第六章 第二話 自らの意思
ズバッ!
夜景斬刀が、ウォルストの左腕を切り裂いた。
「確かに、父上はアホ総合導師よ。けど、多くの貧しい人を救ってる。労働現場の改善をしている・・・それさえも、「偽善」と言ってもいいけど・・・「悪」とは言わせない!」
「所詮、蛙の子は蛙か!?」
「そうね・・・陛下は、自分と女王陛下とのご結婚で、多くの民を救った!これのどこが「悪」だ!」
表情は、見せないが、ルミナリアの瞳には世を救おうと尽力している人々を、けなす者への静かな怒りが渦巻いていた。
「私は「風」・・・「風の勇者」ルミナリア・ライテス!自らの幸福を示すことで、国民に幸せになってもらいたいという盟友・ヤマトタケル東宮殿下と、オトタチバナ妃殿下の祝福を闇で汚すことを許さない!」
風は、そよ風として人を和ませる時もあれば・・・
嵐となって、全てを吹き飛ばすこともある。
「ライテスめ・・・娘をここまで鍛えたか!」
静かな、冷たい怒り・・・
これが、ルミナリア・ライテスの真の姿・・・
「かつての古代文明の技術と歴史を今に伝え、過ちを繰り返すまいとする「キティルハルムの民」のどこが「悪」だ!」
ルミナリアは、天空に舞い上がり、夜景斬刀を解除する。
そのまま、重力加速度と風の魔法力とで、斬りかかる!
「覇王天空剣!」
「くおッ!」
ウォルストは、剣で受け止めた。