第七章 第三話 連合軍2
「さて・・・ここに、太古の生き証人がいます。入られよ!」
ライテスの声に、議場のドアが開かれ、滝川クリスタルとガチョウおばさんが現れた。
「滝川クリスタルです。あなたがたのいう「古代文明」の時代、ニュースキャスターをしておりました。現在は、トラルティール王ユーフェル様とライテス卿の厚意で、国営放送のキャスターをしております。」
「ガチョウおばさんです。キティルハルム初代女王ノワールと共に超魔王と戦った魔女エレノラに仕えていました。」
会場から、感嘆の声があがる。
「こ・・・古代エルフ文明を知っている・・・?」
「キティルハルムの初代女王の「同僚」?」
「どんなにすばらしい文明でも、ほころびがあれば崩壊してしまいます。」
「それが、急速な発展を必要とされるときは、なおのこと。」
「かつての「文明」は、すばらしい世界でした。しかし、相手に対して自分の理想を決めつける者が多く、それに絶望した科学導師・錬金術師が反乱を起こしたのです。上層部が気付いたときには時遅く・・・「輝きのレイ」「陰りのヴェイ」「魔女エレノラ」が対処するも、常に後手にまわっていました。」
「彼らの「人類」に対する憎しみは凄まじく、乗り物ごと人を斬る兵器や、放射能で遺伝情報を破壊するだけの超小型核弾頭・・・果てには衛星軌道上から地を焼く兵器まで投入して「人々」を虐殺しました。」
「うッ!」
「それは酷い・・・」
ラムンセン王エステスが立ち上がる。
「なぜそのような蛮行を?」
「彼らは結論づけたのです。「自分らの研究は世のため人のためのものだったはずだ。しかし彼らはそれを汚し、受け取る資格を自ら捨てたのだ。」と。」
「ならば、悪いのは何か・・・それは生物の進化の原点・・・あるいは「宇宙」を創造した「神々」とね・・・」
ノワール二世が、語りだす。
「特に、滝川氏の証言は信憑性があります。私の娘の一人考古長官ミスティアを一目見て、「ノワール」と呼んだそうです。」
「確かに。」
列席していたミスティが、メガネを押しあげ、答える。
「そればかりか、ライテス卿のいくつかの調査内容、王立図書館の記述と全て一致しています。かつて「当人」を見ていなければ、そのような感想は出ません。」
「ならばだ!戦うまでだ!奴らの総大将である超魔王はまだ復活していない!今のうちに準備を整え、打って出るべきだ!」
ヘクセンティアール王ノーフォーク・ヘクセンティアールが、言う。
「そして、我が王国には、キティルハルムとの建国以来の『盟友』の絆がある!」
「初代女王が、クラーケン征伐に苦戦しているところを、初代ヘクセンティアール王にお救い頂いた件ですね?」
「おうよ!」
フローラが話し始める。
「すでに、トラルティール、ラムンセンの共同で、「神々の宇宙戦艦」の「復元・改修」が始まっており、連合軍の旗艦として就航予定です。また、キティルハルムも王国旗艦キング・ライルの建造に入っており、邪馬台国も、帝国旗艦アメノウキフネの建造に入っています。」
「さすがだ・・・」
「やはり先進国は違う。」
「ライテス卿が「地球」から持ち込んだ技術も物を言っているのだろう・・・」
「だが・・・」
ライテスは、表情を曇らせた。
「私としては不本意だ。技術は、皆が使うためにのみ伝えたかった。しかし、きれいごとが言えぬのも事実・・・かつてのキティルハルムの航海王ライル二世も、まさかこのような兵器に自らの名が冠されることを喜んではおられぬだろう。」