第三章 第一話 それは甘くて、苦くて・・・
「私ね・・・自分が、人を好きになったら、その人の領域を泥足で汚すんじゃないかと思っててね・・・だからいやだったの。」
「オレもだ。オレは、自分の領域に人を入れようとしないのに、相手は自分の領域に相手を入れ、相手の領域に入ろうとするのかとな。」
「地球の日本では、「少子化」が進んでいたんだって。」
「ふむ・・・もしかすると、「恋愛」と「結婚」を嫌悪し、「絶食系」を増加していたのかもな。」
「そうみたい。結婚しない人の中には、職がなかったり生活基盤がなかったりしていて、一人で生活するのがやっとっていう人もいたらしいわ。」
「「生きていくのがやっと」か・・・確かに恋愛などしている暇がないな。それでは、そういう連中は「働け」さもなければ「休め」としか周りに言えんだろう。義父上や義母上は、発展しているくせに、辛い生活をしていたのだろうな・・・」
「そうね・・・自由の利く世界に来て、むしろ「贅沢だろお前ら」だったらしわ、父上は。」
「だから、「勝手に好き放題しているくせに、人様の役に立っているアホ親父」になってしまった訳か。」
ファルフは、ルミナリアを包み込むように抱く。
「あれ・・・?」
「どうした?」
「私・・・こうされると、嘔吐するか反射的に手を出すかなんだけど・・・」
「「同族」には、拒否反応が出ないのかもな。」
「少し、昼寝をするか。」
「いいわね・・・」
肉体関係には至っていないが、いい関係になりつつあり、一緒にまどろむ二人だった。