第一章 第四話 エリー姫
さすがに登城となると、汗臭い身体はどうだろうかということで、騎士服に着替え、ユーフェル様とともに宮殿に向かう。
部屋の前には、黄金の鎧を着た七人の騎士がいた。
この国の最高位騎士・黄金騎士の筆頭・神聖騎士である。また、そのリーダーこそが、騎士団長である。
蛇足だが、騎士のまとう鎧は、鋼鉄や青銅ではない。もっと硬質で軽量なミスリルである。つまり、エラい騎士ほどいい鎧を着れるってことで・・・
「お待ちしていました。どうぞ。」
ユーフェル様の護衛という名目で、僕は彼とともに部屋へ入る。
「待っておったぞユーフェル。おっ!そこにおるのはヴァルシュタインの三男坊じゃな。」
入るなり声をかけてきたのは、国王陛下・レヴァイス・トラルティアその人である。
「殿下。王妃様はお疲れで、眠っておられます。」
うさ耳の騎士が言った。
ベッドに高貴そうな女性が眠っていた。
この人が王妃様だろう。
その傍らに、周囲に視線を目まぐるしく走らせる可愛らしい赤ん坊が一人。
そして、僕と目が合う。
「だあう!」
「えっ?」
ちょっと驚く。
「うむ。娘はそなたを気に入ったようじゃ。ユーフェルよ。」
「はい。」
ユーフェル様は、僕を見た。
「妹の名付け親になってくれ。」
「い・・・いいんですか!?」
「君のセンスはよさそうだ。」
「じゃ・・・じゃあ・・・」
少し考える。
「エアリアル・・・でどうでしょう。エアリアル姫で。」
「うむ!ついては、その功績において、エアリアル姫をそなたの許婚としよう!娘を。エリーを頼むぞ。」
えっ!?
えええええええええええっ!?
ちょ・・・ちょっとまてえええええええええええっ!?