤字脱字、感想などお願します。
書いてる本人は数字モノはかなり苦手です。