第二章 第一話 未来の旦那さま
私は、エアリアル・トラルティア。トラルティア王国の第一王女。
どうも私は、転生というものをしてしまったようだ。
普通のOLをしていたのだが、ある日からストーカーに追い回され・・・
気がつけば刺されていた。
次に目を覚ましたとき・・・
私の顔を覗き込んでいたのは、なかなか可愛らしい騎士服の少年だった。
彼は、私の許婚とされた。
ライテス・ヴァルシュタイン。
後でにいさまから話を聞くと、どうやら私と同じ世界から転生してきたらしい。
なんでも勉強好きで、独自の魔法をたくさん使うとか。
ただ、人付き合いは苦手で友達をつくるのは好きではないようで、恋愛は性に合わないらしい。
よかった!相性はよさそうだ。
「で・・・稲荷族の『米』はどうだ?」
「いい味ですよ。元日本人の僕から見て。あれは、「コシヒカリ」に近いですね。」
「あれ以外の栽培の仕方はあるか?」
「あることはありますが・・・あれがベストですね。」
ライテスとにいさまが帰ってきた。
話からすると、狐の獣人の稲荷族と交易をする手はずを整えてきたようだ。
「あ。エリー様。」
ライテスは私を抱き上げる。
「もうしばらくすると、お米のご飯が食べられるかもしれませんよ。」
「うん!」
「それと、来年から稲荷族の移住希望者や魔法学校の留学生が来るそうです。それから・・・彼らの女神官の服装は袴・・・いわゆる「巫女服」というやつでした。なぜか、日本の「巫女」みたいですね。」
「うーん・・・見てみたかった!」
遊んでいるようで、ライテスとにいさまは外交のお仕事もしているようだ。
「王子!陛下に報告書を。」
「わかった。エリー。ライテス。後でな。」
言うと、にいさまはうさ耳の黄金騎士ととう様の執務室の中に入る。
彼は、ピーター・ネザーラントドワーフという。
なんじゃそら。
ピーターラビットか?
なんだか、こうして騎士しているより、にんじん畑にいるほうが似合う奴である。
「トラルティアには「騎士学校」と「魔法学校」しかないの?」
「そうです。エリー様は、魔法学校に通われているでしょ?」
「うん。豆電球と電池つなげてみた。」
「騎士学校とは・・・」
「士官学校ね。」
「魔法学校とは・・・」
「教養・学問・魔法ね。」
「そうです。私たちの前世の世界では物理法則こそ全てです。」
そういえば、この世界の文明では実現不可能に思えるパワードスーツですら、魔法物理学で創ってしまってるんだっけか。
確か、魔装ゴーレムとかいう・・・
「魔装ゴーレム同士で戦争したこともあったの?」
「あったようです。トラルティアはパイロットが搭乗し、敵方は完全機械式でした。」
怖いな・・・それ・・・
「共産国ってあるのかしら?」
「隣国のウズドガルドが、それにあたるようです。何やら最近きな臭い動きをみせているとかで・・・」
「もしかして、k国みたいに国民から搾取しているのかしら。」
「そのようで。しかしトラルティアは、初代王から「民主主義型王政」をとっています。」
「だから、宰相は民間からでて四年ごとに変わるのね!」
「はい。」
さすがは転生人としても先輩なだけはある。日が浅い私にも理解できるように教えてくれる。
「まあ、この世界のことです。飛行機が本格的に完成したら、「地球」より早くに「航空宇宙論」がでるかもしれません。」
「あはは・・・ありえるぅ!」