夏の雪 後編 その1
〈第15章 夏の雪【後】その1〉
茨木童子
京都で大騒ぎしたといわれててる鬼の妖怪。
雪女
吹雪の夜に現れる凍えるほど冷たく冷血な女の妖怪。
その2体の半妖が今宵愛の糸で結ばれる。
「私は」
「俺は」
「「今の時を大事にすると誓います」」
*****
覚める時、"俺"の相棒
の柊がこう言う。
「お前さんよ、一つ教えてあげよう、なぜわしがお前さんの左手に納まってっていたことを」
柊は淡々と言葉を発した。
その表情は解放感と悲しみに溢れていた。
まるで巣立ちする前日の母親のような表情だった。
そして柊の説明は終わる。
「つまりお前は俺の妖怪の力を制御する鍵であり力が封印されてた左手にいたってことか」
「そうじゃ、だが今のお前さんにはもう必要ない。
だからわしは左手から離れる。
そしてー」
俺の腰に鞘が現れる。
「その鞘にこれから納めてもらう。
巣立ちじゃな」
柊は悲しげに言った。
そんな柊を俺は抱き寄せて告げる。
「この約4年間ありがとうな。
そして・・・これからも"僕"を守ってね」
柊は嬉しそう言う。
「うん!これからも頑張る!」
こうしてもう一歩この少女との絆は深まった。
そして俺は目覚める。
**********
やぁ渡辺健翔だ。
今、俺達は凄まじいほどの光景を見ている!
ジリジリと雷が大輝の周りに迸る。
片足が焼かれ狂い悶えてる伴示。
そんな伴示に大輝はこう言う。
「よぉ伴示、随分と痛めつけてくれたなー。
その足は一つめの代償だ」
伴示は足を抱えながら泣き叫ぶ。
「わあぁぁぁぁぁ!!!
あぁ!あはぁ!!!
よくもぉぉ!!
よくもこの僕の足ぉぉぉ!
誰がぁ!誰がこんなことうぉ!!」
大輝は言う
「俺だ」
伴示は怒鳴る
「なにぃ!!貴様は!!」
大輝は名乗る
「俺は茨木大輝!
茨木童子の末裔だ!!!」
伴示は全身に冷や汗をかきながら叫ぶ!
「そうだ!貴様は茨木大輝!
このクソったれめ!
この僕の足を奪いやがってぇ!
僕は貴様みたいに回復には特化してないんだぞ!!!!」
大輝は冷たい声で言う。
「あっそだからなんだよ」
伴示は痛みを我慢しながら刀を杖代わりに使い、立ち上がり、奥の山を指差す!
「うっーうぅ!!
あの山を登れ!
あの山の天辺にてお前との最終決戦をしてやる!!
ふふ、まぁ来れたらな!!
まぁ無理だろうよ!!
私の最高の部下達がてめーらを殺しに来るからなぁ!!」
そう言い残すと奴は一瞬にして木の葉に化け消える。
に、逃げた!!
大輝は柊で空中を斬るが攻撃は無駄だった。
大輝は舌打ちをしながらも伴示が指差した方を見上げていた。
大輝は今こう思っていることだろうあそこに小雪がいる。
今すぐにも助けに行こうと!
それは俺と泉直人も一緒だ。
だから大輝に近づきこう言う。
「大輝、行くのか」
大輝は言う。
「あぁ行くとも。
お前達は?」
俺は言う。
「あぁ行くとも!
なぁ直人!!」
「おう」
「そうか、なら腹を括れよ
さっきみたいに怖がったりするなよ、自分力を信じて正々堂々と真っ正面から立ち向かえ。いいな」
「「あぁ!!」」
「その意気だ」
今の大輝はほんの数分前の大輝ではない感じがした。
なんか大人になったっていうかなんていうかなんか雰囲気がオーラが変わった。
あと服装も変わっていた。
さっきまでの服装は大人じみたTシャツにジーパンという高校生の夏の服装であったが今は紺の袴に胴着というまさに武士の格好である。
そして目が両目赤になっていた。
そして微妙におでこに角のような物が見える。
これは完璧に鬼だった。
そんな大輝が霜月夫婦のもとに行き告げる。
「吹雪さん、寧々さん、
この戦いが無事に終わり娘さんを助けられたら・・・」
次の台詞に俺達全員が驚愕した。
「娘さんとのお付き合いをさせて頂きたい!
そしてー後には結婚を」
その台詞を聞き夫妻達は歓喜の声で言う。
「えぇ、いいわよ!
お父さん!孫よ!孫が無事見れるわ!」
「あぁ!寧々!男の子かな?女の子かな??
3年後が楽しみだよ!!」
ま、まさかの告白。
ふ、大輝らしいって言えば大輝らしいな。
何これ考えず真っ正面から立ち向かって行く。
その姿に俺は引かれてこいつと友達になった。
多分、直人もそうだろう。
そんなやり取りを見ていた学校の友達たちはキョトンとした表情もあるし、どこかのリア充どもはキャッキャッしてるし、そのリア充の睨む先生もいる。
そんなみんなに大輝が言う。
「みんな、これが本当の茨木大輝の姿だ。
みんなにしてみれば異形なモノ。
そんな異形な俺でも友達と言ってくれますか?」
大輝の告白を聞いたみんなは笑いながら言う。
「当たり前だよ、小雪ちゃんの彼氏なんでしょ?」
と香奈が。
「お前といると楽しいからな!
ずっと友達だよ大輝」
と裕が。
「裕の友達は私の友達。
ま、裕との関係が崩れたら知らないけどね♪」
と渡部が。
「君は僕の初めての友達なんだよ!
そんな人を裏切るなんてありえないよ」
と谷山が。
「あなたは初めて担任を持ったクラスの大切な仲間よ?
ちゃんと霜月さんを助けて、
また明るい学校生活を送りましょ!
夏休み後は行事でたっぷりよ」
と藍架先生が。
「お前さんは俺に自由を与えてくれたんだ。
友というかなんというか。
まぁお互い異形だからな。
分かり合える仲間だ」
と烏間先生が!!
って!
いつの間にいたのか!?
みんなそんな表情をしていた。
俺は言う。
「烏間!いつの間にいたのか!」
「あぁ、いたさ、大輝と伴示の戦いからな」
この人は傍観してたのか!
いや俺らと同じで関われなかったのだろう。
あのオーラの波動は凄かった。
「まぁ、大輝ここにいるみんなお前の仲間だ。
安心しろ。みんな認めてくれる」
大輝は一粒の涙を流し威風堂々とした顔となった。
そして一言言い残して歩み始める。
「ありがとう、みんな
小雪は俺が助ける」
*****
んん?ここは?
私・・・・・確か・・
妖怪達に襲われてそして・・
私は周りを見渡す。
そこは神社のような場所であった。
そしてそこには左足を無くなっている獣耳の男性とゴスロリの女性が私の事をガン見していた。
「ねー僕のフィアンセ、こんな子がいいのかい?」
「そうだよ、夜雀」
男は私の髪を撫でていき胸を!!
「とくにこの揉まれていないとか胸」
と言いながら揉まれた!!
「なにするよ!!
この変態!!」
私は手を伸ばそうとした!
だが出来なかった。
なぜなら手を縛られていたから。
このまま無抵抗で犯されていくの!?
手はアソコに触れる。
「ィンやぁ」
終わった。
と思った瞬間一人の舌の長い青年が変態やろうに伝えた。
「伴示様、傷の手当ての準備ができました」
伴示とかいったやつが私の大事なところから手をどけて言う。
「そうか、夜雀手を貸して。
手当てに何分かかる?」
「ざっと20分くらいかと」
伴示はふっと笑い言う。
「上出来だ。
頼むぞー茨木大輝のやつが動き始めた。
あの野郎!この足の借りは返してもらおう!!
だがこの足を治してからだ」
「そうですね。
今さっき救護班と夜雀様、伴示様以外の四国獣神百鬼夜行のメンバーが一斉に動き始めました。
もうそろそろ作戦は開始されます」
「素晴らしい!!!
楽しくなってきた!!!!」
やつは笑いながら奥の建物へと消えていった。
社とは別の建物だ。
奴が消えてくれて清々してる。
今の話だと大輝君達が助けに来てくれている!!
待とう!
それしかできない!
そう思いながら私は目をつぶった。
******
やぁ茨木大輝だ
今俺、直人、健翔は伴示が指差した山を登っている。
小さい山だから何もなければ10分程度で登れるだろう。
だがそんな簡単には事は進まないだろう。
そう思った瞬間1つの波動が感じる。
いや複数の波動だ。
早速、敵さんの登場らしい。
「直人!健翔!身を守れ!
敵だ!!」
瞬間!俺らの前方から無数の妖気弾が降り注ぐ!!
俺はとりあえず時を止める!
1.5秒間だけこの世は静止される。
さてーと敵に近づこうか!
俺は迅速で敵を探す。
すると林の奥に影があった。
『以外と近くにいたか』
敵を見つけ出した。
さて数を数えてみよう。
ひーふーみー・・・
全部で10匹か。
よーし殺るか!
俺は高速で柊で5匹の顔から真っ二つに斬る。
そして時は動き出す。
5体は血を吹き出し塵となっていく。
生き残った5匹は驚愕していた。
「やぁ、四国の妖怪さん
悪いがーあんたらの攻撃は無意味だ。
もう少し強かったら斬り合いができたかもな!!」
ザン!ザン!!ザン!!!と3匹の首を斬り落とす。
残りの2匹は抵抗してくるが俺は避けて柊で胴体を真っ二つにする!!
第1回目の戦闘終了っと。
たった数秒の事だった。
こんな敵がこれから何体出てくるんだか、見当もつかない
そう思ってると健翔達が走って来た。
「おせーぞ、おまえら」
「お、おめぇーが速いんだよ!」
と健翔は息を切らしている。
直人は無言で立ち尽くしている。
どうやら早く先に進みたいようだ。
「よし、行こうか」
「ちょ!休ませてぇ!」
*******
よー烏間孝だー
大輝達が行ってしまったあとこちらでもドンパチが始まってるんだ。
みんなを車に乗せ、運転を吹雪さん。俺は外で援護って感じだ。
倒しても倒してもうじゃうじゃと沸いてくる。
大輝達も大変なんだろうな。
そう思いながら戦っていき山を下がっていった。
*******
奇妙だ。
あれから敵が現れない。
今、中間地点付近に来ている。
スラスラと進めた。
奇妙すぎるんだ。
草木からは妖気がプンプンするんだが・・・
すると!!
ガサガサ!!!
と木が揺れる!
来たか!
『よぉー茨木大輝さん
予想以上に早かったな』
「まぁ、半妖なんもんでな
お前達と似たように能力はあるのよ」
そう発したあと敵は高笑いして言う。
『ハッハッハ!!
こりゃ傑作だー!!
いい笑い話になるぜ!
この戦闘後の酒の話にな!』
と木からいきなり飛び出てくる敵さん。
その姿は猿であった。
猿は俺目掛けて突進してきた。
俺は華麗に避ける。
猿は地面に直撃し小さなクレーターができる。
「ほーすばしっこいな」
「ありがとうさん!!」
と斬る!!!
だが奴は即座に立ち上がり俺の腹を蹴る!!
「グッ!!」
この威力!!パワー型だな!
そして至近距離型。
ここは俺より直人の方が相性がいい。
奴は俺に目掛けて殴りかかってくる!
俺は刀を構える!!
すると!
バン!バン!!!と銃声が聞こえる!!
そう、健翔が撃ったのだ。
だが、弾丸は殴り弾かれる。
こいつ!対妖怪弾を弾くのか!
健翔はチィ!と舌打ちをして
また銃を1発、2発と撃つ!
だが弾かれていき距離を詰められ健翔は数メートル吹き飛ばされる!
「うわぁ!!」
『雑魚は引っ込んでな!!
ここにいる奴で俺と殺り合えるのは茨木大輝だけなのだよ!!ピストル使い君』
今のこいつが発した言葉が渡辺健翔の怒りに触れた
「雑魚・・・雑魚だと?」
「あぁ、この狒々の力には到底敵わない雑魚だと言ってるんだよ!
黙ってろ!!」
「俺は雑魚じゃない!!
俺の名は渡辺健翔!!
陰陽師のエージェントだ!」
〉〉〉
このエテ公は俺の怒りを買った!
俺は狒々に向かい双銃の乱舞を放つ!!
「ヌオオオオオ!!」
ズガガガ!!
と撃ちまくるが狒々は全ての弾丸を弾き飛ばす!
「無駄だ!!てめぇーのそのハジキ攻撃は無駄なんだよ!
おとなしくお寝んねしてな!」
と再び近づいてくる!
く、来る!!
俺は連と綾にこう告げる。
『これからお前達を雑に扱う。 すまない』
二人はこう言う。
『『ハア?』』
『綾、弾数は?』
『0だよ』
まずはリロードからか!
だが狒々は待ってくれない。
俺はカートリッジを袖の中にしまい、空のカートリッジを抜く。
抜いたカートリッジは狒々の方へ飛んでいく。
狒々は飛んでくるカートリッジを弾く!
この時だ!
俺は連と綾をトンファーの様に持ち立ち向かっていく!
「ヌオオオオオ!!!!」
この行動はここにいるみんな予測していなかった行動だったようだ!
狒々の驚いている顔が見えてなんか清々しい気分になった。
そのまま腹部へ一発入れてやった!
怯んだその隙にカートリッジを装填しまた腹部を狙って撃つ!
ズトン!!と響く音。
デザートイーグルでの一発だ
すると風穴から血が吹き出る
狒々は吹き出ている血をみて
絶叫する!!
「あぁぁぁ!!!俺のぉ!!俺の俺の腹から血がぁぁ!」
こいつの弱点が大体把握できた。
こいつは手以外は普通の雑魚敵と一緒だ。
狒々は怒ったらしく怒鳴る!
「てぇめぇはもう終わりだぁぁ!!!」
ズゥン!!と一気に距離を詰めてくる!
そしてストレートを打ってくるが俺は避けて狒々の顔面を連で殴り、綾で足を撃つ!
そして相手の自由を奪う。
ストンと地面に膝をつく狒々
その顔は冷や汗と出血でなのか顔色がとても悪い。
こいつ、そろそろ死ぬな。
というかもう終わりにしよう。
俺はズボンからお札をとり出し狒々の頭に貼り呪文を唱える。
『あなた様が作り出してしまったこの尊い悪の塊を、今
あなた様の元へ還します。
この者が犯した罪を今この私が償わせます。
さぁ罰を受けよ狒々
その身に火をつけ燃え尽きよ』
すると狒々の体が燃えていく。
これが陰陽師の本格的な祓い方なのだ。
狒々は悲鳴と共に悪い気、つまり妖気を出して塵となっていく。
こうして俺の戦いは終わった。
*******
狒々との戦闘を終えた。
その数分後、また新たな敵が現れたのだ。
その敵はダンディーぽいが牛のような角を持っている敵
つまり牛鬼だ。
牛鬼に言う。
「よー牛鬼さんよーそこを通らせてくれないかな?」
牛鬼は渋い声で言う。
「それはできないな茨木大輝前へ行きたければ…」
牛鬼は横の刀の切っ先を俺の首に突き刺す
「俺と戦い、勝ってみろ」
目映い光が俺を一瞬包んでいく!
そして光が消えていく。
徐々に目を開けていく。
するとそこは地獄のような炎の渦が巻く真っ赤な場所だった
つまりここは牛鬼のパラレルワールド。
そしてここにいるのは俺、茨木大輝と牛鬼だけ。
一対一のさしの勝負って事になる。
「一対一だ。
貴様とは鬼対鬼の戦いを挑む」
俺はふっと笑いこう述べる。
「望むところだ。
どっちが強い鬼か試してやろう」
俺も腰の鞘から柊を抜く。
1秒間の睨み合い。
そしてついに脚は動く!
二人とも刀を振り上げ、力強く降り下げる!!
ガキュイイイインンン
とぶつかる刀。
だが動きは止まらず俺は右回転、牛鬼は左回転で回り刀がぶつかる!!
お互いの刀を流し俺が腹部へ蹴りをいれる!!
「くぅ!」
牛鬼との距離が少し空いた!
透かさずそこに刀で一撃入れようとする。
だが牛鬼は動きは歪むも即座に立ち直し退ける!
牛鬼が言う。
「見事な攻撃だ、速くも一撃くらったよ」
「速さだけは負けねーよ!!
牛なんかに!」
と俺は再び力任せに向かっていく!
すると牛鬼は刀を鞘に納める。
くぅ!戦意損失ってか!?
嘗めやがって!!
俺は神速で斬りかかる!!
「ヌゥオオオ!!」
だが鞘に納められた刀で受け止められそのまま顔面を殴られる!
そして地面に叩きつけられる。
「ハグゥ!?」
「驚愕ってか?力任せじゃあこうなるわな。
もっと男見せてこいよ。
今のお前はただの悪役だぜ」
「悪役だと?
俺が悪役だと!?
ふざけるなぁ!
悪はお前だろう!!」
俺は立ち、首もとを狙い突く!
だが華麗に避けられ、再び顔面を殴られ、蹴られ、投げられる。
「グッ!!」
なぜだ!なぜ押されてる!!
俺は妖怪の力を手に入れたんじゃないのか??
そんな疑問を持ちながらも何度も立ち斬りつける!!
だがその度に避けられ殴れ蹴られする。
まるで師と弟子の修行みたいな感じだ。
くっそぉ!嘗めきってやがる!!
牛鬼は刀を地面に置きこう言う。
「お前は確かに素早いし力はある。
だが一番大事なモノを見失っている。
そんな相手と戦う気はない。
もうここから出ていけ!」
「んだと!!
てめぇーが戦いを頼んできたんだろ?
なら腹括ってかかってこいよ!!
てめぇーこそ男見せろよ!」
この言葉で牛鬼の怒りを買ってしまった。
「わかった、男を見せてやる。
だが後悔はするなよ」
牛鬼は再び刀を抜く。
そして知らぬ間に俺の下に着く!
そして斬り上げる!!
一歩早くバク転をして避けたが服が少し斬れてしまった!
「てめぇ!よくも!!…」
と怒鳴ろうとしたがすぐに距離を詰められ斬りつけられる!
右肩、左脛、左頬など全身を浅く斬られていく。
「ぐわぁぁぁぁ!!」
全身から血が吹き出る。
そしてその場に倒れ込む。
そんな惨めな俺を見て牛鬼は言う。
「どうした?さっきまでの威勢の良さは?
痛いか痛いのか?
こんな小さな傷がよぉ!!」
傷を蹴られる。
くぅ!!痛い!
このままじゃ、こいつに殺される!
小雪ちゃんを守れないまま!
その時、ふと何かに気づく!
俺が戦う理由!
それは自分の強さを確かめるためじゃない!
愛する人のために戦ってるじゃあないか!
それに気づいたとき体の中で温かいものが蠢く!
これは闘志だ!
愛する者の為にこの闘志で戦うぞっという気持ちだ!!
戦いは力だけではない!
気持ちが大切なんだ!!
それに気づいたことに気づいたのか牛鬼はニタリ笑い手を出す。
「その表情だ、それが大切だ」
俺は手をとり立ち上がる。
「ありがと牛鬼。
これで本気で戦える」
「その意気だ!!」
こうして再び激しい斬り合いが始まる!
ガキュイイイインンン!
ガキュイイイインンン!!とぶつかる刀。
そしてぶつかる度に伝わる衝撃。
衝撃により放たれる火花。
花びらのように散る血。
そして無数につけられる傷の数々。
俺は奴の首を狙い斬ろうとする!
だが牛鬼は俺の足を突き刺す!!
そのせいで刀の軌道が反れ左肩に目掛けて走る!
そして奴の左腕を斬り落とす!
「ぐおおおおお!!」
苦しむ牛鬼!
だが牛鬼は俺の足を抉る!
この二つの攻撃はあまりにも大きすぎて、二人ともその場に倒れる。
牛鬼は利き手を
俺は足の自由を奪われた。
(俺の足の場合あと数秒で回復するだろう)
さてこれがラストになるだろう。
俺はまだまだ体力が残っているが牛鬼はどうやら残っていなさそうだ。
つまり勝ち目は十二分にある。
だがまだだ、奴が動くまで動かない。
これがいい方法だ!
「ぐぅ!!なかなか強いな。
茨木・・・・大輝」
牛鬼は少しずつ少しずつ立とうとする。
俺も奴の動きを合わして動く。
そして二人とも立ち刀を構える!!
「これがぁ!最期の斬り合いになるだろう!」
「あぁ!!望むところだ!」
俺達はまた刀同士をぶつける!
俺が右に動くと奴も同じように動く、そして刀を交わる。
ガキュイイイインンン!!
と牛鬼を弾く!
弾かれた牛鬼は驚きを隠せていない!
とどめだ!!
俺は柊を脇に構え斬り上げる!!
そして!
牛鬼の腹から胸にかけて深い痛々しい傷ができた。
「ぐおアァァァァ!!!!」
よく見てみると臓器がはみ出ている。
ブシャァァと血が吹き出る。
牛鬼は仰向けに倒れる。
か、勝った!
パラレルワールドが崩れていく。
すると牛鬼が虫の息で言う。
「俺を・・・倒したな・・
大輝・・・・」
「あぁ」
「これで・・・・あの娘の元へ行けるな・・」
「そうだとも」
「ふ、私を倒せても伴示様には勝てまい。
最後に忠告だ。
犬神には気をつけろ!
あの娘を助けたらすぐに逃げろ!
あいつの伴示様に対する執着愛はとても熱い!」
「犬神もいるのか・・・
厄介だな・・・・」
「忠告はした。
それじゃあさらばだ」
と言い残し塵となり消えていく。
そして目映い光に包まれ
元の世界に戻る。
すると健翔達が駆け寄ってくる
「「大輝!!」」
「よぉ、二人とも」
「大丈夫か?牛鬼は?」
「牛鬼は死んださ
俺はバリバリ元気だ
先へ進もう」
俺達は先を進んでいく。
もう少しで頂上だ!
その2に続く
その2は近日公開!
その時詳しく!