第五章 第一話 裏切り・・・偽りの疑惑
「あのやろう・・・研究資金の裏帳簿をでっちあげやがった!」
ファルスは、魔法力電算機のデータを読み出す。
「意外と早かったのお・・・」
「でも、老師・・・どうするんですか?」
女性助手の一人が訪ねる。
「解散じゃよ。ティスに、己のしたことの重要性をたたきこむのじゃ。」
「お供します。」
「解散だと言ったろ。とにかく、今日付けで「解雇」と言う形をとるしかあるめえ。あのバカ!ここは「聖域」だ!」
受像機からは、マスコミの心無いバッシングが続いている。
「あのキャスター・・・妻を殺した女に似ておるのお・・・」
「エレシア・クレインですか・・・」
もう一人の女性助手が言った。
「そうか・・・あの女の「子孫」か・・・」
「知らないとはいえ・・・許せませんね・・・」
「うむ。」
「どうして、誰も彼も「愛の形」を決め付けて思い通りにしようとするんでしょう?」
「へっ!奴らにとっては、それが「神」だからだよ!相手の「愛の形」が理解できねえ!」
研究室からは、一人また一人と研究員が去っていく。
「私は、準備をしてからいきます。ティスも残念です・・・博士との交流の仕方を理解できなかったばっかりに・・・」
言い残すと、最後の一人が去る・・・
「さて・・・」
「やるのかの?」
「ああ。これで、だめなら奴はだめだ。無論・・・「命」もな。」
「神聖な研究を泥足で踏みにじった罰か。」
「ああ。」