第七章 第二話 連合軍
「あいつらクズ以下にゃ!それに、あちしらにとっては不倶戴天の怨敵にゃ!」
ファミリアが、激昂していた。
「おちつきなさいファミリア。彼女の言うとおりです。彼らの目的は、全人類への「復讐」なのです。」
ノワール二世が、意見を述べる。
「しかし、ノワール二世陛下・・・我々は、『邪神』と・・・」
「そのような言い訳は、彼らは聞きません。」
「左様。」
ナシメの弁解にぴしゃりと言ったのは、ノワール二世とルミナリアだった。
「彼らの標的は、人の『幸せな営み』そのものなのです。私見ですが、私はそれを許してはおけません。」
「姉さまの言うとおりです。言ってみれば古代の残した「悪夢」にして「悪霊」・・・」
「・・・・・・」
ルミナリアの言葉を補足したユイに、ナシメは絶句する。
「そのとおりだぞナシメ。」
東宮ヤマトタケルが発言する。
「『幸せな営み』を許さぬ者は、それこそ『許されて』はならない。」
「受けて立つです!東宮の御子は必ずお産みするです!」
オトが、キッと言い放つ。
「さてナシメ殿、帝のご意向は聞くまでもないとして・・・将軍たちはすでにやる気のようだ。」
ライテスが言う。
ノブナガ、ヒデヨシ、イエヤスも一様にうなずく。
「わ・・・わかりましたですじゃ。」
「さて・・・超魔王の陣営で要注意なのが、こいつ・・・」
ライテスの持った宝珠から立体映像が浮かび上がる。
「ネズミか・・・?」
誰かが言う。
「ただのネズミではありません。「超魔王ガルアレート」の製作者科学導師ハルカ・オガタ博士の右腕で、「実験用マウス一号」と申します。」
「実験用?実験動物なのか?」
ルーシャート王カイルが言う。
「それだけに、非常識な強化が施されており、「人間」並みの知能と、エルフを凌駕する魔法力を有しております。また、自らの「原本情報」を利用した複製を製作して現在まで「生存」しています。それに留まらず、非常に強力な攻撃魔法を操る魔導師であり、天才錬金術師にして科学導師です。一説には、第一次デラル大戦のおり、人鼠部隊を送り込み、キティルハルムの参戦を妨害したとの記述もあり、狡猾な軍師でもあります。」
それに、と続ける。
「超魔王陣営は、天才でありながら世間から外されたものたちを引き入れ、大魔王と融合。最強とされるのが、我が娘が前日退けた「ウォルスト・ダイアレート」です。」
「お・・・おお・・・」
ルミナリアが、発言する。
「彼はかつて、まちがった英才教育を受け、心に癒えぬ傷を負い、大魔王となりました。そして、復讐を遂げるため復活し、私の父ライテス・・・そして私と戦いました。彼は被害者です。ですが・・・」
一瞬、溜めを作り、述べる。
「だからといって、無差別な破壊と殺戮を許していいのでしょうか?」